表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/16

8.同窓会とヒャッハー電撃隊

おはようございます!


北の騎士団 8話

第8話

同窓会とヒャッハー電撃隊



 そのころエルマーは、北の騎士団の首都:ボルク要塞を目指していた。


 彼は、『半年ぶりに同級生に会える』ということで、頭がいっぱいだ。

 そして、ボルク要塞に到着すると、各チームに分かれて行動することになっていた。


 エルマーは“ヒャッハー電撃隊”という昭和テイストな5人のチーム名だった。


 そして、その電撃隊には、エルマーの同級生が含まれているのは当然で、騎士団の思惑が垣間見える。 


 しかし、2人は同級生でなく、西の島国からの女性が含まれており、メアリーとマーガレットと言う姉妹だったのだが、彼女が言うには、

「我が王国には、男爵以上の男子しか騎士になれないの。だから、この騎士団のイベントに参加して騎士の称号を得るのよ」


「なるほど」とエルマー達、王国貴族は頷いた。


「そう、皆さんご存知ですか? 異教の顔を!」

「異教徒の顔ですか?」

「なんでも、口は耳の下まで避けて、目はほとんど無いぐらい小さいらしいですよ」

「お姉さま、大きな口で頭から食べられたら、どうしましょう……」

「ご心配なく、私達がついておりますので、そんなことはさせません」と言ったのは、同級生の一人だった。

「そうですとも、殿下もおられます。殿下の剣の腕は、それはそれはッ」

「あまり揶揄うなよ。実戦は、これが初めてなんだ。皆、気を引き締めて行こう!」

とエルマーが言うと、他の貴族達も微笑みながら、頷いた。



「メアリーお姉さま、“ヒャッハー電撃隊”って、何ですの?」

「う~ん、きっと“ファイブレンジャー”の後番組よ」



「整列!」と若い騎士の声が聞こえた。


 すると奥から、髭を生やした騎士が歩み寄ってきた。

 北の騎士団のトップにあたるユン総長だ。

 ユン総長は、兄のコンラート総長が病気で退官された後の総選挙で、満場一致という前代未聞の得票数で総長になった方だ。


「諸君、よく北の地に来られた。ここは戦場だ!」


 若い貴族の子女は、鎧姿に髭のユン総長の一言で、酔ったかもしれない。


「我々、神の民は異教徒どもを成敗する必要がある。

 何故なら、彼らの存在は神への冒涜である。教会の外に救い無く、いずれ地獄に落ちる者たちである。

 なら、今すぐ、地獄に送ってやることが、愛なのである」

 エルマーは「何のことやら」と思ったが、周りが歓声を上げているので、空気を読んで同じようにすることにした。


 さて、総長の挨拶が終わり、各チームのブリーフィングルームへ移動することとなった。


 しばらくして、騎士団の騎士が一人やってきた。

 その騎士は大柄な体格だが、粗野でなく紳士的な男だ。

 この1か月間は、彼が隊長となり、その下で戦闘を行うことになる。


 そして、早速、明日の昼からの作戦の説明がなされた。


 その作戦は、城壁の中に入り込んだ異教徒殲滅という内容だった。

 城壁には弓兵がおり、容易に近づくことが出来ない。

 各自、盾などを用意し、味方の援護の中、城壁にとりつく。

 中に入れば、3人一組で戦闘となる。

と、言ったものだ。



 翌日、エルマー達、“ヒャッハー電撃隊”は、包囲している城壁へ向かった。



***



「貴族のガキどもは出かけたか?」

「はい、総長!」

「そうか、包囲しもう1カ月以上経っている。敵も、相当疲れておろう。武器も食料もあと数日。そこを落とせんようでは、騎士とは言えんの」

「はい、ですが、死なれても困ります。貴族の子女ですから」

「そうだ。毎年来てくれて、カネを落としてもらわないとな」

「そのために、たやすく落とせる戦場を作り出しておりますから」

「だな」



***



 エルマー達は、城壁の前に着いた。


 ほかにも、“太陽部隊”なるチームも来ていた。また、反対側の城壁にも3チームきているようで、5チームで攻撃を仕掛けるようだ。


 さあ、作戦の確認だ!


 隊長の合図で、盾を持って突撃する。

 弓兵の弓矢を避け、城壁まで走り切る。

 全員無事なら、ドアを破り、中に入る。

 敵と交戦し、進んでいく。


 初戦闘の者が多いが、何とかなっていた。

 城壁を突破し、市街地に入ろうと思った時、前を行く同級生が倒した敵兵が気になった。


『本当に、この異教徒は耳まで口が裂けているのだろうか?』

『本当に、目が無いのだろうか?』


 他の隊員が市街地を見ている隙に、エルマーは鎧の隙間から異教徒の顔を見てしまった。

「これは……」



「他の部隊も城壁にとりついた。さあ、市街地に突入だ!」と隊長が言ったのに併せ、電撃隊は突撃していく。


 さて、市街地は簡単に落とせ、ボルク要塞に電撃隊も戻ってきたのだ。

 あの市街地に、あの城壁に、“口が裂けた” “目が無い”、いわゆる異教徒はいたのだろうか?

「オレは見なかった。誰もオレたちと変わらない兵士と市民だった」


 すると、

「お姉さま、相手の異教徒、凄かったわ。口が大きく避けていたの。怖かったわ」

「俺も見たよ! 眼とか無くて怖かったよ」

「本当に怖かったよね」


『えっ? 皆、何を言っているんだ。そんな奴はいなかったぞ。オレは兜の中を覗いたんだ』


「殿下! 殿下も異教徒の顔を見ましたか?」

「あぁ」

「凄かったですよね」

「あぁ、そうだね」


 皆、どうしてしまったんだ。それともオレがおかしいのか?


読んで頂き、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ