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ドマージュのスカウト話

 シタビヨが喚んだのは、ベルセバブを含め三体とも高位の魔族でした。どの魔族も強い魔力を持っており、ツヤイルワでも敵わないかも知れません。事実、ツヤイルワ軍の魔族の顔は青ざめています。

 一体はオーガの上位種らしく、3m近い身長で筋骨粒々なパワータイプ、青黒い肌にしゃくれ顎、ザンバラ髪。

 もう一体は女性型の淫魔、漆黒の髪と血の様に紅い唇が目を惹く美人さん。私の奥さんの方が何倍も…いや何十倍も魅力的ですけど。

 それと魔力タイプのベルセバブ。

 これだけの魔族を喚んだ代償は恐らく命だと思います。国の中から魔力が高い者を選んで命を捧げたのでしょう。


「で、俺は誰を殺せば良いんだ!?」

 オーガタイプの魔族が辺りを睥睨しながらシタビヨに話し掛けました。


「え、猿人です。とんでもなく強い猿人の雄がいるんです」

 まあ、主任あれを猿人と呼ぶのは詐欺に近い物があるんですけどね。


「猿人ですか?貴殿方は魔族の癖に猿人にてこずっているんですの?」

 淫魔の女が馬鹿が呆れたのか鼻を鳴らしました。でも、ベルセバブは誰かを思い出したのか顔を青くしています。


「そ、その猿人はどんな奴なんだ?」


「こ、こいつです」

 空中に映し出されたのは、ボロボロのタースハムを掴み上げながら笑う細河主任。

 その姿は、どこからどう見ても悪者です。テレビなら心臓の弱い方や小さいお子様に見せないで下さいって、テロップが必要でしょう。


「そ、そ、そいつは…まさか!?」

 ベルセバブは全身から冷や汗を流して怯えています。そりゃそうでしょう、細河主任に全治五ヶ月の怪我を負わされたんですから。


「なんだ?お前、猿人に怯えているのか。情けない…俺がこいつをやってやる。俺の名はオーガのリガ・リークンだ」

 オーガのリガ・リークン…オーガリガリクン…おーガリガリく…危険です、危険な名前です、ナポリタン味くらいに危険です…ちなみにうちの奥さんは梨味がお気に入りで私も梨味がお気に入り。

 

「それなら私はその男を骨抜きしてみせますわ。淫魔デラー・ベピーンの名に掛けて絶対にね」

 主任は奥様に骨抜きにされてるから無理でしょう。

 出会った時はごみ捨てを率先してやる人に思えませんでしたけど。


―――――――――――――


 私が細河主任と出会ったの時は、勇者の活躍で天使が首都都まで侵攻してました。

 神族は魔族とあれば老若男女関係なく惨殺されます。私も魔族の子供を引き連れて逃げ隠れしていました。

 しかし、運悪く達の悪い天使に見つかったんです。


「さあ、君達は逃げなさい。ここは私がなんとかしますから」

 

「お兄ちゃんはどうするの?」

 当時の私は力も魔力も弱く、天使と戦えば確実に負けていたでしょう。


「私も後から行きますから心配しないで下さい」

 子供達が走り去ろうとしたその時です。空から白い光が降りてきました。


「魔族の子供ですか…全く汚らわしい」

 天使はそう言うと、一人の子供を摘まみあげました。


「は、離してよー」

 子供は恐怖の余り、泣いてしまいましたが天使は気にする様子もありません。


「私の名前は神軍第一隊隊長ケー・ペキ。ここは神の地になるのです。汚れは消去しなといけませんね」

 第一隊の隊長ともなれば圧倒的な力を持っており、あの頃の私では抗う事すら無理だったでしょう。


「や、止めて下さい…子供には罪はないでしょ」


「魔族と言うだけで罪なんですよ。言ったでしょ…汚れは消去するって」

 怒りで目の前が真っ暗になったのを覚えています。 気が付いたら私はケー・ぺキに飛び掛かっていました。


「私の美しい剣が魔族の汚ない血で汚れるじゃないですか」

 ケー・ペキがいつ剣を抜いたのかも分かりませんでした。私は気付いたら倒れていたんですから。


「や、止めて…下さ…い」


「汚れは消去するんですよ」

 自分の無力さが悲しくて涙が溢れて来たのを覚えています。


「おう、俺もそう思うぜ。餓鬼を苛めて喜ぶ様な馬鹿は消さなきゃな」

 一瞬でした、あの神軍第一隊の隊長が一瞬で潰されていたんです。

 現れたのはベルセバブをボコボコにした猿人の男でした。


「お前、私は神軍のだぶぐぇー」


「うるせーよ。餓鬼をいたぶってる奴をのさばらせとおいたら後から面倒になるんだよ!!何が潔癖だっ、肥溜めにぶちこむぞ!!今の会話はきちんと録音したからな依頼料を倍増にしてやる」

  驚く事に猿人が天使を殴り殺したんですよ。多分、細河主任はあの頃ら既に猿人を止めてたと思います。


「あ、貴方は…」


「お前、良い根性してるじゃねか。俺に着いてこねえか」

 そして私は派遣員になったんです。


――――――――――――


 そして魔族の三体が細河主任の所に攻め込んで来ました。 


「おい、猿人の癖に調子に乗ってるのはお前か?」


「実際に見ると不細工ね。私を抱ける事を感謝しなさい」

 高位の魔族二体に絡まれたら普通の猿人なら恐れて腰を抜かすでしょう。


「あー、お前等ホームランボーとスーパー写真学校とか言う魔族か。ドマージュ、お前はベルセバブを倒せ。俺は三色トリオとボームの方を倒す」

 ちなみに私は三色トリオのバナナの所が好きですね。後、ホームランボーのビッグサイズを出して欲しいです。


「主任、覚える気がないですよね」


「この程度の魔族を覚えてたら頭がパンクしちまうよ…俺はビノを食いながら録画しておいたおこり新党をみたいから直ぐに済ませる」

 確かに派遣員に比べたら三体とも弱いんですよね。


「お久しぶりです、ベルセバブ様。母と妹の仇はとらせてもらいますよ」


「お前はドマージュ?ふんっ、お前みたいな低級魔族が…嘘だろ?魔神クラスの魔力だと?」

 派遣員は神とも戦う事がありますから魔神クラスの魔力を持っていて当たり前。


「悪いんですけど妻と冬見大福を食べたいんで直ぐに終わらせます」

 冬見大福は食べ頃の判断が難しいんですよ。

 予想通り、戦いは直ぐに終わりました。

 

「ドマージュ、今回の件でお前の面はわれたな。有給使って奥さんに着いててやれ。なっ、ドマージュパパ」

 戦闘班の派遣員は、皆主任を尊敬しています。


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