6.秘策
おはようございます!
第6話
秘策
私の秘策は2つ!
1つは、以前の北の公国と同じく、北の大公国も改宗すること。
もう1つは、騎士団の内部分裂だ。
『そんな簡単に言うなよ』と思われるかもしれないが、改宗は教会としては、大歓迎だ!
「教皇様、北の大公国が改宗したいと言ってます」と誰かが言えば、信者が欲しい教会は大喜びだ!
ましてや、かなりの人口と広大な土地のある北の大公国なのだ。
喜ばないはずはない。
そして、改宗すれば異教徒でなくなるので、異教徒狩りにはならず、聖戦ではなくなる。
それは単なる暴力なのだから。
もう1つの手は、これは難しい。内部を分裂や崩壊させるのだから。
とはいえ、すでに分裂しているとも言える。
何故かというと、北の騎士団国は、元々、東西に分裂した国で、その間に大公国があるわけだ。
そして、異教徒をハンティングしているのは、西側の総長のいるところなのだ。
また、東側は長官が指揮しており、彼らは東遷を目指している。
実は、西と東は、全く異なることを目指している国なのだ。
ここが付け目となる。
東西が上手く協力すれば、大公国を挟み撃ちに出来るが、裏切れば半分の戦力しか使えないのが、北の騎士団の弱点だ。
では、どうすれば良いのだろうね?
順序を間違えると、野蛮人が攻め込んでくるぞい。
***
一方、エルマーは、異教徒狩りを楽しみにしていた。
学園で同級生だった友達に会えるのだから。
また、彼らと馬に乗り、野を駈けることが出来るのだから。
落ち着かない。
早く出発したい。
そして、出発当日、母上を始め皆に見送ってもらい、王都を出た。
国防大臣は、経験者とあって色々と、教えてもらった。
早く、皆に会いたい。
***
「エルマーは行ったか!」
「陛下……」と、宰相のハインリッヒが言った。
私は、小さく首を何度か振った。
しかしである。
世の中は、わからないものである。
このハンティングが終わったら、こちらから、出向こうと思っていた北の大公国から、隠密に使者が来たのだ。
しかも、この私に協力要請だ!
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