あぐらをかくないと
少しだけ熱が下がった夜が
散歩をしている
包み込んだ闇の息遣い
流しながら
転がしている
風も木も虫も犬も人も町も
夜が散歩しているなんて
知らない
少しだけ夏に飽きた夜が
あぐらをかいている
月がつつく
だらしがないですわ
夜はバツが悪そうに
正座した
クスクスクス
星座に笑われる
少しだけ熱が下がった夜が
伸びをする
やさしさは深海にある、宇宙にある
やさしい愛はずっとある
でも容易く見えなくていい
少しだけ熱が下がった夜が
風に木に虫に犬に人に町に
微笑みかける、子守唄を歌う
きっと 誰も知らない