3.騎士の称号
第3話
騎士の称号
騎士とは、実は国によって、意味内容が違う。
例えば、西の島国では、男爵以上の男子でないと騎士の称号は取れない。ということは、この島国では女騎士という称号の人物はいないことになるのか?
我が王国周辺では、男爵以上という決まりはない。
軍人で騎乗する騎士で、それなりの武勲を挙げれば、王国から騎士の称号は与えらえる。
しかし、騎士団が認める騎士とは、また重みが違う。
戦闘集団である騎士団が、騎士の中の騎士と認めるのだから、他国に行っても、その者は騎士の中の騎士だ。
そして、多くの貴族がこれを望んでいることが、さらに箔をつけているわけだ。
修道騎士団とか騎士修道会というように神への忠誠心、公平性、勇気など、徳をそなえていることが問われるが、実際のところは、私から見るとどうだか???
まあ、ここにいる国防大臣も騎士の称号を持っているが、神への忠誠心とやらを見たことが無い。
よく食い、よく飲み、よく叫ぶ、そんな感じで、人は好いが、徳があるかと言うと、無い!というかタイプが違う。
要約すると、各国家認定の騎士は、基準が違うので他国でも騎士かと言うと、疑問があるが、騎士団承認となると、どの国に於いても、異論の余地なく騎士なのだ。
だから、どの貴族も喉から手が出るほど、『宗教的に見て優れた人物で、かつ勇敢の証明である騎士の称号』が欲しいのだ。
さて、うちの息子が、後に「人間ハンター」という悪名を得るかもしれない、そして、北の騎士団の宣伝に、良い具合に使われるか否かという時、国防大臣は、「良いではありませんか? 南の帝国など物騒な奴もいます。戦闘経験は、今後役に立ちます」と気軽に言ってくれた。
本人もその気になっている。
これは、やむ無しなのか? もしそうならば、せめて一番に申込むのは辞めて欲しい。宣伝文句に使われるからだ。
私は、宰相に言って調査をさせた。
「恐らく大陸の貴族に、これを招待していると思いますね。一番に申込めば、『王国の王子も参加!』等と宣伝に使われる可能性があります。他の貴族に手紙が届いているか、調査をお願いします。あと、締め切り日も」
「わかりました」
と、ひとまず保留にして、調査をした。
と言うのは、この手紙には回答の締め切り日が書かれていた。
つまり、王国王子など上の者が参加するとなれば、宣伝文句に使われる可能性があるのだ。
実際、この公爵の推薦文など、本人が書いたか怪しいものだ。
そして、調べると上級貴族のみダイレクトメールが届いており、早い締め切りになっていた。
やはりか!
なので、「公務で忙しいので、締め切り日を超えて回答するので申し訳ない」と返信させておいた。
息子の様子を見る限り、参加を断ることは難しそうだ。
あぁ、不安が立ち昇る。
読んで頂き、ありがとうございました!
本編もよろしくねぇ!