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私は、頭を抱えた。


手錠で身動きを封じられている女の子を置いて逃走するなんて、そんな恐ろしいこと私にはできない。


でもだからといって、この現場を誰かに見つかって言い逃れができるはずもないし、このベスト・オブ・クズオ、略してベオクは間違いなく捕まるわ。


ベオクの容姿は外国人だけれども、被害者の女の子は私が理解できる言葉、日本語で悲鳴をあげていたわ。


外国人が日本人の女の子を襲っただなんて、マスコミの恰好の餌食よ。


ベオクが捕まった瞬間、絶対にテレビや新聞の報道はベオク一色になるだろうし、SNSや動画配信サイトとかでも話題となることは必須。


私はね、25年間生きてきて、刑務所にお世話になるような悪事を働いたことはなかったの。ベオクは当然、処されるべきだと思うけれど、私がやっていないことで刑務所に入るなんて、絶対に嫌だと思ったわ。


曲がったことが嫌い、なんていい子ちゃんぶる気はないわ。


学生時代は授業中に居眠りをしたり遅刻をしたり、友人たちと授業をさぼったり、先生を困らせてしまったこともあるもの。


でもね、自分が間違っていると思うことはやらないようにしてきたの。


二十歳はたちになるまでお酒も飲んでこなかったし、バイクも普通二輪免許取得するまで乗らなかったし、時々女の子と揉めて喧嘩をするときだって、一対一でしかやらないようにしてた。


悪事と縁がない人からしてみれば、そんなの当然だろ、と呆れる人もいるでしょうね。でも案外、親しい友人たちが悪事を当たり前に働いていたら、『やらない』選択をすることって勇気がいるものよ。


いざその場に立つと、『自分は真面目過ぎるのか。空気を壊してしまうんじゃないか。おかしいのは自分なんじゃないか』……って考えたりもするのよ。


特に集団行動の多い女の世界ってのはね。



ああ、また話が逸れたわね。



とりあえず、どうにかこの状況を打破できるものはないかと、私は部屋の中を探索し始めた。


最初に見つけたのは、この部屋から出るにあたって大事な、出入口の扉。


ベッドの正面の壁側には、ダークブラウンのアンティーク調の大きな扉があって、内側から確認できる限り、鍵はかからない造りになっていた。

一先ず、出ようと思ったときにこの部屋から出られることがわかって安堵する。


次に目に入ったのは、ベッド脇の壁に並ぶ大きな移動式クローゼット。

見た目は扉と同じくアンティーク調。取っ手は光沢のあるべっこう色で、棚全体はやや明るめのモカブラウン。


――ガチャ


クローゼットの中を確かめようと、私は観音開きの扉を開いた。観音開きの扉は左右の扉を一つとして、全部で三つ。最初に開けたのは、クローゼットの左側の扉よ。


扉の中に収納されていたのは、色とりどりのドレス。


私も友人の結婚式に参加した時や、成人式後の友人たちとのイベント、大学時代に経験してみたキャバクラの仕事とかでドレスを着たことがあったのだけれど、その時に着たような体にフィットするようなドレスじゃなかった。


どちらかというと、ネズミーランドのプリンセスや、ロリータファッションとかで見るような、ふわふわとしたデザイン。


私はそういった服は趣味ではないし決して詳しくはない。

でも、とても細やかな刺繍のデザインやレース生地が多いし、触れた時の肌触りがとてもよくて、このドレスすごく高そう、と思ったわ。


クローゼットの下の方には引き出しもあって、コルセットと思わしきものや、ドレスと一緒に使うような薄手の手袋がいくつか収納されていた。


次に、中央の扉を開けた。

クローゼットの中には棚板が複数枚セットされていて、つばの広い女性ものの帽子や、ドレスに合わせたようなレース刺繍の日傘、アクセサリーなどが収納されていた。


――どうして、女物ばかり?


私は違和感を覚えつつ、最後に三つ目の扉を開いた。


『……』


開いた後にすぐに閉じるか悩んだのは、明らかに女物の下着が収納されていたからよ。


中央の扉の中と同じように棚板が複数枚セットされていて、その棚の上には、ブラとショーツ。シンプルな肩紐のないチューブブラから際どいセクシーなレース下着まで幅広くあった。


私は思わずブラを両手で持ち上げて、少し切なさも感じながらじっくりと見てしまったわ。

下着の持ち主は立派な乳をお持ちのようで、ブラのカップ数は私のうんと上だったの。


ああ、神様ってなんて不平等。

そんな思いを抱えたまま、私は静かにブラを元の位置に戻したわ。



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