王子の楽しみ
俺は争いは好まない。
俺は小さい頃から騎士として、王子として育てられ、そしてめでたく騎士長に選ばれた。
王座には俺の母さんが座っていて、珍しい女王の例だ。俺の父さんは俺が幼い頃に死んでしまったからである。ちなみに俺の母さんは王子として育てたかったが父さんが騎士として育てたがってたので俺は両立をしてみせる!と宣言して今に至る。
昔から青の国は剣は人を護るためにあるとうたっている。それなのに戦争が起こることが俺にはどうしても不思議だった。
騎士長になったら、どうしても争いはしたくない。
そう思っている。
そして俺は、あの子がとても大好きだ。
それは、赤の国の騎士長のあの子。
真っ赤な髪に、真っ赤な目。
見る人が見ればとても恐ろしい人で、俺もちょっと怖かったりするけど。
本当は優しい人なんじゃないかな?
ほんとは素直じゃなくて、すごく可愛い。
昔から知ってるけど、大きくなった姿を見てからもっと好きになった。
今日も会いたいな、と白い愛馬に乗って今日も赤の国へ行く。
これまで騎士長が赤の国に行くなんて、余程のことがない限り行かなかったらしいけど俺は訓練が終わったらレイがいそうな日に馬を走らせては赤の国へ行く。
森を走り崖の橋を超えて、しばらくして森を抜ければおどろおどろしい空が見える。
それでも俺は胸をどきどきさせた。
あぁ!早く会いたい。
王子のくせに、騎士のくせに敵と仲良くしてるなんておかしいと思う?
ううん!そんなことない。
だってあいつも俺も同じ人間で、敵国なのは仕方ないけれどあいつと俺は敵じゃない!そうでしょう?
今日も会いたい。
明日も会いたい。
大丈夫大丈夫。ちゃんと騎士の訓練は怠ってないから、あいつと互角なはず。
レイはすごく強いから、それについていけるように俺も頑張らなくちゃ。
あ、もう着くね!
「ふふっ、今日もきっと可愛くてかっこいいんだろーなぁ。」
素直じゃない猫みたいな君に今日も明日もあいにいくよ。