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緑の魔法少女  作者:
4/4

4.練習開始

怪生物Xに巻き付いてたガムテープを取ってあげ、私達は近くの裏山へとやって来た。


魔法について習う為だけど、家では狭いし何かあった時が怖いからわざわざバックに怪生物Xを入れて来たのだ。


「じゃ結界張って。またあの変態とかに乱入されるのはゴメンだから」


「分かったみょ」


ピョンッとバックから飛び出した怪生物Xは前足?を動かし『ぷみゅぽみゅ~』とか鳴きながらグネグネと上半身を動かしてる。


正直言って傍からだとふざけてる様にしか見えない。


内心で蹴飛ばしたいのを我慢しながら怪生物Xの奇行を見守ってると、いきなりブワッと強風に煽られた感覚がしたと思うと、風景が変わってた。


具体的に言うと、そこらにあるもの全部が全体的に白み掛かった色合いになった。


ぶっちゃけ気持ち悪い。


「これが結界?」


「そうだみゅ。今回は念を入れて異層をズラしてるみゅから、アンリが変身してどれだけ魔法を使ってもバレないみょ!」


「へぇ」


普通の結界とかとは違う特別性って事かな?


結界が特別製だからバレちゃうなんてギャグみたいな事にならないといいけど。


「早速変身するみょ!『ソウルシード』を出すみゅ!」


「ソウルシードって言うんだコレ。で、どうすればいいわけ?前は持っただけで変身したけど今は反応しないし」


「ソウルシードを握ってリーフデューになるって念じるみょ!そうすれば無意識化で流れるマカを感じ取って変身できる筈みょ!」


アレになろうって念じる……


精神的に難易度が高いなオイ。


でもしないときん……もとい魔法が使えないし、仕方ないか。


「…………よし、いくよ!」


無理やり気合を入れて緑の宝石、ソウルシードを強く握りしめる。


イメージするのはあの恥ずかしい姿をした自分。


思わずかき消したくなる衝動を抑えて強くイメージすると、


「……………ッ!?」


握りしめた手から緑の光が漏れ、あの公園の時みたく目潰しのフラッシュみたいな強い光が一気に押し寄せた。


反射的に瞑った目を開いて自分の姿を確認すると、やはりというか目的通りというか、あのフリフリの魔法少女衣装が目に入る。


手に握ってたソウルシードも無くなってるし、成功したのは間違いない。


けど、なんだろう。


大切な何かを失った気がする。


「やったみゅー!これで正式にリーフデューの復活だみょ!」


「リ……」


『リーフデュー』って呼ぶなと言いかけたのを頑張って呑み込む。


変身してる間は私って認識はされないらしいけど、本名を呼ばれたらそういう偽装も全く意味がなくなる。


この怪生物Xはそういうミスを普通にしそうだし、いつもは押し入れなりにぬいぐるみとして放り込んどくにしても変身名を言うのがデフォならそのままの方が都合がいいのは間違いない。


そう自分に言い聞かせて怪生物Xの方を向く。


「変身したけど、魔法の練習するのにこれは本当に必要なの?」


「リーフデューになれば全身にマカを纏ってる状態だから、マカの扱いを身体で覚えるには最適なんだみょ。扱いを覚えれば変身してない時でもマカを引き出して少しは魔法を使えるみゅ」


以外にちゃんと考えてた。


確かに前は急展開過ぎて分からなかったけど、何か微かに暖かい感じのが身体を包んでる感じがする。


これで特に意味がなければ蹴り飛ばしてたけど、その必要もなさそう。


「マカの扱いの前にリーフデューが扱える固有魔法がどんなのかを説明するみょ。《聖樹の守護者》のリーフデューは他の伝説の魔法使い達とは違って戦闘には向いてないみゅ」


「えっ?」


「植物を生やしたり操ったりする魔法みょ。《聖樹の守護者》は大地に恵みを与えて生き物に豊かな暮らしを保つのが役目だったみゅ。だから戦闘では基本的に固有魔法以外にも結界とかの魔法を覚えて援護を担当して貰う事になるみゅ」


……重要な事をサラッと言うわね。


実際に使ってみないとどうとも言えないけど、基本的には戦い向きじゃない魔法か。


戦力を求めて来た怪生物X側にとって私の重要性は低い割に敵にとっては手軽に狩れる獲物ポジ、前衛に立たなくていい利点よりもリスクが高い。


そもそもの紅い娘を超えて見下す目的が困難なのも問題だけど、まともに戦えない結界とかを使って援護する後方支援系は真っ先に狙われそうだし身を守るのにも苦労しそうだなぁ。


植物を生やしたり操ったりするのは使い道次第では結構ヤバい事も出来そうだけど、せめて蔵○とは言わなくても最低限トト○並じゃないとキツいそうだし。


うーん、魔法についての知識も無い以上は確認してどの程度かを見てからじゃないと考えようにも無理があるな。


「援護の為に結界とかを覚えるのはいいんだけど、その固有魔法っていうのをまず教えて欲しいんだけど。どうすれば使えるの?」


「みゅみゅ、まずはマカの扱い方からみょ。最初は手のひらにマカを集めてみるみゅ。目を閉じてマカが手のひらに集まってくのを想像するみゅ」


これは某雑誌のドラゴンでボールな漫画やハンターを掛け算してる漫画、忍者なラーメンの具材漫画的なアレ等と同じ?


こう、集めて球体を作る感じに……


「おお!いい感じみょ!初めてでそんなに出来るのは凄いみょ!」


あ、ホントにこれでいいんだ。


「その調子で今度は集めたマカを全体に戻してくみょ!そんな感じみゅ!これは思ったより早く覚えれそうみょ!それと疲れたら無理はせずに休憩するのも忘れちゃだめみょ!」


と、こんな感じに練習して3時間ぐらい。


「な、なんか、これ、思ったよりも、疲れる……」


3時間ずっと怪生物Xに従って魔力の動かし方や変換しかたを習ってたけど、徐々に動いてもないのにやたらと体力を消耗して、今ではフルマラソンをしたみたいに汗だくで肩で息をするぐらいに疲れて座り込んでる。


まさかただマカを集めては戻すだけの特訓でこんなに疲労困憊になるなんて……


「慣れない間はマカを動かす時に漏れちゃうみゅからみんなそんな感じになるみゅ。変身したらマカの漏れも少なくてすむみゅが、どうしても少し漏れちゃうみょ。でも慣れたら集中しなくてもマカをにゅるにゅる動かせるぐらいになるから平気になるみょ」


つまり今は慣れてないからロスが大きくて動かす効率が悪い、けど慣れたらロスが少なく動かせるようになるから消耗しなくなると。


これでも変身補正で消耗が少なくすんだ結果っていうんだから、普通の状態でやったらどうなることやら。


はぁ、分かってたけど技術を身に付けるには数をこなさないといけないのはファンタジーだろうとも変わらないか。


「早く慣れようとして無理はダメみゅよ」


「気を付けるけど、これ筋肉痛とかになったりしないよね?全身筋肉痛とかは勘弁して欲しいんだけど」


「マカの練習でそうなったって話は聞かないみょ。ただ無理をしすぎると倒れるみょ。ぷみゅも注意するみゅが、リーフデューも倒れる前にちゃんと休憩をとるみゅ」


「流石に気絶するぐらいな体育会系の練習は無理かな」


経験上、疲労や体調を考慮しながら適度に休憩を取るのが一番良いのは分かってるし。


けど、こんな疲労感があって筋肉痛とかにならないってことは気疲れみたいなものなのかも。


まぁなんにしろ、今回はガチで命が掛かってるからギリギリ一歩手前のラインで過密訓練をする破目になるかもだけど。


この怪生物Xがまともに頼りになるならもっと余裕をもてるのに、はぁ、人生ってのはホントままならないわ。



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