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2.暴走する妖獊と禁忌の烙印

プロローグ:異常事態

 地鳴りが止まない。足元の小石が跳ね、木々の葉が不気味に震えていた。森の奥から、赤い目をした妖狼の群れが現れた。通常の三倍は大きい。涎を垂らした牙が夕日に鈍く光る。


「穢れた気配だ……」陸が丹薬を地面に叩きつける。「これは『魔瘴』に侵された妖獣だ。通常の戦法は通じないぞ」


 蘇璃が無言で剣を構える。彼女の青い道服の袖が裂け、腕に滲む血痕が見えた。どうやら先の戦闘で傷を負っているらしい。


(彼女も苦戦してたのか……)

——————————————

戦闘:覚醒の兆候

 妖狼の一頭が猛然と襲いかかる。蘇璃の剣が弧を描き、その首を刎ねた。しかし、切り口から黒い瘴気が噴き出し、周囲の妖狼がさらに狂暴化する。


「倒すほどに強くなる……!?」私が叫ぶ。


 陸が爆裂丹を投げながら説明する。「魔瘴の特性だ。瘴気を吸収した者が死ぬと、残りの個体に力が分配される。やればやるほど不利になる」


 蘇璃の剣が青白く輝き始める。周囲の気温が急降下し、葉に霜が付いた。「一撃で殲滅する」彼女の声は冷たく、剣を振り下ろす直前──膝ががくんと折れた。


「蘇璃さん!」

——————————————

暴走:天魔噬霊体の目覚め

 妖狼の爪が迫る。胸の奥で接引使の声が蘇る。

『貴方の魂は瘴気を糧とする』


 左手首の痣が灼熱に変わった。視界が真紅に染まり、黒い鎖が手の平から迸る。鎖は妖狼の瘴気を貪り、力が洪水のように流れ込む。理性が溶け、意識が深淵へ沈む──


「やめろ! 魂魄が食われる!」陸の叫びが遠のく。

——————————————

目覚め:傷だらけの絆

 気づくと、岩陰に横たわっていた。左手首の痣は黒く変色し、血管のような模様が肘まで広がっている。蘇璃が剣を構え、冷たい視線を向ける。


「……あの力は魔修の術だ。説明しろ」


「わからない……接引使が刻んだ痣が、勝手に動いたんだ!」


 陸が呻きながら起き上がる。「『天魔噬霊体』……仙門が封印した禁忌だ。接引使がなぜ選んだかは謎だが」

 彼の懐から金属音がした。転がり出たのは、青雲門の弟子証──十年前の日付が刻まれている。


 蘇璃が目を細める。「……陸明軒。まさか、十年前に失踪した門主の子だと?」


「ただの噂だよ」陸は苦笑するが、表情に翳りが走った。

——————————————

伏筆:遠くの笑い声

 遠くで地鳴りが響き、不気味な笑い声が風に乗る。「ふふふ……ようやく見つけたぞ……」


 蘇璃の顔が強張る。「この声……あの時の魔修か」

 陸が私の左腕を握る。「痣が『劫』の形に変わったな。接引使が刻んだカウントダウンだ……覚悟しろ」


「『劫』って何だ!?」


「教えるのはまだ早い」陸が森の奥を睨む。「まずは生き延びよう。奴らが来る」

——————————————

エピローグ:三人の影

 蘇璃が剣を収め、一言つぶやく。「……お前の目には、あの魔修と同じ色が映っている」

 その言葉が、後々の因縁を予感させた。

次回予告

「蘇璃VS元師匠の因縁決戦! 陸の過去に迫る謎! そして『劫』の文字が示す仙界大劫のカウントダウン!」

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