チーム(レジスタンス)
前回と会話が続きます。
◇
「なるほどねぇー。つまりあんたたち三人は幼馴染ってコト?」
アリスから毛布を受け取り、体をそれで覆うことで余裕を取り戻した澪が言う。
「そうだねぇ。俺とコイツが3歳ごろ出会って。その3年後くらいに、俺らのウチの近くにフジモトが引っ越してきたんだよね。」
タケルが俺の方を親指で示しながら言う。
「うぅーん。この六人の共通点は、同じ学校に通っていることぐらいか・・。それかある程度親密な男子3人と女子3人を選抜?・・いや違うなぁ・・。」
アリスがぶつぶつ呟いている
「だめだねぇ・・さーっぱり分かんないよ。なんで私ら6人が取り残されたのかも、どうして“私ら”なのかもね。」
お手上げといった感じのアリスに暁先輩は頷き。
「私とアリスや男子三人ならともかく、澪さんとは初対面ですからね・・。共通点らしい共通点もないと思いますね。」
「一方的にだったら暁先輩のことは知っていますよ。剣道の表彰とかで、しょっちゅう名前聞いてますので。」と澪
・・・。
うーん
このまま話していても埒が明かないな。
6人だけが残されて既に10分ほど経過している。
もしかしてこのまま密室で餓死ルートの可能性も微レ存!?
恐ろしい想像をした俺だが、救いの手はあっさりと現れた。
『ピンポンパンポーン』
いつか聞いたチャィムが鳴り、俺たち全員がはっとした表情をして耳を傍立てる。
『大変お待たせしました。
これよりあなた方6人による第三勢力、《レジスタンス》の説明に入りたいと思います。』
アリスが、ぴくりと反応する。
「第三勢力・・・?ということは男子でも女子チームでもない三つ目のチームができたってこと・・? まさか・・200vs200vs6ってことですか、マジですか。」
それを聞き、みんなも意味を理解したようで絶望の表情を顔に張り付かせている。
『ですが第三勢力といっても、他のチームとの数の差は200以上。そのため救済措置として、あなた方六人はこの世界において強力な存在となっております。』
なぁんだ、と俺はほっと息を吐く。
200以上の数の差を埋めるほどのアドバンテージ・・つまり俺や他の皆は、個々が一騎当千となる存在と化してしまったのなら心配はなさそうか。
『あなた方の目標は特にはありません。
少々困難ですが、男女2つのチームのフラッグを持ち帰れば勝者となり三億を6人占めすることもできます。ですが、あなた方はいつか《レジスタンス》の名前の通り“なにか”に反抗することになるでしょう。自分たちが正しいと思うことを為すこと、それが貴方達の存在意義です。
・・以上で《レジスタンス》について説明するべきことは終わりました。
では1分後にあなた方の転移を開始します。』
それを聞きながら、6人は円になるようにお互いを見回していた。
タナカもフジモトも暁先輩もアリス(先輩)も澪も・・そして俺も同じ顔をしているのだろうか。
それは不安の表情だ
これからこの6人でやっていく不安、《レジスタンス》として大業を任せられる不安。
様々な不安要素がある中、且つこんな《ゲーム》に強制参加させられて、平然といられる方がおかしい。
だけど、俺は笑った。
あの時もそうだ。
幼い頃フジモトとタナカの三人で山で遊んでいたら、危うく遭難しかけたことがある。
夕刻になり辺りが暗くなる中、俺は精一杯笑って二人を励ました。それまで涙目になって震えてたくせに、俺につられて二人も笑って、そのまま夜になるのが楽しいかのように笑いながら下山したのだ。(そのあと親からはこっぴどく怒られた)
そう今は不安になっててはいけない。
《ゲーム》は楽しむためにあるんだ。
だからゲームスタートぐらい笑って迎えようぜ。
笑いながら皆の顔を見ると、一同可笑しそうに笑っていた、
「ぶっほwww」
「懐かしいなぁ、昔を思い出すね。」
「あ、あんた、突然笑いだすのは卑怯でしょw」
「ふふ、有難うございます。少し不安が解れました。」
「ははは!面白いね、君」
もちろん最初に吹き出したのはフジモトだ。
俺ら以外の人がいるのに、すっかり取り乱している。
だが、笑いすぎだ。後で殴ろう。
こうして俺たちは不安も何もなく、まるで昔から友達だったかのように笑いあっていた。
『では転移を開始します。ご武運を』
長い前置きとなってしまいました。