休眠機能
それは、今まで眠りについていた。
だが、危急の時と判断する事態になり、フと起き上がった。
結果的に言えば、それは遅すぎたの一言に尽きる。
確か、俺が眠っていたのは研究所の一角で、そこは白い壁で覆われてた部屋だった。
今、俺がいる所といえば、殺風景な機械の中だ。
「起きたぞっ」
誰かが叫ぶ声が聞こえる。
「機械を開けろ、旧人類の生き残りだぞっ」
旧人類?
いったい何のことか分からないが、機械の蓋が開けられる。
気圧差は無いようで、風が入ることも、出ることもなかった。
「おはようございます、今が何日が分かりますか?」
「今……2019年2月9日、じゃなさそうだな」
西暦というのが分からない人らのようだ。
「今は、620年18月01日ですよ」
「困ったな、旧人類より以前かもしれない」
そんな声が聞こえてくる。
「旧人類って、何なんですか。そもそも、ここは……」
「あなたが見つかったのは、今から50年ほど前。旧人類はこの地球と呼ばれていたこの惑星にいたとされる、今は絶滅した猿科の動物の名称です。彼らが人類、と呼んでいたことから、我々と対比して旧人類と称することにしています」
「貴様は、誰だ」
どんどんとセルフチェックが完了する。
「私は、ここの研究所の主任研究科を務めている者です」
足は動く、手も大丈夫そうだ。
だが、感覚が切れているところがある。
速やかな復旧を試みる。
「旧人類は、今から約1万2千年前に絶滅したとされています。ペテルギウスのガンマ線バーストに巻き込まれ、99.99パーセントの生物が死に絶えました」
「そうなのか」
言いつつも、継続してチェックする。
「ええ、最大の問題としましては、貴方が何者なのか。旧人類は、遺跡の発掘によって、大まかに暮らしが判明しています。しかし、貴方のような旧人類は見たことがない」
「私は、人ではない。私は第三特設研究所主任警護員、TCU-1289号。ロボットだ」
神経の接続が完了すると、全ての力を出す準備が整う。
それでも大人しくしているのは、彼らが、こちらに対する暴力行為に及んでいないからだ。
「ロボット?」
「ロボットってなんだ」
声が聞こえる。
ふと、疑問が湧き出た。
「1万2千年も昔の言葉を、どうして使えるんだ」
「私たちは言語学者です。発掘した中で、音声データが含まれており、そこから復元をすることができました。ところで、一つ提案なのですが」
主任研究科と名乗った人が、手を差し出す。
「研究に協力していただけませんか、ロボットさん」
どうやら彼らは、ロボットという名前の人物であると推定したようだ。
「……わかった」
今は破壊されないためにも、彼らに協力することが適切だと判断したため、彼らと協力することにした。
これから長い日々が始まる。




