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幕間、魔王と花火大会

今日、夏祭りの歌を歌った某バンドの記事を見て書きました。

作者は断然ジッタ派です

 獅子人のレオネアを倒して、三ヶ月が経った。

 復興も順調で、今や領地には魔族だけではなく猿人やエルフも住んでいる

 

「豪、獅子人牧場もサキュバス農場も順調だって。これなら安心して夏祭りが出来るね」

 俺達は復興が順調に進んでいる事を祝って祭りを開催にする事にした。


「祭りか、何を出すかな。ソフトクリームかそれとも細川洋菓子店名物のかき氷にするか…悩むな」

 祭りは楽しむ側より楽しんでもらう方が性に合っている。


「そう言えば豪の家は夏祭りとか花火大会で、かき氷を出してたよね」

 そういや、花火大会の出店に春香も来たんだよな…

 花火大会の思い出を思いだそうとした瞬間、俺は微睡みに包まれた。


―――――――――――


 何が悲しくて青春真っ只中の高校二年生が、夏の最大イベント花火大会でかき氷を作らなきゃいけないんだ。


「豪、イチゴミルクの注文が入ったぞ!!早くしろ」


「親父分かったよ…ったく、何で今時、手動でかき氷を作らなきゃいけないんだよ」

 うちの店のかき氷機は脇に手回しハンドルが着いたレトロなタイプ。


「その方がふんわりと仕上げれるんだよ。氷にもこだわってシロップも自家製、それが細川洋菓子店のかき氷だ。これを楽しみにして来てくれるお客様もいるんだから手を抜くんじゃねえぞ」


「抜かねえよ!!はぁー、クラスの連中は花火大会を楽しんでるってのに」


「どうせ、デートをする相手もいねえんだから、親孝行と菓子作りの勉強だと思え」

 正確には誘いたい相手はいるんだけど…誘う勇気がないだけで。


「分かりました、分かりましたよ。でもバイド代は出してくれよ」

 俺の夢は菓子作りの本場、フランスで勉強をして一流のパティシエになる事だ。

 正直、何十個削ったから分からない。

 俺はかき氷機の横に着いて削っているから、祭りに来た人達を何人も見送っている。


(いい加減も手がダルいし、休憩をさせてもらうかな)


「すいませーん、イチゴミルク下さいー」

 聞こえてきたのは片思いをしている青山さんの声…でも隣には男がいた。


「毎度ありー、豪、イチゴミルクだぞって…お前なんで背中を向けてかき氷削ってんだ」


「この方が楽なんだよ…それに疲れているからお客様に見せれる顔をしてないんだよ」

 正確には涙が溢れ出しそうで青山さんに見せれない顔なんだけど。

 青山さんと彼氏の楽しそうな笑い声が俺の心を削っていく…かき氷機で氷を削りながら自分の心が削られるなんて間抜けだよな。


「…豪、ちょっと休憩してこい。涙を堪えて氷に落とさなかったんだな…偉いぞ」

 どうやら、親父にはバレバレだったらしい。

 テントの裏側は祭りの喧騒とは無縁な位に静かだった。

 

(やっぱり付き合ってたんだな…分かっていてだけどキツイな)

 人目がない所為か、俺の目からは餓鬼の頃みたいにボロボロと涙が溢れだした。


「おっ、細川の坊主じゃねえか。でかい体になったのに、何泣いてんだ…ほらっ、うちの焼き鳥でも食いな」

 俺に話し掛けてきたのは同じ商店街で肉屋をやってるオッチャン。

 俺はポツリポツリと青山さんの事を話始めた。

 中学の時に一目惚れした事、同じ高校に通いたくて必死に勉強した事、そして今彼氏と一緒に夏祭りに来ている事。


「そうか、でも客の前で涙を見せなかったのは偉いぞ。なあ、坊主…あっちを見てみろ!!みんな楽しそうに笑ってんだろ?」

 オッチャンの指差す先には、花火が打ち上げられるのを、今や遅しと待っている人達がいた。


「坊主、花火大会は花火だけじゃ盛り上がれないんだぜ。俺や坊主みたいに祭りを盛り上げる人間がいるから盛り上がるんだよ。あそこにいる客の笑顔は俺やお前が作ったんだ…今は花火や彼氏に負けるかも知れないが、いつかお前だけの為に笑顔を見せてくれる女に出会えるよ…丁度、打ち上げ花火が上がる好きなだけ泣け。泣いても花火が消してくれるよ」

 涙で曇った花火は万華鏡の様に見えた。

 

――――――――――――――


 久しぶりに、こっ恥ずかしい夢を見たなと思ったら、何故か会社の視聴覚室にいた。


「細川主任、可愛かったです。涙を堪えながら氷を削る姿は萌えました」


「私は花火の音に合わせて泣いた所かな。大きな体なのに子供みたいに手放しで泣いて母性本能をくすぐられました」


 そして俺に詰め寄ってくる新人女性職員…そしてニヤニヤと笑う創竜のオジキ。


「オジキ、何をしたんです?」


「新人女性職員から細川主任が怖いって意見があっての。丁度、夏祭りをやるみたいだし、お前の記憶の中から壁を壊せそうなやつを放映したんじゃよ」

 …マジかよっ。


「新人女性職員って春香はいねえだろうな!!」


「細川君、呼んだ?今度からは花火は二人で見よう…来年の花火も再来年の花火もずっと一緒に見ようね。ずっと、豪の為にとびっきりの笑顔を見せるからさ」


 きっと万華鏡の様な花火を見ることは、もうないだろう。

ジッタのプレ○ントやハニーとかも大好きでした。

ちなみに作者は明日同じ法人の夏祭りを手伝いに行きます

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