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2.ダイレクトメール

第2話

ダイレクトメール


 エルマーを呼び出し、宰相や国防大臣と手紙の中身を見てみることにした。


 まず、手紙を開くと「異教徒狩りは教会の教皇様も認めた『聖戦』である」と記載されていた。


 なるほど、自分たちの商売の正当性を説明する。


 商売として大事だ。


 次に商品説明だ!



 〇神のご命令は「異教徒は消毒せよ!」である

 1:お手軽 1週間コース……初めての方は、まずはこちらから。


 2:しっかり 2週間コース……異教徒も貴方の顔を見れば恐れること間違いなし。


 3:たっぷり 1カ月コース……これで貴方も騎士の称号が得られます。


以上


 なんだ、このヒャッハーな商品案内は!?


 聖戦と言いながら、お手軽に殺人か?


 しかし、ここは異世界だ。21世紀の日本ではない。

 ではないが、こんなイベントに我が息子を参加させるのか?

 本当に良いのか!


 そこで、ダイレクトメールには、西の王国の騎士:〇〇公爵様のご推薦状


  我が公爵家は、毎年、参加しており、すでに数百に及ぶ異教徒を……


と、この様な感じで、参加した貴族の推薦文が簡単な自画像と共に、いくつか記載してある。


 さらに、当王国で参加した貴族の名前もあるではないか!

 ダイレクトメールの締めくくりは、

「ご学友様をお誘いの上、ご参加、お待ち申し上げます」だった。


『若くて血気盛んな息子を止めることは出来そうもないだろう』と考えていたら、

「そういえば、学園の同学年だったスピィ伯爵の長男が、1カ月コースを申し込んだと聞きました」とエルマーが言うではないかッ!

 

 や、やられた! 騎士団は、もう手を回していたんだ。


 同学年の伯爵の嫡男が、王子より先に騎士の称号を得るとなると、王子としては、自分も欲しくなる。

『負けたくない』と思ってしまう。若い王子の心を鷲づかみではないか。

 これはやられた。


 もうどうすることも、私にはできないのか。

 周りを見渡すと、国防大臣は参加に肯定的なのだろう、明るい顔をしている。


 一方、宰相は考えている様子だ。

 私の苦悩を、少しはわかってくれたかもしれない。だが、彼も21世紀から来たわけではなく、この異世界の住人として生まれ育った人間だ。どこまで私の考えを共有してくれているのかはわからない。


 もし、この異世界で、21世紀の世界と同じような人権がある時代になったとき、息子が『人間ハンティングをした悪王』と呼ばれるようになるかもしれない。

 それは、私が止めれば、避けれられる。そのタイミングは今なのだ。


 私は、息子に“人間ハンティング”等に行って欲しくはない。だが、止めれば、教会公認の騎士団の事業を、真っ向から反対したことになる。


 そうなれば、教会との軋轢が生じないか?


 その場合、かつての旧帝国の皇帝みたいに、三日三晩、薄着で門の前で泣き叫ばないといけないことになる。

「お許しください」って。

 あぁ、どうすれば良いものか?


読んで頂き、ありがとうございました!


本編もよろしくね。

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