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9.結婚式

第9話

結婚式


 さて、13歳の娘、アデリナ公女と38歳のオッサン、コンラート大公との結婚式が王都で行なわれた。

 王都で行うのは、アデリナがうちの学園の学生だからだ。


 なので、私も、挨拶に顔を出した。


 これで、公国と大公国は血縁ができた事によって、教会に改宗出来る。

 アデリナは、今は学生をしているが、公国に帰られると、マズイ、人質にならないからだ。

 こちらは、エルマーを人質に取られているようなものだ。


 しかし、問題がある。

 長期の休みだ。

 日本で言えば、春休みの時期。「また、新学期にでも!」と言って人質にやってくるか?

 そんなわけない!


 そして、相手の動きは早かった。

 結婚後、推薦状など書く暇もなく、教会は改宗を認定し、公国と大公国は合併し、王国の認定を受けた。

 コンラートは北の国王となった。


 あぁ、やられ放しですわ!


 そして、アデリナ王妃には、あれだけ護衛を付けていたのに、学園から消えていた。 


 さあ、そんな連中は放置して、息子の回収だ!


 急げ! 急げ!

 もう、大公国は異教徒ではないのだ!


 うちも北に巨大な王国が出現したのだ。ボンヤリしていると、飲み込まれる。


 しかし、北の騎士団は大公国で広く異教徒ハンティングを展開しており、即撤退など出来なかった。

 つまり、侵入者として、新生王国と戦うこととなる。


「コンラート殿は、準備万端で結婚式を上げたようですね」

「陛下、そのようです。殿下の位置を確認の上、直ぐに帰還して頂きます」

「えぇ、お願いするわ。宰相」


 あいつは、単なるロリコン親父では無かったようだ。


 しかし、騎士団も何百年も戦争してきた国家だ。

 新生王国が騎士団と戦闘をしている間、何もしていなかったわけでない。

 南の帝国が新生王国との国境で戦闘を始めた。


 騎士団からすると、南の帝国も“我が民族”なのだ。

 そして、うちも“我が民族”なのだから、戦争勧誘が来るだろう。

 ましてや、王太子を手元に人質としているのだから。


 

 しばらくして、エルマーのいる場所がわかった。

 首都のボルク要塞だ!


 戦闘に加担してないのは、ホッとしたが、だったら帰って来ればよいではないか?



***



「ユン総長、大公国が公国の公女と結婚し、改宗したようです。教会はそれを認めた模様です」

「なんだと! では、奴らは異教徒ではないと言うのか?」

「はい、そうなります。大公国との戦闘は?」

「ここで引けん。戦う」

「となりますと、貴族の子女達は如何いたしましょう」

「勿論、大公国との戦争をしてもらおう。彼らの望んでいる本物の戦争をだ!

 改宗したと卑劣な嘘を付いていると騙せ!

 それと、息子や娘を死なせたくなければ、親達も参戦しろと威せ」

「さすが総長です。わかりました」

「それまで、ガキどもは、このボルク要塞で預かる」



***


 

 私の情報網によると、

 西の騎士達が、挙って、北の騎士団と新生王国との戦争に参戦していることだ。

 おそらく、異教徒ハンティングに子供が参加していて、助けに行くのだろうと思っていた。


 そうなると、うちも助けに行くのか? と思っていたら、他国の貴族も自国の貴族も、本格参戦している。


 西の王国の貴族が、南の帝国が、西の島国の一部の貴族が、北の騎士団に付いている。


 あぁ、これは『お前も手をかせ!』と言ってくるなと思いきや、やはり使者が来た。


「参戦のご検討を、お願い申し上げます」

「うちの学生が王妃をしている国を敵に回せん。和平は無理なのか?」

「そんなことをされますと、ご活躍されておられますエルマー様が悲しまれます」


 やはり、人質か?


「騎士団は勝てるのか?」

「勿論でございます。今は、西の騎士団のみで戦っておりますが、東の騎士団も加わりますと、戦力差で圧倒できます。今は様子見でございます」

「そうなのか?」

「はい」


 大公国の使者と話が違う。


 それと、正直、共倒れが一番助かる。

 北に巨大な王国など、邪魔でしかない。しかし、ヒャッハー騎士団も不要だ。

 腐敗したという噂は聞く。

 不道徳を今までは、異教徒ということで、はけ口があったが、これからは違う。



「エルマー様もおられます。是非ともご参戦をご検討ください」

「エルマーは、見捨てる」

「「「えっ!」」」と、使者も臣下もそう言った。

「北の騎士団が認めた騎士の称号がある者なら、一人となっても生き延びれるだろう。妾は助けん。本人にそう伝えてくれよ」

読んで頂き、ありがとうございます。


短期集中連載、あと6話です。

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