11.ヴァルトの戦い 2
第11話
ヴァルトの戦い 2
ユン総長と騎士団、貴族らは出撃して行った。
エルマー以外の電撃隊の仲間は、ユン総長らと出撃して行った。
自分も志願したが、却下された。
何故だ!
実家の戦力と合流して欲しいと言われたが、実家からは『援軍は出さない』と母上から連絡があった。
なら、自分一人でも!?
さて、総長率いる北の騎士団は国境まで、行くも敵は見つけられなかった。
まさか、すれ違うはずも無い。
あぁ、川が邪魔で動きが制限される。
と、思いきや、朝靄の向こうに、新生王国軍が移動しているではないか!
「敵軍、発見!」
「川を渡らせるな!」
檄が跳ぶ!?
マスケット銃、野戦砲、射石砲の準備が、直ぐに整った。
騎士団は練度が違う。戦うことにかけては、何処の軍隊よりも優れている。
それを見て、歓喜の声を上げたのは、スピィ伯爵の息子のラウレンツだった。
「さすが騎士団! 殿下も来れば良かったのに!」
「本当ですわ! お姉さまもそう思いませんこと?」
「まあ、マーガレットったら、エルマー殿下がお気に入りなんですね」
貴族子女達の笑いが漏れた。
新生王国軍は、騎士団のあまりの迎撃体制の早さで進軍を止めた。
そして、川を渡ることが出来ないので、撤退を始めたのだ。
「追撃か?」と、逸る貴族子女達。
しかし、ユン総長の指示は、“迂回して川を渡る”だった。
こちらが川に入れば、相手も迎撃するのだ。危険を避け、川の上流に回り、追撃をする参戦を総長は取った。
しばらくして、騎士団は新生王国軍を見失った。
若い貴族子女達は焦っていた。
この戦いで騎士の称号が欲しい。実戦で称号を掴みたい。
しかし、ユン総長は焦りもなく、淡々と進軍を指揮していた。
どのみち、狭い範囲内、逃げ切れるものではない。
敵を追いかけて、日が暮れ、その日は野営となった。
そこに、情報が流れてきた。
「新生王国軍は、この4キロ先のウル村を襲撃! 皆殺しにした。女は胸を切り裂かれ教会に集められて火を付けられ、村は全滅した」
騎士、貴族、問わず皆が立ち上がった。
怒りに震える者、叫ぶ者、皆、様々な感情が込み上げていた。
そこに、ユン総長が現れた。
「しょ、諸君んんん! 今の話を聞いたか?
これで良いのか?
このままで良いのか?
これを黙って、見過ごして良いのか?
否!?
良いわけが無い!
敵は我軍より、数では勝っている。だが、我軍の練度を見よ! 我軍の規律を見よ! そして、敵はカスであると!」
騎士の中から、
「そうだ! 総長の仰るとおりだ!」
「そうだ!」
「そうだ!」
「このまま、夜間でも進軍しようぜ! 今すぐ助けに行こうぜ!」
「おう、行こうぜ!」
「すぐ行こうぜ!」
読んで頂き、ありがとうございます。
短期集中連載も11話です。
あと4話ですので、よろしくねぇ♪
本編もよろしくです。