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小さな君と小さな小さな僕ら  作者: 水瀬誠人
4/5

2度目の年末1

次に会うのは今年の年末という約束はしたが、別にその日以外に遊びに行っても構わないんじゃないかと思って、皆を誘って柚葉の家に訪問したがあいにく留守にしていた。実はこの訪問は、今年に入ってから2度目なのだがどうにもタイミングが合わない、それも日曜日の訪問だからというのもあるのだろう。

「まあ、どっかぶらつくか?」

「いや、文也の家でまた駄弁っておけばいいんじゃないか?」

「それもそうですね。」

「おう、家こい家俺が許可するよ。」

「許可なくても勝手に行くよ。」

電車から見た景色に柚葉のお母さんと帽子被った子供が一緒にいるように見えたが、見間違いなんだろうと考えを正した。

桜の木は夏になり緑を彩っていた。その緑が色を無くし綺麗な散髪をし終えた時に俺達はまた電車に揺られていた。

「今年は、人身事故は起きなかったみたいだな。」

「そうそう起きるもんじゃないですよ。」

「今年は柚葉ちゃんと一緒に年が明けてから参拝に行くんだろ?」

「そもそも柚葉ちゃんが僕達との約束を覚えていますかね。」

「おぼえてるに決まってるやろ、バーカ。」

「それもそうですね、こっちには和也もいますし。」

「なんで俺なんだ?」

「なんでもありませんよ。」

「着いたぞー!早速ホールに行こうぜ!競走な!」

今年も競走か。だが今年は、人の出入りが少なくスムーズに走れた俺は2番手で到着した。3人揃って中に入ると、曲を聴き入っている帽子を被った柚葉の姿を見つける、やはりあの時見かけたのは柚葉であっていたらしい。柚葉も小学五年生になり、再来年には大学生と中学生と犯罪臭がしてくる年齢へと近付いてることに不安を覚えながら、柚葉へと話しかける。

「柚葉、来たぞー。」

話しかけても反応はない、いや反応はあるのだが無視されている。何か怒らすような事をしたのか?

「おーい、柚葉さーん。柚葉ちゃーん。ゆーずーはー?」

いくら名前を呼んでも口を聞いてくれない。ここまで無視を決め込まれる覚えはさすがにないと思った所で1つ思い出す。

「お迎えに上がりましたよ、お姫様。」

「はい!」

ここでようやく柚葉が反応をしてくれた。反応をしてくれたのはいいのだが、後ろの3人が皆笑っているのがどうにも気に食わない。

「なんだよ。」

「いや、何も無いですよ。」

笑いながらそんなことを言われても全く持って説得力が無い。

「勘弁してくれよ、柚葉ほんと。」

「だって、最初に話しかけてくれた時を思い出してたんだもん。」

「今年は泣いて無かったみたいだからいいじゃないか。」

「もう、それは触れないでよ。」

「ごめんごめん。それでだ、今日は鬼ごっこじゃなくて神社へと参拝だ。」

「そうなの?なら待っててお母さんを呼んでくるわ。」

「なら柚葉の家までのんびり歩こうな文也。」

「そうですね、それも趣があると思います。」

「なんや、その話し方。」

「椿のモノマネでございます。お坊ちゃま。」

そういった文也が俺と椿にキツく睨まれた瞬間に逃げろ柚葉ちゃん!と言って柚葉と一緒に走ってしまった。

「ちょっと、結局競走じゃないですか。」

「まあいいんじゃないか?たまには。」

たまにの年末くらいはしゃいだって、神様はきっと怒らないし温かい目で見てくれるだろう、現に俺達の競走を月が笑いながら見守っている気がした。

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