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白狼伝説  作者: Alaru
第一章 
7/16

少年の話

 

少年の話



この村には、不思議な伝承がある。




とてもきれいな銀髪の少年を見たらどんなに不思議なことがあっても正体を訪ねねず、何も言わずに受け入れなさいという、なんとも不思議な話だ。





だが、今オレはその伝承が本当のことなんだと知った。




オレはこの村の村長の息子だ。それなりに頭もいいし、顔もいいと思う。

それに面倒見もいいから。いつも村の子供を任されている。



そんな今日、薬屋の息子のルークが森から帰ってこなかった。



あいつは年の割に臆病でいつもおどおどしているやつだった。


そうして森の中に入ったけど、なんでこんな森の浅いところまで魔物が来ているのだろう。



普段こんなところに魔物はいない。



いてもイノシシとかシカなどの獣だけだ。



もしかしたらルークはこの魔物たちから逃げている間に道に迷って、帰れなくなってしまったのではないか?



それなら、早くしないとルークが危ない。ちび達に村の大人に伝えるようにといったので人では増えるが、今は一刻を争う。



だが、その焦りがまずかった。一所懸命探していたら、大人の狩人でも来ないような森の深い所まで来てしまった。



そしてさらにまずいことに今、ゴブリンたちに追いかけられている。

ゴブリンは森に棲む、緑色の醜い猿のような魔物だ。

この魔物の厄介なところは、群れで過ごすということ。


一匹一匹ならオレくらいの子供で4も倒せなくもないが群れで来られると、それこそ大変なことになる。



20レンほど後ろにゴブリンの群れがいる、このまま逃げ切ることができるだろうか。


しかし、そんな考えは一瞬で消え去った。


ゴブリンの投げた短剣が足に刺さったのだ。



突然の痛みに足が空回りし、思いっきり転げる。


転げた拍子にさらに深々と刺さり。声にならない悲鳴が出る。



ずきずきとした痛みの波が来るたび意識が飛びそうになる。



周りにゴブリンが集まってきた。

動けずうずくまっているオレを見て笑っている。


凄くむかつくがもう何もできない。ここで死ぬのかとあきらめかけたその時だった。




茂みをかき分け一人の少年が出てきた。



とてもきれいな、月の光のような銀髪の少年だった。年はオレより少し下だろうか、12、3才だろう。とてもきれいな顔をしている。一瞬女かと思った。


その少年はゴブリンを見てからオレを見て顔をしかめた。

その少年は、


「どっかいけ!」



と叫ぶと、魔力を解放した。


とてつもない魔力だった。


それによく見ると、頭とお尻に魔力でできた耳と尻尾がある。



たぶん魔物だ、それもすごく高位の。

人化ができる魔物なんてそんなにいないはずだ。

たぶんこの森の主だ。



魔力に恐れをなしたゴブリンたちが我先にと逃げ去る。

その少年は逃げるゴブリンを一瞥した後、こっちを見ていった。


「だいじょうぶ?」


と。しかし答える余裕なんてない。

ガタガタ震えていると、ちょっと困ったような顔を見せた後、オレオ抱き上げた。


だがオレは、抱き上げられた瞬間走った痛みで、気を失ってしまった。

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