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最終決戦

 元は善良一般市民で心優しきパティシエだった俺も幾多の戦いを潜り抜けた所為か行進を見ただけで軍隊の練度が分かるまでになった。

 俺達、戦闘班は城内でお茶を飲みながら遠視の窓を見ていた。


「この程度の練度でよく侵略戦争を起こす気になれたな。違う意味で関心するぞ」

 遠視の窓に映っているのはエグジルに向かって進軍してくるグラスランドの軍隊。

 彼等はまるでパレードの様に整然と行軍している。

 見た感想を一言で言うと派手。

 兜には極彩色の羽飾り、背中には金糸や銀糸で刺繍されたマント。

 鎧の色が金や銀はまだましな方で、中には深紅の鎧や青・白・黄の三色の鎧を着ている奴までいた。

 彼は機動戦士でも目指しているんだろうか?


「フッションショーかなんかと勘違いしてるんじゃないですか?…おっ、七色がいましたよ。レインボーカラーの鎧ってマジかよ」

 ジャックは、呆れを通り越して珍しい鎧を着ている奴を探し始めていた。

 七色の彼はレインボーカラーは性のマイノリティーを象徴だって知ってるんだろうか?


「あっ、タキシードの奴がいるっすよ。あそこまで行くと逆に尊敬するっすね。マントに書いてる神託とか占いとかクジってなんすかね?」

 関根に至ってはネタ探しに入っているし。

 

「占いとかクジって中々当たらないだろ。それと一緒で私は攻撃が当たりませんって主張なんじゃねか?」 

 彼なりに傾いているつもりなんだろう。

 ちなみに傾奇者は漫画より原作の方が好き。


「神官隊がいるのに神託が当たらないって言ったら不味いんじゃないっすか?」


「神託なんてそんなもんだろ?オジキの神託とは違うんだよ」

 オジキの場合は自分が決めた事を言うだけなんだけど。

 二つ目のお茶菓子(ケーキ)に手を伸ばそうとした瞬間、首に下げている封魔の数珠からお叱りの声が飛んできた。


「今から戦になるってのに随分とのんびりしてるんだね…豪、ケーキは一個で終り。結婚式のタキシードが入らなくなったら駄目でしょ」

 これからはちょっとしたミスも許されなくなるからサイスを含めた新人派遣員は事務所で見学をしている…春香を除いて。


「これから激しい運動をするから平気だって」


「駄目、冷蔵庫に閉まって来なさい。この間の健康診断の結果を見たでしょ?コレステロールも血圧もチェックされたんだからね」

 どうも婚姻と言う手綱を握った春香にの黙認の二文字はない様だ。

 ケーキの様に甘い新婚生活を期待していたんだけど。


「分かったよ。ジャックと雪さんは軍隊全員がエグジル領内に入ったら結界を張って閉じ込める。関根は避難した領民が戦いに巻き込まれない様に監視をしてくれ。それじゃ、この依頼を終わらせるぞっ。全員、配置につけっ!!」

 俺の号令と共にジャック達は城内から姿を消す。

 そして一人でケーキやお茶会の後片付けをする魔王様(おれ)だったのである。


―――――――――――――

 エグジルには魔物どころか領民の姿さえなく、僕達は文字通り無人の野を進む行軍を続けていた。

 そしてエグジルのお城が見えて時、後方から叫び声が聞こえてきたんだ。


「結界だ!!閉じ込められた!!」


「敵襲!!魔物が現れたぞ」

 僕達は一瞬にして何百もの魔物に取り囲まれた。

 僕達の軍隊は総勢三千人、でもまともに戦えるのは各勇者隊の三百人と助力を申し込んでくれた優守君達だけ。


「優守君、魔物の弱点は分かる?」


「いや、俺達がいた時には見た事がない魔物ばかりだ。サブ、牛太郎、俺に続け。カネとケンは人手が足りない所を守れ!!」

 現れた魔物はブラックドラゴンにロックドラゴン、ウッドゴーレム。

 どの魔物も体が大きくて通常の魔物よりも強い。


(お兄ちゃま、僕を守って!!)

 なぜか分からないけれども、僕はブラックドラゴンに懐かしさを感じていた。


―――――――――――――――――

 俺は遠視の窓を見ながら魔物に指示を出していく。


「こらっ、ブラックドラゴンもといチ○毛ドラゴン、アルマから離れろっ。ウッドゴーレム、アルマから優守を引き離せっ」


「個人感情が入りまくりじゃん。何で気絶させて終りなの?」

 春香の言う通り、魔物には痺れ薬を仕込んでおり、攻撃された騎士は気絶している。


「あそこにいるのは、これからを担う連中なんだよ。反省すりゃまともに働ける。ブラックドラゴン、レインボーカラーナイトから離れろっ。なんでアイツ喜んでだっ!?」

 まさかの確信的なレインボーカラーナイトなのか?

 …後、三時間もすれば春香達が城に攻め込んでくるだろう。

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