オカリナ
少女がオカリナを吹くと小鳥達が集まってきた。次に少女がオカリナを吹くとリス、熊に鹿といった森の動物達が集まってきた。少女の周りを動物達が囲み、皆が少女の吹く美しいオカリナの音色に聴き惚れている。
そんな様子を見ていた一人の強欲な男が少女に言った。
「お願いだ。そのオカリナを私に譲ってくれ。」
「ごめんなさい、これは大切なオカリナなの。」
「タダでとは言わない。ほら、銀貨をやる。」
「お金なんかいらないわ。」
「ケチケチするな。」
男の申し出を断る少女から、強引にオカリナを奪い取った男は銀貨を放る。
「返して!!私のオカリナを返して!!」
「うるさい、あばよ。」
これは良い物を手に入れたと町にやってきた男。
「さあさあお立ち会い。世にも不思議な動物達が集まるオカリナだよ。」
人前で、男はさっそく少女から奪ったオカリナをデタラメに吹いてみた。
まずゴキブリが集まり、次にクモ、毛虫、蚊が集まり、最後に集まった鬼に、
「下手くそ!!」
と金棒で殴り殺されたのだった。