4.捜査方針を決めよう
盛大に誤字っててすみません。
「互いの能力はある程度把握したし、いいわね?じゃあ説明するわ。海人」
「はいはい」
カイくんはパソコンをカバンから取り出し、慣れた手つきでカメラやプロジェクターを繋ぐ。アッくんはそれを見てカーテンを閉め、スライドを出す。
さすが双子、連携がすごいです。
「いいぜ。準備できた」
「海人。雪白ちゃん素人だからグロいの規制だよ?」
「わーてるって」
猫と烏の戯れる様な会話を挟みつつ、一同を見回して、準備が滞りなく終わったことを確認した凜は、ようやく口を開く。
「よし。
……まず、今回の事件は連続殺人よ。今まで発見されたのは全五件。
この街だけじゃなく、周辺の町でも起きてるわ」
そういってプロジェクターには地図があげられる。事件の現場には番号と日付、被害者の情報(性別と年齢、職業)が出た。
で、今朝発見されたのは、まだ男性としか書かれていない。ここ一か月で事件が起きてるようだった。
「で、死体はこんな感じ」
「ユウに見せないでくれる?彰人!」
「雪白ちゃんは見ちゃダメ!!」
ぱっと上がった写真は、血まみれで犬に喰われたかのように牙の痕だらけだった。じっくり見ようにも、すぐに僕の前にアッくんが立ち見えないようにした。………これ以上考察できないじゃん。
あと凛、そこで溜息つくなよ。僕の方を見て苦笑した琢磨くんは、こちらに目をやる。顔色も変わらない僕におやっ?って言う顔したけど。煩いわwwww
「過保護だなぁ、お前ら。悠莉ちゃん平気みたいだな?」
『別に?これより酷いの見たことあるし、隠さなくていいのに』
「……そうね。”あの町”に転がっていたのとかの方が酷いわね」
凛は、僕の一言で納得した。全くもってその通り。
僕たちが初めて会った町、冬城町は、魔術師同士の殺し合い、通称“聖杯戦争”(ホーリー・ウォー)が起きていたからね。
まあ、魔術だけじゃなく、英霊呼び出して戦わせるのだけど、目撃者(一般の人)は殺すとか傍迷惑だって。僕はふぅっと溜息を吐いた。
『まあ、パッと見だけど犯人は狼人間だね』
「どうして悠莉はそう思うんだ?」
『それはね、カイくん。体とか傷跡が綺麗すぎるんだ。
魔獣とかならまぁ、目撃情報も上がるし、どこかしらに土がつくけど、綺麗に血の痕だけだし』
皆もう一度スライドを見た。アッくんすらも、よく見えるように動いたので、僕も見える。
……うん、やっぱり血の色だけだ。RPGの世界で見た土が混ざっている血の色ではない。
それに、あんだけ血が出るような場所を傷つけられている割に、血の量が少ない。やっぱり単独犯じゃないかな。
『あと、多分吸血鬼も絡んでると思う。頸動脈とかも傷ついてるのに、出血が少なすぎる』
「ええ。私たちもそう考えてるわ。やっぱアンタ頭の回転早いわね」
『慣れだって、慣れ』
そう言うと、零夜は「慣れ?」と眉を顰めた。仕方ないでしょ、この中じゃ(たぶん)年長者だし。
僕はもう一度、“電子回路の保管庫”((エレクトリック・ストック)を起動させ、B5サイズの厚紙と鳥型に切ってある紙5枚、筆ペン、更に黒い艶消しをした針金10本を取り出す。
僕が取り出したのを見て、カイくんとアッくんは「「まさか」」と呟いた(ハモったぞ、さすが双子)。
『どんだけ飛ばしたの?』
「全部で25かしら」
その言葉にたっくんとカイくんが頷く。凜は、あんまり機動力のある使い魔は使えないからね。
『じゃこっちも飛ばしとく。どうする?』
「そうねぇ……」
僕らの話はポンポン進むが、周りはぎょっとしてばっかりだ。まあ、僕と凛は、互いの力量や性格もろもろを理解してるから、こんな事ができるのだけどね。
「アイリスの針金だけでいいわ。下手に動いてバレたら大変だし」
『攻撃は?なしでいいよね』「ええ」
アイリスは僕らのいた世界の義妹だ。アイリーシェ本人は、義姉と言い張ってたけど。彼女の家系は錬金術を得意としている。まあ、だからこそ、無機物を派遣できるんだけどね。
僕は手早く針金に魔力を籠める。
魔力により、蒼色に光出した針金に凛以外は息を飲んだ。僕が念じると、針金は勝手に曲がりだし、烏のような形状となり、宙を舞う。凛は無言で窓を開いた。
『人を襲ってる魔物を捕らえよ。……………行けっ!』
針金烏たちは空に向かって羽ばたいていった。さあ、もう少し話を煮詰めようか。