表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/84

魔王とハーレムと俺様ライオン

 勢い良くサキュバスの城から出たのは良いが、今の状況は不味い、どうすりゃいいんだ。

 今の状況は俺からしたら前門の虎、後門の狼ならぬ前門のハーレム(ししじん)、後門の女子(サキュバス)…普通の男なら喜ぶんだろけど。


「なーに、しかめっ面してるの。まさかハーレムを持つ為の言い訳を考えてたりして?」


「あのな、俺は彼氏にしたくない派遣員に殿堂入りしてんだぞ。ハーレムなんざただの地獄だよ。つうか、俺に八方美人な態度が出来ると思うか?八人分の飯支度だと温かいおかずも盛ってるうちに冷めちまうし」

 ちなみに結婚したくない派遣員、口説くのが下手そうな派遣員でも殿堂入りしている。


「豪、ハーレムの主になる人はそんな事に気は使わないよ。それならお城に残れば良かったじゃん」


「お前、あの女子会の中には俺を放り出す気か?それに俺は嫌がられてるのに居座れる程、神経は太くないんだよ」 

 合コンでも、ちゃんと空気を読んで先に帰ってたんだぞ。


「規格外に強い癖して、情けないと言うか何と言うか…男の言う事を黙って聞けとか言えないの?」


「あー、女はそんな事を言って黙って聞かない癖に。それにそんな事を言っといてミスったら気不味いだろうが」

 

「いや、そこは聞かせるんでしょ…豪にハーレムが無理なのは良く分かったよ」


「分かりゃ良いんだよ…つうか、俺がお前ハーレムを持ちたいって言ったら許可したのか?」


「する訳ないじゃん。そんな事言ったら家から閉め出すわよ」

 春香の完勝を見て独身派遣員と興味本意で着いて来ていたサキュバス達が盛大な拍手をしやがった。

 

――――――――――――――


 もう嫌だ、お家に帰えりたい。

 獅子人の軍団と対峙していたら、一人の獅子人が飛び出して来た。


「この荒れ地で春の草花の様に可憐なお嬢様方に会えるなんて、俺はなんて幸せ者なんだ。俺の名前はライオネット覚えておけよ」

 黒いスーツを着た獅子人は俺達をスルーして後ろにいるサキュバス達を口説きだした。


「豪、あれがライオネット将軍…イタリア人か俺様系のホストみたいだね」


「また面倒臭いのが出て来た」「俺の名前を呼んだのはお前か?フッ、そんなに俺の女になりたいのかい?」

 ライオネットは春香の手を取り口説き始めている。


「おい、人の女を勝手に口説くんじゃねえよ!!」


「猿に教えてやる。恋愛は自由なものなんだぜ。それとお前は自分の女を鎖で縛らなきゃ不安なのか?縛るんなら俺みたく愛の鎖で縛るんだな」

 どうやら、ハーレームを認めている獅子人族では口説きのテクニックも必須らしい。


「そこの盛った猫。さっきからミャーミャーうるせえんだよ!!春香に手を出すってんなら三味線にされる覚悟があるんだろうな」


「へー、猿がライオンに勝てると思うのか?まあ、良い。俺に勝てたらハーレムをやるよ。お前達出て来な」

 ライオネットの合図で飛び出して来たのは九人の女性。

 その中にはお梅さんと同い年くらいのサキュバスもいた。


「お前、この国を攻める為だけにサキュバスを口説いたな?」

 きっと、あの少女から結界が緩む日を聞き出して攻めて来たんだな。


「違う、愛の水先案内人になってもらったんだ…なに、この魔力は?」


――――――――――――――――


 ライオネットがサキュバスの少女を利用したと分かったら、豪が切れた。


「緊急警報発令!!細川主任が切れた。誰かジャックさんと骨丈さんに連絡を入れろ。ここにいる派遣員は結界を展開する」 

 緊急警報って、熊が出たんじゃないんだから。


「別に俺は誰がハーレムを築こうが知ったこっちゃねえよ…だがな、てめえのくだらねえ欲望の為にガキを傷をつける奴は許せないんでな。そのサキュバスの嬢ちゃんが、仲間が奴隷や死体になったのを見たらどんな気持ちになるか考えたのか?」

 でも豪の迫力に怯えてるサキュバスもいるんだけどね。


「お、お前、猿の癖に生意気なんだよ。それに俺はお前と違って女に嫌われてないんだぜ」


「ケッ、当たり前だろうが。大人がガキに好かれ様としてどうすんだよ!!ガキに嫌われても道を糺してやり、嫌われても守ってやるのが大人の男だろうが。それに俺は一人の女に好かれていれば充分なんだよ」

 嬉しいけど、これじゃ私以外はデートも結婚もしたくないって言われて当たり前だよ。


「し、獅子人の名において決闘を申し込む!!俺の牙は岩も砕くんだぞ」

 ハーレム維持の為に後に退けないライオネットは豪に決闘を申し込んだ。


「そうかい、それならこうされたどうすんだ?」

 豪はそう言うと自分の拳を無理矢理ライオネットの口に捩じ込む。


「折角の牙も口を閉じれなきゃ意味がねえよな。ほーれ、お前が大好きな草花が沢山咲いてるぞ」

 豪は、そう言うとライオネットを地面に叩きつけた。

  

「次はどいつだ!?来ねえなら範囲魔法で全員ぶっ飛ばしてやんよ。火炎が良いか?氷雪が良いか?それとも爆破系が良いか?今なら特別サービスで選ばせてやる」

 豪は、そう言いながら人のいない所に魔法を撃ちまくる。

 そしてチラチラと私を見始めだした。 


「こっのお馬鹿!!復興しなきゃいけない土地を荒らしてどうすんのよ?」

 この不器用な優しさを持つ男に付き合えるのは私ぐらいかも知れない。

ツイッター始めました、詳しくは活動報告で

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ