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魔王と春香の想い出 出会いと初めての会話

 春香が複数の男に取り囲まれているが、俺は体どころか指の一本すらまともに動かせない。


「豪を最初に見た印象ですか?そうですね…」

「春香、真面目に答えなくて良いからな。適当に濁したり嘘をついても構わない」


「豪、少し黙っとれ。今月号の月刊派遣員の特集記事は”戦闘班主任細川豪に恋人発覚!?馴れ初めから現在まで”に決定したんだから諦めろ」


「こんなのは人権侵害だ!!プライバシーの保護を求める」

 本来なら春香に質問をしている記者を払い除けるんだが、今の俺はオジキの力で拘束されている。


「青山さん、学生の細川主任はどんな感じだったんですか?」 


「春香と俺が親しくなったのは卒業してからなんだぜ?分かる訳ないだろ。はい、この質問は終わり!!」

 春香は一度俺の方を見て笑ったかと思うと、ゆっくりと答えだした。


「良い意味でも悪い意味でも目立ってましたよ。うちの学校で豪を知らない人なんていないと思います。本人(ごう)は自覚がないかも知れないですけれど」


「俺は部活もしてないし、イベントや行事にもあまり出なかったから目立つ訳がないだろ。それにお前だって高校になってから俺の事を知ったんだろ」

 俺は餓鬼の頃からパティシエに憧れていたから、イベントより家の手伝いを最優先にしていた。


「残念ながら中学の入学式の時から覚えているんだな。つまり私の方が先に豪の事を知ったんだよ」

 春香は何かを思い出す様にすっと目を瞑った。


「豪を最初に見たのは中学の入学式の時でした。他の生徒より郡を抜いて大きな男性がいたんです。友達は父兄と言っていましたが、私は先生だと思ったんです、だって豪は一人だけ制服じゃなくジャージを着ていたんですから」

 マジか?初耳だぞ。


「それでお前はなんでジャージを着てたんじゃ?」


「オジキ、仕方ねえだろ。入学式に学生服が間に合わないでジャージを着てたんだよ」

 当時、身長が170を越えて体もごつかったからオーダーメイドになったんだよな。 

 

「昔から細川主任は目立っていたんですね?ちなみに細川主任の第一印象を覚えていますか?」


「あー、怖いですね。豪はムッスリと押し黙っていましたから。でも今なら緊張してたんだなって分かりますけどね。豪はあれで人見知りの緊張しいなんですよ」

 流石は地方局とはいえテレビに出ていたから、受け答えがうまい。


「そうなんですか、中学時代の細川主任との思い出はありますか?」


「残念ですが中学の時は直接話をした事がなかったんですよ。だから怖いイメージしかなかったです、よく絡まれて返り討ちにしたって話を聞きましたから。でも、学校をサボったりいじめをしたなんて話は聞かなかったですね」

 言っておくが、俺は無遅刻無欠席の真面目な生徒なんだぜ。


「へー、細川主任は勉強がお好きだったんですか?」


「製菓は科学反応を大事にするから理科は必要だ。英語は留学を考えていたから覚えたかったんだよ、英語ができりゃフランス語も覚えやすいしな。数学に至っては製菓はグラム単位で計算をする時があるから必須。つうか勉強は学生の本分だろうが」

 2年から春香と同じ高校に行きたくて必死で勉強したんだけど。


「それでは最初に細川主任と話した時を覚えていますかか?」

 ちなみに俺はばっちりクッキリと覚えているが、忘れらていたらへこむから確認した事がない。


「確か…高2の冬でしたね。私の3つ下の従妹が彼氏と遊んでいる時に不良に絡まれている所を豪に助けてもらったんです。そのお礼をしに豪の教室に行ったんですよ。放課後だと直ぐに帰っちゃうから昼休みに行きました」

 今でも覚えている。

 昼休みに飯を食っていると教室のドアが開くと春香…青山さんが立っていた。

 絶対に俺の所に来たんじゃないってのは分かっていたが、嫌になるぐらいに胸がドキドキしたのを覚えている。


「細川主任に話し掛けるのは怖くなかったですか?」


「怖かったですけど、豪のクラスに中学の友達がいたから協力してもらいました。でもお礼を言っても素っ気なくて…まあ、今なら照れていたって分かるんですけどね…そうだよね、ごーう」

 このタイミングで俺に振るか?


「お前、確信犯だろ…俺の名前を呼んでもらえただけでも天に昇る思いだったよ」

 

「今でも耳を赤くしちゃって…それでバレンタインが近かったからお礼に義理チョコをあげようと思ったんですけれども、豪は授業が終わったら直ぐに帰るしバレンタインチョコを作るのに忙しくてチョコが苦手になってるって聞いて諦めたんですよ」

 知っていたら何時間も待ったのに…いや、あの頃春香には男がいたんだよな。


「それでは細川主任を意識する様になったのは何時からですか?」

 それは再会してから


「そうですね、あれは高3の夏でした」

 へっ?なにそれ?初耳だぞ。


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