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僕には小説は書けない

作者: ロス

 僕はこれまで数え切れないほど小説を読んできた。否、数えれば数百幾らだろうが。


 そのどれもが名作であったとは言い難い。が、そのどれもが何十もの人々を、あるいは繊細に感情を作り込まれた数人を書いていた。


 ある日僕は自分で小説を書こうと考えた。しかしどうも上手くいかない。「小説の書き方」の様なエッセイも読んだ。小説の構成を詳しく観察する様になった。それでも小説は一向に書ける様にならない。


 まず主人公に自分を投影してしまう。自分が主人公の立場に置かれた時どうするのか、と。そんなこと些細な問題かと思うかも知れないが、そんな事はない。自分には自分がするであろう判断以外の事を主人公にさせられないのだ。


 例を挙げてみよう。例えば主人公に好きな女の子が居るとする。僕は生涯人に恋したことは有っても告白したことは無い。つまり、主人公が好きな女の子に告白するときの感情がまるで理解できないのだ。僕には理解できない感情を書くことはできない。従って僕の書く小説で主人公も、所謂ヒロインの立場の女の子も告白することはないと言うことだ。


 少し話は変わるが僕は完璧主義者であると周りからよく言われる。初めてそう言われたとき自分にはその自覚が無かったし、とても自分が完璧主義者だとは思えなかった。なんたって自分が完璧ではないからだ。そして完璧な人間が居ることも信じていない。


 しかしながら、人は完璧を目指すべきだと考えているのは確かだ。失敗をしない事が重要であると考えている。これだけ聞くとやはり完璧主義者ではないかと思うだろう。だがこの考えの原因は自分の臆病さにある。


 失敗を極度に恐れ、失敗に過度の羞恥心を抱く。そんな自分にとって失敗は恐ろしい事であり、自分が「欠けている」状態でいることは認められないのである。


 これが次の小説を書けない理由だ。自分の書いた文章に「突っ込みどころ」が有ってはならない。そう心の底から感じている。冒頭で「否、数えれば数百幾らだろうが。」と書いたのもこれが原因である。この性格のせいで仮令文章を書いても何度も何度も消してしまう。自身の過去作を何度書き直したことか。


 そして書き直すうちに書いている作品が変で歪に思えてしまい、作品への情熱を失っていくのだ。


 このエッセイを書いた理由の一つは自分の問題点を明るみにすることだった。小説を書いていると言うことすら烏滸がましいほどに執筆から逃げていた自分を変えようと思ったのだ。


 先ずは小説を無理矢理にでも一つ、完結させようと思っている。(先程の問題を何も解決できていないが)


 恐らく自分にとっても読者の方にとっても満足の出来ない作品になるだろうが、その作品を踏み台にしてより良い作品を作れたら良いと思う。


どうぞ期待しないで待っていて下さると幸いです。

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― 新着の感想 ―
[一言] ロス様 イタリア皇帝と言う者です。 何度も書き直している内に物語の方向性が変わる。わたしもよくあります。私見ですが、これは「木を見て森を見ず」だと思います。小さな技術的な点に囚われて全体…
[良い点] 修正を加えると歪に……わかります!なぜか、当初の内容と変わって“?“てなって書く気力が低下します。 お互いいい小説書ける日目指して無理しないよう頑張りましょう\(>_<)/
[一言]  めっちゃわかりますー  書いてて「うわっ、わかんねぇー」とか、「これダメじゃね?」ってなるんですよねー  短編から書くのでも良いのかなぁーと思いました。後は貴エッセイのように伝えたい気持…
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