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白狼伝説  作者: Alaru
第一章 
15/16

別れ


「待てよ。」


レイの一言が静かな食堂の中に響き渡る。


誰も動こうとしない。


誰も喋ろうとしない。


「待てよ。」


もう一度レイが言う。


「僕はもうこの村にはいられない。」

この言葉が僕の出せる精一杯の言葉だった。


裏切られる。


出てけ、化け物め。



頭の中で古い記憶がよみがえる。



「姿を見られたからか?」



レイの声が聞こえる。



やめてくれ。もう何も言わないでくれ。


身体の震えがとまらない。



もう何も聞きたくない。


僕はしゃがみこんで耳をふさぐ。



「みんな知ってた。」


やだ。もう何も言うな。



「お前が白狼だってこと。」



え?



「みんな知ってた。なんせ頭と尻に耳と尻尾があるんだからな。」


大急ぎで頭に手をやる。

だが、耳はないしお尻に手をやっても尻尾はない。


そこで、レイがフッと笑う。


「魔力でできてるから触れるわけないだろ。」


普段から体に魔力をまとわせていたかららしい。


もとの体を魔力が覚えているかららしい。


「なんだよそれ・・・。」


笑えてくる今までばれないようにしていた自分が笑えてくる。


「だからお前は出ていく必要はない。」


だがそれが無理なのを僕は分かっている。


なんせ僕は領主殺しの大罪人だ。この村にいては迷惑がかかる。


「僕は罪びとだ。領主殺しの。だからここにはいれない。」


「そんなの、白狼様だからって言ったら・・・。」


「だめだよ。」


「なら、俺も出てく。オレも領主に歯向かった罪びとだ。」


「無理だよ。レイじゃ僕についていけない。それにまだ成人してないでしょ。」


レイが唇をかみしめながら俯く。


悔しいだろう僕が逆の立場だったらものすごく悔しい。


「それまでに強くなる。」


レイが絞り出すように言う。


「わかった。2年後にまたここに戻る。」


これくらいはいいだろう。


レイの顔がパッと明るくなる。


「村長今までありがとうございました。あとレイ、じゃあね。」


僕はそのまま走り出した。



ここから旅をしよう。



どこか遠くへ。



邪龍が殺せるようになるまで。

これで第一部は終了です。


あとは閑話を挟んで第2章です

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