白狼様じゃと!?
「おばばールークは戻ってきたか!?」
オレは大急ぎで村に戻り、真っ先に薬屋のおばばの家に向かった。
つーんとした薬草や、よくわからないものが混ざった臭いが鼻につく。
「なんだいなんだい、こんな大声をださんでも聞こえてるよ。」
と、家の奥から声が聞こえた。
「ルークなら今寝てるから安心しんさい。」
よかった、レイの言ってたことはあってたのか。
「おばば!オレ森の中で主様にあったぞ!」
「主様じゃと!」
「すんごくきれいな銀髪だった。」
「そうかい、年はどのくらいじゃった?」
「僕と同じかちょっとしたくらい。凄い魔力だったんだぜ。」
それを言うと急におばばの顔が真剣になった。
「レイ、村長に伝えなさい。今すぐに御触れを出せと。」
「何についての?主様についてに決まってるじゃろうが。主様は正体に気付かれると帰ってしまうんじゃ。」
「わかった。行ってくる。」
オレはおばばの家をでた。あ、ルークの様子見ればよかった。後でいこ。
村長(って言ってもオレの親父。)はたぶん家にいるはずだ。急ごう。
おばば
「ふぅ」
とため息をつく。
ついさっきとんでもないことを知らされたわい。
主様。白狼様に助けられた。
何十年ぶりじゃろうか、たぶん100年くらいじゃろう。
白狼様は昔この村を、いや領地を救った。
白狼様の売っていた薬が当時の流行り病に効いたんじゃ。
しかしその時白狼様はもう村にいなかった。
本当の姿を見られてしまったのじゃ。
見られた瞬間もうここにはいられないといって、森に帰ってしまった。
わしたちには返しきれない恩がある。じゃから静かにお祝いするのじゃ。
村長
今さっき息子が来た。
白狼様が現れた、御触れを出せ。それだけ言って、どこかに行ってしまった。
私は大急ぎで、集会の触れを出した。
今日の夜の集会は白熱するだろう。
直接ではなくとも間接的に白狼様に助けられたものは多いのだ。
さあ、早く準備をしてしまおう。