〜伝説の始まり?〜
「はぁっ、はぁっ…!」
里山の森に3人の吐息が木霊する…。
「無理だってあんなの!強すぎるって!」1人は少女。3人の中で1番軽装の彼女は、小型のステッキを片手に握り締めながら木々の隙間を全力疾走で駆け抜ける。
「おい!速く走れ!追いつかれるぞ!」もう1人は少年。背中に袋を背負った彼は、軽装の少女の背中を追いかける。
「いやぁ…無理でしたかねぇ…」そして少女。右腕にペンデュラムを携えた、黒のローブの彼女は、後ろから走ってくるゴブリンに追いつかれそうになっている。
そう、ゴブリン。この地方では、とてもポピュラーなモンスターである。主に里山の森に住んでおり、森の木の実を主食としている。稀に人里に降りてきて、農作物を荒らすことでも知られている。繁殖力の高さも有名で、あまりに増えすぎた場合にはハンターを招集し、狩猟大会が行われる。単体の力はとても弱く、10体以上で行動しないと並の冒険者1人も倒せないと言われている。
ところで、先程逃げていた3人は同じパーティに所属する冒険者なのだが、彼らは5体のゴブリンに散々追い回されていた。
はて、これはどうしたことだろうか…