ジャン村
「アンタどっから来たんだい?」
「綺麗な金の髪じゃないか。この村の近くじゃ見たことがないよ。」
「それにすっごく綺麗な青緑の目だ!」
歳の頃は15くらいの娘が3人、7つくらいの子供が2人。薬草を仕分けながらヴァルは質問責めに遭っていた。
「ここに来る前は西にある大きな町にいたんだ。そこじゃあもっと派手な色の人もいたよ。故郷はそこから南の方さ。」
たわいも無い会話をしながら薬草をしまっていく。どこの村でも見るような簡単な薬草ばかりで助かった。これなら仕事にも困らなそうだ。
「明日は朝、仕掛けの確認に行くよ。薬草の仕分けは終わりだから、晩飯までは仕掛け作りをするよ。」
年長の娘、ガジャが場を仕切っているようだ。時々ポーッと見られるのは慣れているが困りはする。
(こんな娘さんを誑かしちゃマズいよなぁ…もういくつになったかもわからないというのに…)
仕掛けも自身で旅の途中作る程度の簡単なものだ。不器用ながらもせっせと作っていくと、子供たちからヤジが飛ぶ。
「ヴァルのにーちゃん、そんなんじゃうさぎに壊されちまうよ!」
「ほらここ飛び出てる!ここから穴空いて逃げられちまう!」
ここでもやっぱり仕掛け作りは怒られた。何故こんなに何年も何年もやっているのに上達しないのか謎である。
指摘された部分を直しながら、何とかみんなの半分を作った頃、夕飯の時間になった。
村人から今日の駄賃として幾らかの食料を恵んでもらい、自身のテントまで戻り、食事の準備を始めた。
「芋に野菜までもらえるなんて…この村は作物が豊かだな。以前は干し野菜を一掴みもらったんだったか。」
一人思い出を手繰りながら鍋に芋、人参、干して燻した猪肉、葉野菜を放り込んでいく。良く煮たら最後に塩を少しばかり入れて完成だ。
料理の腕今ひとつ上達しないが、まぁそれなりだ。豊穣の神へ感謝を捧げていただく。
夜寝る前は恒例の神への問いかけをしてから就寝する。
「セフィロト様、何故私にこのような力をお与えに?」