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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

破滅への歩み

破滅への歩み~Assasin~

掲載日:2026/01/27

ラグナロクオンラインプレイ時に愛用していたシーフキャラ。アサシン転職の時にふと思いついて書きだしたストーリーです。ファロス燈台からココモビーチに向かう途中にグリフォンがいて、よく泣かされましたw

 初めて聞いた音は両親がバラバラに刻まれる音…


 初めて見たものは両親のバラバラに刻まれた体…


 初めて聞いた親の声は苦痛にあえぐ絶叫…


 初めて見た親の顔は血に濡れた苦悶の表情…


 初めて…


 初メテ…


 メノマエニ ヒロガルケシキハ マッカナセカイ…




 俺には何も無い。

 物心ついた瞬間に鮮明に記憶に残る事になったのは、名も知らぬ自分の両親のバラバラの死体。

 これだけが俺の両親の記憶。

 普通は親とは暖かいものらしいが、俺には血生臭いだけの異臭のする存在…。


 幼い俺は血まみれになったまま放心状態でこの〈モロク〉という街に運ばれていたそうだ。

 両親の記憶の後には若干の空白。

 モロクに運ばれた俺を育てたのは初老の男、シーフギルドのマスターだ。

 マスターの話では、俺が両親を殺した魔物を殺したそうだ。

 自分ではあやふやな記憶だが、確かに魔物を殺した感触はまだこの手に残っている。

 いや、あの日以来俺の手は血に塗れて来た。たくさんの魔物の…。


 そんな俺も今年で十七になるらしい。

 らしい、というのは自分の年齢など知らないし、俺の面倒を見てくれたマスターがそういったからだ。

 年齢なんて単なる死や老いへのカウントだけで、俺には何の意味も無い。


「そろそろお前には俺らが教える事無くなっちまうな」


 微妙な表情でマスターがそういった。


「そうか。まぁ俺は魔物が殺せれば今のままでいい」


 俺はモロクでも有名な殺し屋になった。無論、魔物専属の…。

 だが、ギルドの奴らが知りもしない〈秘密〉。

 それは〈人〉も殺した事があるという事。



 二年ほど前、モロクへ視察に来た聖騎士が俺に絡んできた。


「おい、お前みたいなボウズが戦場に立つんじゃない!」


 聖騎士は明らかに俺の戦力を舐めていた。

 このソグラト砂漠で狩れない魔物などいない俺に対し、そんな言葉を吐きやがった。


「守ってやるから後方にいるんだ!【ディボーション】で…」


 必要以上に絡まれる事が嫌いだった俺は、あまりにその聖騎士が邪魔だった。

 癪に障る物言いをしながら、眼前に迫る魔物の群れと対峙する聖騎士。

 俺へと何かのスキルを使おうとした聖騎士を狙い、数匹の魔物が迫る。


 瞬間。俺の中に血への衝動(殺意)が沸き起こった。


 魔物の攻撃に合わせ、聖騎士の背後から気配を消して近づき首を掻っ切ってやった。

 噴水のような血を吹き出しながら、騎乗していたグランペコからずり落ちる聖騎士。

 魔物はそのまま死にかけの聖騎士へと攻撃を続け、無残な死体がそこには転がっていた。

 聖騎士への攻撃に夢中になっていた魔物を殺しつくした俺は、気付けば全身血だらけだった。


 その時から、何故か血に塗れるのが好きになった。

 理由は知らないが、殺した相手の返り血を浴びると心が高揚する。


 それから俺は街の魔物退治を生業としてきた。

 シーフギルドに来る魔物退治の依頼はすべて俺が請け負った。

 モロクの周辺に沸く巨大ミミズや砂の怪物、大型の黒い蛇ごときじゃ俺は負けない。


 地質調査に来た騎士団の連中から騎士団に入れと言われたが、馴れ合いが嫌いなもんで断った。

 騎士なんて忠誠がどうとかメンドクサイ。

 誰かの為に、なんてのは俺の主義じゃない。


 魔物で思い出したが、初めてこの前巨大な鳥頭の魔物を殺し損ねた。

 あれはさすがに悔しかった。

 もう一歩と言う所で相打ち状態になり、みすみす逃してしまった。

 お互いに傷だらけで出血もひどく、俺は立ち上がる気力さえ失っていた。

 しかし鳥頭は巨大な翼を広げ、悠々と飛んで逃げていったのだ。

 完全に敗北を感じた瞬間だった。

 追いかけるだけの体力も無かったから、俺はその場で気絶をしてしまったが、

 たまたま通りかかった聖職者に傷を手当てしてもらった。

 魔法と言うのだろうか、初めてそれを目の当たりにして便利なものだと思った。

 真似てみたが勿論出来るはずも無く、俺には違うものしか作れなかった。


 それはどんな魔物をも犯す〈毒〉。

 いつの頃からか、気が付けば素手から毒を生成する事が出来るようになり、

 それを使い様々な魔物を殺してきた。


 しかしこの前の鳥頭にはそれも通用しなかった。

 初めてだった。負けたという感覚が俺を突き動かした。

 それから俺は狂ったように魔物を殺し歩いた。

 モロク周辺に生息する魔物じゃもう物足りない。

 砂漠狼も、巨大な岩の化け物も俺にはつまらない相手だった。

 シーフギルドの連中からも、討伐依頼を取りすぎだと文句を言われた。

 殺戮衝動が沸き上がってどうしようもない俺は、依頼でもないのに日々魔物を狩り続けた。



 そんなある日、運命の出会いをした。



 ソグラト砂漠。日課の魔物狩りの為の徘徊。

 目の前に現れた巨大ミミズを一撃で殺し、横にいた砂の魔物もまとめて毒で殺した時だった。


「お前、良い腕をしているな…」


 少し老いた男のしゃがれた声が俺の背後から聞こえた。

 まったく気が付かなかった。俺の背後にすでに立っていたのだ。


何者(ナニモン)だっ!?」


 俺は振り向きざまにナイフを男へと振り切ったが、空を切ったような感触。


「馬鹿な、早すぎる…」


 残像、と呼ばれるモノか。空を切ったままのナイフを構え男をにらむ。


「気持ちいいくらいの殺意だ、躊躇もなく振り向きざまに切り抜いたな」


 ニヤリと笑いながら、男はそう言った。

 ただ立っているだけ、なのにこの男には一切の隙がない。

 鳥頭と対峙した時とは違う、直感が訴えていた。


 この男にはどう転んでも〈勝てない〉と。


「どうしてもってんならやりあうが今はまだその時じゃない。お前と話がしたい。武器を収めろ」

 

 ローブで全身を隠した男は砂の上へと座った。


「お前、名は何と言う?」


 俺の目を見つめそう言ってきた。


「名前なんぞ無いし知らん。俺には意味の無いものだ」


 男は俺の回答が面白かったのか、ククッっと含み笑いをした。

 しかし、その含み笑いにすら隙が無い。


「そうか、孤児か。なら調度良い。俺と共に来ないか? 今以上にお前を殺しのプロにしてやる」


 男が言った言葉の意味が解らなかった。


「何だと?」

「お前を殺しのプロにしてやる、と言ったんだ。人も魔物も、全てを殺す(すべ)を与えてやるぞ?」


 男は俺に右手を差し出した。

 俺は男へと近づき、


 パンッ!


 差し出された右手を払いのけた。


「ふざけんな! 俺は今のままで十分だぜ」

「お前の顔、敗北を知ったいい面構えだ。何より、人間も殺した事あるだろう?」


 何故わかる、と出かけた言葉を飲み込んだ。

 この男にはまるで俺の中をすべて見透かすような能力でもあるのか?


「もう一回言うが、人間も魔物も、殺せる術を与えてやるぞ?」

「俺はもうこのソグラト砂漠じゃ負けない。殺せない魔物なんぞいねぇっ!」


 俺の言葉を聞き、男はローブの中から変わった武器を取り出して俺に渡した。


「そこまで言うならこれを使って、あそこの巨大ミミズを殺してみせろ。あぁ、スキルは無しでな」


 挑発的だった。どうせ出来ないと男の顔は言っていた。

 今思えば、何故俺はあの時にその挑発に乗ったのか。まぁ、それが運命なのだろう。


「上等だ。見てやがれ」


 渡された武器は四角い木枠に握る部分と、上部に刃物。

 変わった形の武器だが、刃物がついている以上使いこなせる自信があった。

 それを右手で握り、巨大ミミズへ立ち向かう。

 だが予想以上に使いづらく、いつものナイフなら一撃で殺せるのに、

 この変わった武器では巨大ミミズを殺すのに十五分以上もかかってしまった。


「はぁ…はぁ…、ちっくしょぅ…」


 また負けた気がした。ミミズじゃなく、眼前の男にだ。

 あの鳥頭の魔物以来、俺は敗北の味を知りつづけている。


「フン、あの程度の魔物にもこれだけ時間がかかるとはな、…不甲斐無い」


 男は俺からあの変わった武器を取り上げ、もう一本取り出した。

 両手に装備し巨大ミミズの大群に走っていった。

 俺でもあの数はきついと思われる数だが、男は躊躇しなかった。

 そして十五匹以上いた巨大ミミズを、男はたった三十秒程で片付けた。

 正直、言葉が出なかった。男の攻撃が見えなかったのだ。

 一瞬影が動いたかと思えばミミズが倒れていく。

 たったそれだけの光景が流れていくだけだった。


「どうだ若造? 俺と共に来る気になったか? 今なら俺がお前を一人前の殺し屋にしてやる」


 息が乱れもせず、俺の目の前に戻ってきた男はそう言った。

 初めての新たな感情が生まれた。憧れ、というやつだ。


「本当に俺を強くしてくれるのか?」


 恐らく、男に対する興味からだろう。

 自分の心臓がドクドク脈打って、血を浴びた時のような高揚感がある。


「無論だ、アサシン家業に身をおく者の極意をその体に叩き込んでやる」


 男はそういって再度右手を差し出してきた。

 今度はしっかりと、力強く握り返した。彼を師と認めた瞬間だ。



 時は流れ三年後のモロクの街。

 妙に懐かしい感じがしたが、そこには俺の知っているモロクは無かった。

 街の名前の由来となった魔王モロクが復活し、モロクタワーが崩壊してボロボロだった。

 ソグラト砂漠も次元が歪み、生息していた魔物もすっかり顔替わりしている。

 俺がいなくなってからモロクの街中にも魔物が徘徊するようになったようだ。

 住人たちは無残にも殺され街は荒れ放題になっていた。


 俺は殺し屋としての技を身に着け、この街へと帰ってきた。

 ソグラト砂漠の端にあるアサシンギルドで連日、相手を殺すためだけの修行をこなした。

 あの時師匠()が持っていた武器、〈カタール〉を今ではうまく使いこなしている。 

 


 俺が戻った事を知ったかつてのシーフギルドの生き残り達は、俺に魔物殺しの依頼を早速出してきた。

 どうやらかつてマスターだった男もモロク復活の際に死んだという。

 マスターの弔い合戦だとシーフギルドの連中は騒いでいたが、俺には何の感情もわかない。 

 別に頼まれなくても殺すつもりだった。

 だが依頼料(かね)をくれると言うのだ、もらっておく事に越したことはない。


 そして俺はモロクの街中を回り、暴れまわる魔物達を次々に殺し歩いた。

 街中の安全を確認し終わり、ソグラト砂漠へと足を延ばす。

 すっかり顔ぶれが変わった魔物たちを狩り歩く。


 その時、ふと懐かしい風を感じた。一陣の風。


 突き刺さるような風の先に、ヤツはいた。

 あの時俺が殺し損ねた鳥頭の魔物。

 俺は両手のカタールに毒を付与し、鳥頭の下へ向かった。


 どうやらこいつも俺を捜していたらしい。俺を見た瞬間、目を細めた。

 お互い、過去の清算がしたかったようだな。

 変なものだ、魔物ごときと気が合うとは…。だが、馴れ合うつもりは無い。


「久々だな鳥頭。確かお前はグリフォンって名前だったか。再開を懐かしむ時間は、…いらないな」


 俺の言葉にグリフォンが翼を広げ、グルルルルと喉を鳴らす。


「嬉しいぜ、お前も同じ気持ちだったとは。さぁ、殺してやるからかかってこいっ!」


 別に返事が返って来る期待なぞしていなかったが、グリフォンは一声あげると両羽を羽ばたかせ俺に向かってきた。

 今こそ、過去の清算の時、殺してやる!!


「【ベノムダスト】!!」


 俺は懐に入れていたレッドジェムストーンを使い、その場に毒を散布した。

 不意を突かれたのか、グリフォンは見事に俺の毒に犯されその場で藻掻き始める。


「お前を殺す為、俺は力を手に入れた。それを味わって死んでいくが良い…」


 この瞬間、高揚する感覚が体を支配した。実に久々だ。

 気分が良い。命を奪う瞬間は俺の存在意義だ。

 藻掻くグリフォンは吐血し始め、立ち上がる事も出来ず次第に動きが弱まっていく。


「あばよ。お前の事忘れないぜ」


 もがいているグリフォンの横に立ち、カタールを握る手に力を入れる。

 これがアサシン家業の極意だ!


「【ベノムスプラッシャー】!!!」


 さらに強力な毒を巻き上げ、カタールの先端と共にグリフォンの胸に突き刺す。

 グジュリと肉が裂ける音がして、毒が注入されていく。


 ドンッ!!!


 グリフォンの体に入り込んだ強力な毒が破裂を起こし、グリフォンはバラバラの肉片と化した。

 その時両親の死体を思い出した。


「フ、フフフフフフフフフ…ハハハハ、ハーッハハハハハハハハハハ!!!」


 俺は笑った。何故笑ったかは知らないが、とてもおかしかった。

 そう、この瞬間、この相手の返り血を浴びた瞬間こそ俺の快感…。


 だがこの程度の雑魚の為、俺は強くなったのか?

 いや、違うな。もっと強い敵がいる!

 俺はそいつを殺すまで命を殺して歩く。相手の命を奪う事が俺の命を繋げるからだ。

 少なくとも、俺はあの師匠からそう習った。

 生き延びたいのなら相手を殺せと…。

 それが例え人間でも、殺す事が我らの所業。

 それこそ〈Assasin〉と言う人種なのだと。

 俺はそう教えられ、あの苦しい修行の日々を生き延びた。


 俺のカタールはまだ血を欲しがっている。

 どうやら俺のカタールは特別らしく、卒業試験の合格の証として師匠から受け継いだものだ。


 アサシンとしての卒業試験、それは師であるあの男との一騎打ち。無論、どちらかが死ぬまで。

 そう、師を殺す事がアサシンとしての卒業試験。

 老いた身とは思えない動きと殺意、殺しの技術。

 かつての俺のままであれば、殺されるのに十秒もいらなかっただろう。

 だが三年という時間と師匠が俺にくれたのは、何にも負けない強さだった。


 死ぬ間際に奴が俺に託したこのカタール。

 〈裏切り者〉と銘が打たれたこのカタールが、俺を選んだんだと奴は言い残し逝った。

 迷信じみた事は信じない俺だが、これは信じても良いと思った。

 この〈裏切り者〉はどうも血を欲しがるらしく、こいつを握っている間は俺も血に飢える。

 だからこそ相手を殺した時の恍惚の時間も、いつもの倍以上に感じるのかもしれない…。


「そうか、まだ血が足りないのか?」


 俺はカタールに語りかける。

 気のせいかも知れないが、こいつが返事をした気がした。


 さて、俺はどこへ行こう。

 つまらない敵を殺して歩くより、強い敵を捜し求め、血に飢える生活の方が俺には合っている。

 俺を高揚させる敵を探して歩くか…。


 そういえば〈ゲフェン〉と言う街の付近に〈グラストヘイム〉と呼ばれる城があるらしい。

 そこには強い魔物がゴロゴロいると修業時代に聞いた。


 面白い。行ってみようじゃないか。


 俺のカタールが血を欲しがる限り、俺は殺す。


 俺の血肉と心が血を欲しがる限り、俺は殺す。


 殺す…


 殺す…


 殺ス…


 コ ロ ス…


 メノマエニ ヒロガルケシキハ アカクソマル セカイ…


                     Fin

拙い文章力と物語w

当時は裏切り者が結構な高値でしたけど今はどうなんだろう?

落ち着いたら書き直し入れます!

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