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上.天使の病室

 ...天井からゆっくり、舞い降りてくる白いもの。


「天使の羽根?」と思った瞬間、眠りから覚めた...


ーーーーーーーーーー


 ...扉が閉まるような音が聞こえた。


 薄暗い部屋のベッドに仰向けに寝ている。


 頭を起こして右斜め上を向く。


深町真二ふかまち しんじ様 担当:外科 なかむら(た)Dr.」と書かれたラベルが目に入った瞬間。

「ウっっっ」

 右わき腹に痛みが走る。


 頭を元に戻す。

 自分が生きていて、病院にいることを理解する。

 さっきの扉の音は、巡回に来た当直の先生だったんだろう。


 麻酔の影響が残っているのだろうか。

 重力を受けて布団に吸い込まれるような感じに、再び目を閉じる...


ーーーーーーーーーー


 女が、肩から掛けたトートバックから、出刃包丁を取り出した。

 刃渡り約20センチだったという。


「あんたのおかげで、私は何もかも失ったんだよ!」

 女はそう言うと、包丁の柄を両手で握って、ルカさんの心臓目がけて突進した。


 ボクは咄嗟に、女に背を向けるような格好で立ちはだかった。

 右のわき腹あたりに激痛が走った。


 刺されたあたりに両手をあてがう。

 唸り声を発しながら、床に膝をついた。

「シンジくん!」

 叫びながらルカさんがボクの肩に両腕を回した。

 ルカさんの白のブラウスにボクの血が付いて滲んでいる。


 オフィスの奥にいた内田さんが走ってきて、女の握った腕をほどく。

 包丁は床に落ちた。

 内田さんは、柔道の押さえ込みの体勢で女を床に押さえつけた。

「救急車! それから警察!」と叫ぶ内田さん。

 吉野さんが電話をかけている。


「シンジくん」「シンジくん」

 何度も呼びながら、ルカさんは膝をついたボクを抱きしめていた。

 激しい痛みに、だんだん意識が遠くなってくる。

 電話をかけ終わった吉野さんが走ってきた。

 ルカさんといっしょに、ボクを、傷口のある右側を上にして床に寝かせた。


 ルカさんの白のブラウスの左下。

 ボクの血で真っ赤に染まっている。

「クリーニングで落ちるんだろうか」

 そんなこと、考えてる場合じゃないのに。


「シンジくん」「シンジくん」

 呼び続けるルカさんの声。

 ボクの顔にぴったりと密着されたルカさんの顔。

 こんなに近くにルカさんの顔があるなんて、初めてだった。

 声が少しずつ遠くなっていくように感じる。


 さらに遠のく意識の中で、ボクは思い出した。

 去年の5月、彼女はボクに言った。

「じゃあ、すべての『謎』が解けたら、ご褒美にデートをしてあげよう」


 ルカさんの「謎」が解けないまま、デートもできないままに、ボクは死ぬの?

 痛い。

 でも、こんなに近くにルカさんを感じながら死ねるのなら、

 人生の終わり方としては悪くないかも。


 救急車のサイレンが耳に入る...


ーーーーーーーーーー


 再び目を開ける。


 部屋の中は、さっきより少し明るくなった気がする。


 右わき腹に手を当てて、痛みを抑えるように、そっとゆっくり体を起こす。

 ボクは、病院の個室にいるようだ。


 薄ベージュ色の入院着の前を開く。

 胴体のちょうど胃がすっぽりと覆われるような位置に包帯がぐるぐる巻きになっている。

 ベットの左側、窓際に点滴セット。チューブの先はボクの左の前腕に刺さっている。


 枕の向こうのボードには、担当医のパネルの右横に、デジタル式の日付表示機能付き時計がある。

 2月20日火曜日の朝5時半を過ぎたところ。

 まる一日近く眠っていたのだろうか。


 担当医の「なかむら(た)」というのは、中村大志なかむら たいしさんのことだろうか。

 彼のパートナーは、吉野さんと、ルミるみじょことルミナス女子高校で同級生だった森宮美香もりみや みかさん。

 お二人とも国立天歌あまうた大学医学部付属病院の医師で、大志さんが外科、美香さんが内科だったはず。

 そうすると、ボクは天大あまだい附属病院に入院していることになる。


 右隣から寝息が聞こえてくる。

 ボクのベッドより一段低い、付添人用のベッドに、女性が寝ている。


 シックなダークグレーのジャージ上下を身に纏ったその人。

 あのとき、ただひたすらボクの名前を呼び続けてくれた人。

 ボクの血で、ブラウスが真っ赤に染まるのも厭わずに、ボクを抱きしめてくれた人。


 弁護士法人天歌総合法律事務所の代表弁護士所長、ルカさんこと浅山輝佳あさやま てるかさん。


 起こさないように、ボクは再び、そっとベッドに横になる。


ーーーーーーーーーー


 2月19日月曜日。朝9時前。


「それじゃあ、我々は、東京へと戻るからね」

 そう言うと、浅山美紅あさやま みくさんは椅子から立ち上がった。

 彼女の隣には、夫である浅山輝伸あさやま てるのぶさん。ルカさんの兄君である。


 知ってる人はみんな知ってるけど、彼らは、ここ天歌では頂点に位置する上流階級のひとびとである。

 美紅さんは結婚して苗字が変わったが、旧姓を聞いたらわかる、歴史教科書にも名前が載る名門貴族の末裔である。

 そして輝伸さんとルカさん兄妹の父君は、旧天歌藩十万石の藩主を代々務めた浅山家の当主。


 これだけのハイソでありながら、ふだん彼女らと接していても、全然そんな雰囲気はない。美紅さんは、フレンドリーでチャーミングな女性だし、輝伸さんもハイセンスだけれど、偉そうに感じさせることはない。世が世なら伯爵令嬢のルカさんも、ふだんはごくフツーのお茶目なアラサー女性。ボクの恋心を知ってか知らずか、ちょっとしたことでボクをいじっては喜んでいる。


 美紅さんは、先輩弁護士であるヨッシーさんこと吉野未来よしの みくさんと、ルミ女でバンド仲間だった。副所長のケイさんこと内田恵一うちだ けいいちさんの妹である内田多恵子うちだ たえこさんと、現在は東京で図書館関連の仕事をしている坂上麻衣さかうえ まいさんの同学年4人で、軽音部所属のバンド「ミクッツ」を結成した。そして、高2の夏休みに美紅さんが東京に転校になってしまい、存亡の危機に瀕したミクッツを救ったのが、天大附属病院内科医師の森宮美香さん。


 ルカさんは、ルミ女で彼女らの2年先輩にあたる。ミクッツとは直接の接点はなかったけれど、大学時代に法律関連のサークルで内田さん、吉野さんと知り合い、その縁が天歌総合法律事務所の設立につながった。


「ルカ姉、お義母様をよろしくね」と美紅さん。

 昔からの家同士の付き合いで、彼女はルカさんのことを「ルカねえ」と呼んで慕っているとのこと。

「かしこまりました。お義姉さま」とルカさん。

「ケイさん、ヨッシー。ルカ姉をよろしくね」

「はい。お二人もお元気で」と内田さん。

「また顔見せてね」と吉野さん。

「ええと、新人のシンジくん。ルカ姉の言うことよく聞いて、精進するんだよ」

「はい。承知しました」

 そろそろ入所1年なんですけれど、と思いつつ、ボクも素直に返答した。


「じゃあ、そろそろ行こうか」と輝伸さん。

「足元に気を付けてね」とルカさん。

「みなさん。ごきげんよう」

「じゃあね~」

 そう言いながら、浅山家次代当主夫妻は、事務所の扉を開けて出て行った。


 扉の外に出て4人で見送る。

 降り止まない雪の中、滑らないよう、ゆっくりと二人は天歌駅へ向かう。輝伸さんの左の肘のあたりに、美紅さんが両腕を添える形で腕を組んで。


ーーーーーーーーーー


 天歌市に雪が降ることは珍しい。年に2,3回あるかどうか。

 ましてや積もることは滅多にない。その日の積雪は、何年振りのことか、思い出せないほどだった。


 個室のベッドの横、窓のカーテンを少し開けて、外を覗いてみる。

 5センチほど積もった雪はおおかた溶けたみたいで、ところどころ吹き溜まりのように残っているだけのよう。


 その久し振りの雪の朝、事務所に二組の来客があった。


 一組は浅山輝伸・美紅夫妻。

 二人が東京へ戻るのを見送って、ふだん通りの事務所の一日が始まるはずだった。


 ほどなく訪れたのが、「招かれざる客」だった。


ーーーーーーーーーー


 ルカさんが2年前から手掛けていた離婚事件の判決が、2月1日木曜日に十海家庭裁判所天歌支部で言い渡された。


 判決正本が、原告側弁護士であるうちの事務所に送達されたのが、2月5日月曜日。被告側弁護士にも同じ日に送達されているとすると、今日、つまり2月19日月曜日のうちに控訴されなければ、判決が確定する。当方の主張がほぼ通った判決だったことから、ルカさんはクライアントと相談して、控訴しないことを決めていた。


「結構長引いた事件だったから、確定してくれることを心底祈っているの」とルカさん。

「父親と娘さんが、早く新しい生活のフェーズを確立してほしいから」


 事件の発端は、父親が母親による4歳(当時)の娘への虐待に気付いたこと。父親は児童相談所に相談し、自宅に母親を残して、娘と二人で父親の実家に避難した。写真や診断書などの証拠を揃え、改めて児相に通告。家裁に対する監護者指定・子の引き渡し審判前の保全処分の申立ての段階で、ルカさんが受任した。


 その後、離婚調停の場で母親が「二度としない」と改悛の情を示し、夫婦関係の修復を強く求めた。父親も娘のために両親揃っているほうがよいと考え同意し、申立てをすべて取り下げ、再び三人で暮らし始めた。


 平穏に見える日々が半年ほど続いていたある日、父親が5歳になっていた娘の背中に傷を発見。話を聞くと怯えたふうに「母親に叩かれた」と言った。即日娘を連れ父親の実家に避難した。落ち着いた環境で娘に確認すると、「ここ2、3ヶ月、毎日のように暴言を浴び暴力を受けた」とのこと。


 児相に通報すると同時に、ルカさんに相談し、家裁への申立てを行った。監護者指定・子の引き渡し審判。そして離婚調停は不成立で裁判になり、父親の単独親権、母親の面会交流を禁止する判決が出た。


「面会交流は、母親が最後まで拘っていたけれど、父親は禁止で譲らなかった。虐待のことを考えると、子供を守るため、当然と言えば当然だけどね」


ーーーーーーーーーー


 きょう一日が無事終われば、懸案の裁判も確定し、ルカさんも一息つける。


 その日、朝9時の始業時間から10分ほど経ったとき、その人物がやってきた。


「トントン」とドアをノックする音。

 ボクがドアのところに行き「どなたですか」と聞く。

 答えがない。

 もう一度「どなたですか」と聞く。

 女性らしき声で苗字を名乗る。

 ドアフォンのカメラで人物を確認する。

 ロングヘアとコートがしっとりと濡れて、雪が降りかかっている。

 左肩にはトートバック。傘は持っていないもよう。


 先ほど聞いた名前をルカさんに告げる。

「女性です」とボク。

「離婚裁判の被告女性の名前と同じだわ」とルカさん。

「どうしましょう」

「そうね。寒いし、とりあえず中に入ってもらいましょうか」

 ルカさんは、このひとことをずっと後悔することになる。


 ドアを開けて女が入ってくると、ドア横のカウンターのところで立ち止まり、オフィスの中を見回す。

 ボクはカウンターの反対側に立っていた。

 顔を見て被告であることを確認したルカさんが、席を立った。

「いったいどうしたのですか。ここは裁判所ではないです...」

 ルカさんはそう言いながら、ドアのほうへ向かってきた。


 思いつめたような女の顔が、近づいてくるルカさんを見てキッと強張る。

 左肩のトートバックに右手を入れて、細長いものを取り出す。


 ルカさんが、一瞬硬直したように立ち尽くす...


ーーーーーーーーーー


 再び夢うつつの状態で、ボクは1年前に初めてルカさんにお目にかかった面接の日のことを思い出した。


「深町真二さんですね」と柔らかくもよく通る声。端正な顔に、その当時は長い黒髪を腰まで伸ばしていたルカさんが、ボクに微笑みかけた瞬間、ボクは「瞬殺」された。


 幾つも質問を受け、しどろもどろになりながら答える、というやりとりを重ねる中で、彼女の話し声、言葉遣い、リアクション、表情...ボクがずっと思い描いてきた理想とする女性が、まさにそこにいた。

 ボクの目は面接の間中、彼女に釘付けになっていた。隣にいた副所長の内田さんのことを、あとからほとんど思い出せないくらいに。


 合否の通知まで二週間。彼女のもとで弁護士として働きたいという願いと、あんな受け答えでは到底無理だろうという諦めが巡り巡る、落ち着かない日々を過ごした。

「よろしければ、4月1日から勤務してください」というメールが来たとき、ボクは、まさに「天にも昇る」気持ちになった。馬鹿みたいにスマホを何度も再起動して、メールの内容に間違いがないことを確かめた...


ーーーーーーーーーー


 再び目覚めると6時半。病院が朝の活動を始める頃だろうが、個室の中にはその気配は伝わってこない。

 なるべく痛まないように、そっと上半身を起こして、右側に目を向ける。


 ルカさんの端正な寝顔。

 今日の、この瞬間の彼女の寝顔を、ボクは病院の個室で独り占めしている。

 右わき腹は痛むけど、そんな彼女の寝顔を見られるのが、とっておきのご褒美のようにも思える。


ーーーーーーーーーー


「...ん、うーん」という気だるいような声。ルカさんが目覚めのときを迎えた。

 見下ろすようなボクの顔に気付くと、バタンと上半身を起こした。

「シンジくん。目が覚めたんだ」

「はい。そのようです」

「『そのよう』って、他人事じゃないんだから」

「すみません」

「でも、よかった...ほんとに、よかった」

 右腕を伸ばして、ボクの左の頬をなでた。

「痛む?」

「ええ、少し。じっとしてれば、どうってことないです」

「手術は成功だったって聞いてたけど、やはり目覚めるまでは心配でね」

「ご心配おかけしました」

「本当だよ...って、わたしには言う資格はないけどね」


「ナースステーションに伝えてくる」と立ち上がろうとするルカさんを制する。

「待って...もうしばらく、このままルカさんを独り占めにさせてください」

「...それって、わたし...いま、『告られた』っていうことかな」


 何を言ってるんですか。ずっと前からご存知だったんでしょう。


 ルカさんの顔がボクのほうに近づいてくる。

 ボクはじっとしている。


「すっぴんだけど、怖くない?」

「綺麗です」


 最初にルカさんの鼻がボクの鼻に触れる。

 それを合図にルカさんが首を右に傾ける。

 二人、目を瞑る。


 彼女の唇が、そっとボクの唇に触れる。

 だんだん深く、そしてルカさんの舌が、ボクの唇から入ってくる。

 舌と舌を絡ませて、しばらく成り行きにまかせる。


 ああ、いまルカさんの背中の肩甲骨あたりは、どうなっているんだろう。

 昨日降った雪のように白い羽が、生えているんだろうか。

 閉じた目を開いて、確認してみたいような気にさせられる。

 でも、そんな無粋なことはやめておく。


ーーーーーーーーーー


 どれくらい経っただろう。

 ルカさんが顔を離した。


「だめだね、やはり寝起きにディープキスは禁物だね」とルカさん。

「すみません。歯磨きに行こうにも、こんな状態で」とボク

「別にキミが謝ることじゃないよ」


「わたしを守ってくれたお礼に、退院したらデートしてあげる」とルカさん。

 囁くような口調で続ける。

「続きはそのときに、かな?」

「ええと...ルカさんの『謎』が解けていないのに、デートしてもいいんですか?」

「いいよ。キミが『謎』をすべて解くのを待っていたら、わたし、本格的にオバさんになっちゃうから」

 そう言うと、ルカさんはサイドテーブルの上で腕を組んで顔をのせた。


「そういえば、さっき、目が覚める前なんですけれど」

「うん」

「天井から、天使の白い羽根が、舞い降りてくるのが見えたような気がしたんです」

「羽根?」

 そう言うとルカさんは、付添人用のベッドの頭側に手をやって、枕を手に取った。

「わたしのこの羽根枕から飛び出したのかな...どこも破けてないし」

「たぶん、気のせいですね」


「そう言えばキミは、例の女子高生の恋愛契約の件のとき、天使の羽がなんとか言ってたね」

「ルカさん、ボクの目の前に腕を回して、目隠ししてましたね」

「うら若き二人の乙女のキッスは、純情なキミには刺激的過ぎるかと思って」

「あのとき、二人の背中に羽は見えましたか?」

「そうねえ...それも『謎』の一つにしておこう。もう解かなくていいんだから」


ーーーーーーーーーー


「事務所のほう、大変だったんじゃないですか」

「ケイさんとヨッシーに任せて、わたしは付添に来てたから、詳しいことは知らないけど、大変だったと思う。マスコミも押しかけたらしいし。実況見分は今日も行われるから、床のクリーニングは明日以降かな?」と言うとルカさんは、両腕を上げて伸びの姿勢をすると、腕をだらんと落として脱力する。

「クリーニングといえば、ルカさんの服、血だらけになったんじゃ」

「キミの衣服と一緒に、警察に証拠として提出してる。戻って来てからじゃ、クリーニングしても落ちないかもね」


「でも、泊まり込みで付添していただいて...」

「ご家族が付き添うとおっしゃったのを、頼み込んでわたしが付添させていただいた」

「なんか、もったい無いというか...」

「何言ってるの。キミは、わたしの命の恩人だよ」

 そう言うとルカさんは、立ち上がって、腕をボクの顔のほうに伸ばして、両手でボクの頭を包み込むようにした。

「そして、キミはわたしの...」

 そう言ってボクの首の周りに腕を回した。


 そのとき、個室のドアをノックする音がした。

「深町さん」と女性の声。

「はい」とそのままの体勢で、ルカさんが答える。

「入りますね」

 ゆっくりとスライドドアが開いて入ってきたのは、女性の医療スタッフ。

 首から下げたIDに「内科 医師 もりみや」と書いてあった。

 ルカさんとボクの姿に、一瞬、彼女の目が点になる。


「あ...ええと、深町さん、目が覚めたのですね」と森宮美香先生。

「そう。ご覧の通り」

 ルカさんはそう言うと、美香さんに顔をむけて微笑む。

「よかった。外科の当直医に伝えます。それからタイ...中村先生にも連絡してきます」

「よろしくね」


「ええと、それから...」と美香さん。

「医療従事者にも守秘義務がありますので。どうかご安心ください」

 にっこりと笑うと、続ける。

「ただし、安静にしてください。無理な体勢は禁物ですよ」

 そう言うと、美香先生は、個室を出て行った。


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