魔王の会議
現場に来ている派遣員は定義的に会議を開いている。
各々の状況を報告をしあいお客様(文字通りお客様は神様)のご要望に沿える様にするにはどうしたら良いのか、最悪(世界の)の事態を避ける為にはどうしたら良いのかを話し合っている。
ちなみに今日の会議出席者は
戦闘班から俺(議長)、ジャック、雪さん、関根(書記)、サイス。
復興班からは骨丈さん(副議長)、金体さん。
新人から春香、リミさん。
現地代表でお梅さん。
「先ずは穢れ者の調査結果からです。ウォーレンさんお願いします」
ちなみに司会は満場一致で春香に決まった。
普通は新人に司会なんて任せないんだが、俺を止めれるのは、春香だけって事らしい。
どうやら俺の威厳は山の向こうどころか海の彼方に行ってしまった様だ。
「穢れ者はエクジルの北端にある地下洞窟にいました…かなりの怨み辛みが溜まっている様で危険でしたよ。確実に美神ブライネスト・ブレイブより強くなっています」
「封印はどれ位のやつにしたんだ?」
「雪が上級の封印を掛けましたし、辺り一帯に人払いの魔法を掛けておきました。もし、地上に出てきてたら豪さんしか対応出来ませんよ」
ジャックの表情は真剣その物で、雪さんも重々しく頷いた。
「かー、マジかよ。エクジルを占領したら専任の見張りをつけとくか。ジャック、雪さん、ご苦労様」
「それでは次はサイスさん、リミさん。邪神判定をされた光神ルークスの調査結果を報告して下さい」
「光神ルークス様はグラスランドの西にあるグラス山脈の洞穴で生活をされていました」
光神隠遁生活しちゃったのか。
「洞穴に同じ眷属の神や天使はいなかったよ。洞穴に一人住んでいて寂しそうだったし、私達が洞穴に行ったらお茶とかお菓子を出してくれて色々な話をしてくれたし」
ルークスはサイスが崇めてきた神だけど、リミにしてみれば縁も縁もない存在…その為か言葉に敬意のけの字もない。
しかし、ルークス久しぶりに孫が訪ねてきた田舎のお爺ちゃんじゃないんだから。
「それで会ってみた印象はどうだ?反逆の兆しはあったか?」
「いいえ、自分が反逆すれば無辜の民が血を流すと仰有られていました。性格は清廉潔白で正に光の神様でしたよ」
清廉潔白で山で隠遁生活か…。
「分かった、ルークスに叛意がないとみて捨てて置く。もう少しまともなら色々と使えたんだけどな」
「信者を捨てて自分一人が隠遁生活を送るんじゃ主神には向きませんしね。何より清廉潔白な神は禄な事をしませんよ」
俺とジャックの言葉に新人以外の派遣員が一切に頷く。
「ロンボゴさ、なして清廉潔白な神様は駄目なんだ?」
お梅さんが不思議そうな顔で関根に質問をした。
ちなみに関根の名前は関根ロンボゴだったりする。
「清廉潔白な神様は小さな罪も許せなくなって、人族を滅ぼす事が多いのさ。自分の価値観で正義や罪を決めておいて従わなきゃ滅ぼす神なんて派遣員の仕事を増やすだけなんだ」
派遣員はオジキ以外の神を無条件で尊敬する奴はいない。
何しろ神をきちんと値踏出来て一人前の派遣員なんだし。
「それでは関根さんお梅さん、魔王子に関する報告をお願いします」
「はい、最闘凶魔こと斎藤優守はエグジルの中央部を治めています。政事形態は典型的な恐怖政事でしたよ。それと凶魔四天王ですが…お茶を飲むのを止めた方が良いですよ…なぁ、お梅」
「んだなー、あんな個性的な人達は初めて見ただー。おらが見てもダサいと思ったべ」
全員、嫌な予感がしたらしく一斉にお茶を飲むのを止めた。
「それでは資料の八ページを見て下さい」
そこに写っていたのは一言で言えば昭和のヤンキー。
ちなみに一緒に写っている馬車は車高が極端に低く、馬は紫や赤の布で飾られていた。
「まず真ん中でしゃがんでいるのが魔王子こと斎藤優守です」
関根の言った所には坊主頭にして鬼剃をいれた鬼がいる…ちなみに便所座りで短ランボンタン。
「魔王子の右隣にいるのが天狗の田中堅太ことセンター・ケーン」
そこには長い髪を金色にに染めた天狗がいた…こっちは懐かしの長ラン、ドカン。
「左隣にいるのが河童の川口三郎ことワンパンのサブ」
魔王子の左隣にいたのは真っ赤なトレーナーを着てサンダルを履いたカッパ。
「後ろにいるの男が大入道の畑牛太郎こと猛牛ビーフー。なんでもブルが雄牛だって知らなかったそうです」
畑はリーゼントに真っ白な特服を着た大入道。
「後ろの女性が斎藤カネこと紅バラゴールド。ちなみに斎藤カネは優守の妹です」
カネは紅バラをイメージしているのか真っ赤な特服を着ている。
こいつらを育ててエグジルを変えなきゃいけないんだよな。
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ロンゴボに関してはおじさんしか分からないかと…カックラはなおこおばあちゃんの縁側日記が好きでした