新しい依頼
春香と結婚して二ヶ月が経った。
幸せ過すぎてもう二ヶ月も過ぎたのかって感じがする。
前は虚しかったごみ捨ても春香との生活の一部と思えば楽しくて仕方がない。
朝飯を作り終えてから春香を起こしに行くまでの時間に得も言われぬ幸せを感じる。
特に春香の好物を作った日は、どんなリアクションを見せてくれるか妄想しながら起こしに行く。
主夫兼魔王、中々良い響きだ。
でも、春香が作ってくれる飯が美味いからついつい俺からリクエストをしてしまう。
早い話が幸せ過ぎる新婚生活を送れているのだ。
しかし、こんな時に限って長期の出張が襲ってくる。
「それでは今回の依頼の内容を確認させて貰って良いですか?主な内容は日本から召喚される勇者パーティーの鍛練と護衛。最終目的は勇者パーティーに魔王を倒させる事、これで合ってますね?」
依頼を持ってきたのはイケメンの神様。
独身の頃なら圧迫面接をしてたかも知れない。
「はい、魔王ツヤイルワの力が強くなり過ぎまして世界のバランスが崩れ掛かっているんです。あそこまで、暴れるとは思いませんでしたし」
魔王ツヤイルワ…悪い奴を逆さから読んだだけじゃねえか!!
そんな名前を着けられたら、ツヤイルワも悪の道に走るだろうさ。
「しかし、日本から召喚をは基本的に禁止になってるんですよ。それと書類を見させて貰いましたが、残された家族へのフォローが酷くないですか?御自分の世界で何となかなりませんかね」
地球、特に日本から人を召喚する場合は転生が基本だ。
創竜のオジキクラスじゃないと直接スカウトは認められていない。
「分かっています、しかし強い魂の入荷の目処がたたないんです。それに日本人なら能力を与えれば喜んで戦ってくれますし…」
美男子神様の顔が一気に青ざめていく。
大方、俺が日本人だという事を忘れていたんだろう。
「その様なお考えでは、依頼を受けかねます。むしろ、創竜カンパニーとしては主神の交代を進めますね」
そうしたら長期の出張がなくなり春香との新婚生活を楽しむ事が出来る。
「申し訳ありません。きちんと家族へのフォローも見直しますので、依頼を受けて貰えませんか?ミカイゴスにも良く言っておきますので」
ミカイゴス…凄い神ね…もう、突っ込む気も起きない。
「分かりました、戦闘班から派遣員を行かせます。それで良いですか?」
「あの出来たら同じ日本人の細川主任に来て欲しいんですが…」
召喚されるのは高校生の男女四人だとの事。
…無理だ、おじさんは今時の高校生とコミュニケーションを取る自信がない。
「期間を三日にしてくれたら行きますよ」
前に四日程、異世界に行ったら春香に会えない寂しさからホームシックに掛かったのは何を隠そう俺だ。
場合によっては、その日に魔王ツヤイルワをボコって終わりにしても良い。
「勇者に魔王を倒して欲しいので最低三ヶ月は来て欲しいんですが…ちなみに最長期間は八ヶ月です」
つまり三ヶ月で戦闘経験のない高校生を勇者に仕立てろと…しかも、新婚ホヤホヤの俺に八ヶ月も春夏かと離れて暮らせと言うのか?
こいつはユ○コーンを知らないのか?
カラオケで大○惑を熱唱してやるぞ。
「夜中に帰るのは認められますか?」
「魔族の夜襲から勇者を守って欲しいですし、夜営も教えて欲しいので…ちょっと厳しいです…はい」
女子高生と夜営?
駄目だ、そんな事をして春香に誤解されたらどうしてくれるんだ。
「他の派遣員の同行は大丈夫ですか?」
ジャックと関根を連れて行けば…駄目だ、ジャックも関根も女房から離れるのを嫌がるんだよな。
「お一人でしたら…出来たら女性の派遣員に来て頂けたら助かります」
確かに女性派遣員がいた方が色々と助かる。
「分かりました。部下に声を掛けみますね」
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「それで私もその世界に行けば良いの?」
春香も戦闘班に所属しているから問題はない筈。
ちなみに俺の辞書に出張で羽を伸ばすって言葉は載っていない。
「女にしか入れない場所もあるし、女同士でなきゃ相談しにくい話もあるだろ?」
一番は俺が春香と離れたくないからなんだけどね。
「分かったわよ。誰かさんは手綱を絞めておかないと直ぐに無茶をするし」
春香的に穢れ者との戦いはなしだった様で、あの戦いの後思いっきり叱られた。
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嫌だ…マイスイートホームに帰りたい。
転移先にいた勇者候補が酷すぎた。
男子1白鳥零夜ホスト風な高校生。
姫を口説くし服が汚れる事はしたくないと言いやがった。
男子2龍神砕牙ヤンチャな高校生。
敬語は使えないし、騎士や貴族に絡んでいる。
女子1揚羽姫花キャバな女子校生
王様にしなだれ掛り取り入ろうとした。
女子2恋野愛ヒロイン高校生
正義がどうとか恋がなんとか騒いでる。
…魔王ツヤイルワと入れ替われったら駄目かな…。