お別れ
次の日からは地獄だった。
朝起きるとなぜか外に連れ出され、そこら中にいる魔物と戦わされた。
最初の頃は、毎日瀕死状態。でも、怪我したら回復魔法、死にそうになったら回復魔法、疲れたら回復魔法って感じで何度も戦わされた。
そしてへばって、弱音を吐くと、
「そんなんじゃ、邪龍は倒せんぞ。」
と言われる。こういわれるとやるしかないじゃないか。
また、人里にも降りてみた。 50年くらいソニアの町で薬を売ったりしてみた。
薬が効きすぎて師匠にストップされちゃったんだけどさ。
そして、そこから200年ほどたった。なんでまだ師匠が生きてるのかって?
それはもうファンタジーだからとしか言いようがない。
そしていま目の前には。サイクロプスが、いる。
一つ目の巨人だ。
これが卒業試験らしい。こいつを倒せば旅に出ろという事らしい。
でも、僕は知っている。師匠の寿命がもういつ死んでしまってもおかしくないことを。
たぶん師匠も分かっているのだろう。
サイクロプスが、木の幹そのままの棍棒を振るってくる。
動きが遅いので、よけられたが、棍棒が地面を大きくえぐる。
とてつもない威力だ。
だが、動きが遅い。次に棍棒を振り下ろした時に一気に殺す。
来た、サイクロプスが棍棒を振り上げる、と同時に横に飛びのき、大きく跳躍する。
驚いた顔をするサイクロプス。だがもう遅い、そのまま首元に潜り込み、自慢の牙でのど元を食いちぎった。
「見事じゃ。ここまでよく頑張ったのう。おぬしに儂の奥義を授けよう。」
え?聞いてないよそんなこと、
「おとなしく、話に乗ればいいんじゃ、この馬鹿狼。」
ひっど
「まず、人化の術。」
なんですと、
僕はまだ人化が出来ない。ソニアの町に行けたのも師匠の薬のおかげだ。
「魔力を体の表面に纏い、魂と魔力を同調させる。そしておしまい。」
なんか・・・、それだけですか。
「そ、それだけじゃ。やってみんさい。」
まず体の表面に魔力を、できた。これは普段からやってるしな。
次に魂と同調させる?ムズイな。魂からの力と魔力とをゆっくり混ぜ合わせる。
そして、体表の魔力とつなげる。
あぁ、なんか体が熱い。うわっ、体が光ってる。
恐る恐る体を見る。
手、手がある!
久しぶりの人間の体だ。走ったりジャンプしたりしていると
「よくできたのう、これでおぬしは大丈夫じゃ、これからも精進せい。これでお別れじゃ。達者にのう。」
「あ、あ り、がと・うござ、まし た!」
久しぶりでうまく声が出なかったけど師匠は、にっこり笑って、さらばじゃと言って、行ってしまった。
ここから一人か。
まずは人里に降りてみよう。