3準備中
入学してから3日目。
校内ではざわめきが絶えなかった。
それは、廊下に張り出されている一枚の紙のせいだ。
その紙を見るなり他の生徒は「うわ、まじかよ」「今年もやらかすなー」「1年生かわいそー」なんて声も聞こえてくる。
そして今頃になって後悔した。
テストなんて受けなきゃよかったな。
同学年の自分を見る目が、視線が痛い。
しかも2年生からは「がんばれよ!」とか言われるし。
なんとか教室にたどり着き、ため息をついて机にうずくまる。
事の発端は昨日のバトル開始宣言から始まった。
校内でのバトルは許されていて、それを始める日時も自分たちで決められる。
だが、その内容を校舎一階にある[収容所]に提出しなくてはならない。
そこから全渡り廊下に印刷された紙が貼り出される。
「あら、先に来てたのね」
「あ、おはよう…ございます」
「なんで敬語?」
教室に入って来たのは菅野真冬。
彼女には悪いことをしたな。
なにせこんな事態に巻き込んでしまったのだから。
それを含めての敬語。
あぁもうこれ話す時一生敬語になりそう。
「昨日はごめ…」
「謝らないで」
立ったままの彼女に回りの視線が集まる。
なぜ彼女は素直に自分を怒ってくれないんだ。
別に怒って欲しいっていうのはないけど…
それでも俺に怒って欲しかった。
なにせ自分がやらかした事は彼女にとってメリットが無い。
しかも話し合いもせずに自分が勝手に決めたんだ。
彼女にとっての自分の立場がすり減って行くような気がする。
黙り込んだ自分に彼女は再び口を開いた。
「あなたがなんであっさりとバトルを受けたのかを考えていたら合点が行ったからよ」
「…」
合点が行った。
その言葉に自分は目を見開いた。
自分がバトルを受けた理由は単なる興味では無い。
相手にあったのだ。
バトルを持ちかけた彼は2年生。
クラスは白羽、名前は峡京介。
彼は2年の中でも結構な有名人である。
今までにバトルで倒して来た数は23人。
勝率100%の実力者である。
「昨日バトルを誘ってきた男は確か"一年狩り"だった筈よ」
一年狩りーーーーーー
そうやって名前が付いたのは彼の勝率100%に関わっている全ての人間が1年生だったと言うことからである。
どうやってそこまで徹底して一年とバトル出来たかと言うのは、簡単に言えば向こうが断れない条件をつける事に彼は非常に頭が回ると言うことだろうか。
彼は昔から成績が優秀で、クラスでも常にトップの成績を残していた。
「あんたわかってたのか?アイツが"一年狩り"だった事」
「いえ、最初は。でも、帰ったら思い出したの」
帰って思い出すパターンあるよねー。
なんて頭で考えていると、自分の椅子に腰かけて一枚の紙を取り出した。
それは、渡り廊下に張り出されていた紙だった。
「これがどうかしたか」
「ここを見て」
指を指されたのは"一年狩り"の説明文である。
一見何にもない用に見えたが、よく見てみると。
校内在籍3年。
あれ、これはどういう事だ。
たしかこの学校は留年なんてなかった筈なんだが。
「そう、おかしいわよね。だってこの学校留年なんてありえないもの」
「あぁ、普通はありえないな……って」
「気がついた?」
そう、普通はありえるはずがない。
なぜならこの学校は留年のみならず転校生などもいないからである。
学校