《壱》
始めましての方は始めまして、知ってる方はご贔屓に335です。
この度はご閲覧いただき有難うございます。
今作は、私の作品群で特に人気のある【ヒーローの居る町】その続編となります。
個人的にも結構思い入れのある作品だったので、続きが書けるのがとてもうれしいです。
(執筆中はひーひー言ってますが(;´∀`)…
コロナ騒ぎで外に行けない時分ではございますが、せめてこの作品を見ているひと時だけでも、楽しんでいただければ幸いです。
★なお今作は2019年の冬コミ(C97)で頒布した『初版ver.』となります。
現行の同人誌版(第二版)とは一部異なる部分もありますのでご了承ください。
紀年法が『西暦』から『世界暦』へと置き換わり幾年月。
世間一般に言うところの『宇宙人』という存在は当たり前となり、知的生命体が住む惑星間の活発な交流は、共にもたらされた超文明の技術によって地球科学を飛躍的に進歩させた。
また交易は地球にとっての重要な財源となり、自然豊かで春夏秋冬四季折々を楽しめる地球の気候を一目見ようと、来訪する地球外観光客も年間五百万人を優に突破。
最近では地球への移住者も日ごと増加傾向にあり、近年は科学と魔術のハイブリッド技術による【空中都市】の建造も盛んに行われている。
しかしながら、来訪者全てが融和や平和といった『善意』をもって地球を訪れているとは限らない。
悩ましいことに、地球の潤沢な資源や良質な生産品を狙って、侵略や略奪目的に地球へ襲来する者。
逆に地球から暗黒と星の大海原――宇宙へと乗りだし、他の惑星への侵攻を企てる不届き者も少なからず居る。
だが安心して欲しい。
ご存知の通りこの世界には、そういった『悪意』に対抗し、取り締まる手段と力を持つ異能の人々『超人』たちがいる。
さて、物語の舞台は極東アジア海域に浮かぶ、十二の群島地域によって形成された島国【ニホン】。
ニホンの北に位置する【子ノ島諸島】の中心都市から電車で一時間ほどの場所にある田舎とも都会とも言えない町【尾ノ枝町】である。
この町を拠点とする『超人』たちは、全宇宙的に見ても特に抜きん出ていた。
それと言うのも、ここ尾ノ枝町は『地球連合政府』と『銀河連合安全保障理事会(通称G.U.S.C.)』が共同運営する、宇宙事象対策者養成学校【超人学園】その本校の所在地でもあるのだ。
数多ある養成校の中でも地球内外から受験者が殺到する名門で、教職員は勿論、在校生に至るまで、同学園に所属する全員が何かしらの超常的能力を持った超人で構成されている。
生徒達は十年という在学期限の間寮生活を送りつつ、パートナーとなる『パル』の獲得や、『超人』として活動する為の『体』と『技術』、そして『心構え』を学んでいく。
入学したての一年生ルーキーは地球圏内の活動に制限されているが(遠くても衛星である月まで)、二年生以上からは一人ひとりの実力によって『S・A・B・C』四階級にクラス分けされ、活動域も太陽系周辺へと段階的に広がっていく。
特に五年生以上ともなれば、活躍の場は天の川銀河の外へと及び、進級自体もAクラス以上の実力が無ければ認められない。
まさに選りすぐりの先鋭が育つ仕組みを持った学園という訳だ。
…と聞く限りでは、さぞかし優秀で屈強な超人像を諸君は想像するだろう。
だが『超人』とはいえ、人は人。
程度や治りの速さは違えども、怪我もすれば病気にも抗えない。
中でも今現在、世界中で蔓延する大病には一般人のみならず、数多くの超人も苦しめられていた。
その病の名は、ずばり『五月病』だ。