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魔王と少女達の別れ

 頼むから勇者よ、早く来て俺を倒してくれ!!

 今なら魔王討伐記念で高枝切り鋏と布団圧縮袋をつけてやる。


「魔王様、手が止まってるよー」


「分かったよ、やるよ。次の書類を持って来い」

 俺は書類を処理しながら、何でこんな事になったのかを思い出してみた。

 ちなみに俺が待っている勇者はアルマ達じゃない…彼奴らとは、しばらく会えないのだから。


――――――――――――――――


 当たり前だが、サイスはトーナメントを余裕で優勝した。


「ゴウ・セクシリアよ、何か望みはあるか?」 

 トーナメントの優勝特典は王に何かを願える事。


「望みは後からにして先に義務を果たさせて下さい。弟子の勇者3人の鼻を折るのが先決なので…アルマ・アンジェ・リチェル出て来い!!」


「お、お兄ちゃま、いきなり怒ってどうしたの?」

 アルマ、お兄ちゃまが、アルマに何かをしてあげれるのはこれが最後だ。


「子供じゃないんですから呼び捨てはお止め下さい…汚らわしい!!」

 アンジェ、神に仕える者が権威で目を曇らせたら加護をもらえなくるぞ。


「出て来いって偉そうに…ヒッ!!」

 リチェル、これくらいでビビっていちゃ魔族の相手は勤まらないぞ。


「あんっ!!なーに一丁前の口を聞いてんだよ!!俺は言ったよな、3人の連携が大切だって。それなのに馬鹿貴族や三流騎士に担がれて調子にのってんじゃねえよ。伸びた鼻をへし折ってやるからご自慢の勇者隊を連れて掛かってきやがれ!!」

 アルマが悲しんでいるのが分かる。

 本当は、今すぐ抱き締めてやりたいんだが、もう無理なんだよ。


「神官隊、前へ。あの男の邪な力を法術で浄化するのです…ホーリーブライネスト!!」

 聖なる美神様ってか…神官隊から放たれた光の奔流が俺を包み込む。


「アンジェ、教えたよな!!聖属性魔法が有効なのはアンデッドか魔族だって。…アンジェ、最後の教えだ!!神官は神に仕えるだけが仕事じゃねえんだよ。人の傷を癒し心に寄り添ってこそ本当の神官だ。喰らいな…ジャッジメントッ!!」

 ジャッジメント、裁きの法術には絶対的な法則がある。

 それは自分より上位の者は、決して裁けないという事。

 法則に影響するのは仕えてる神の力と己の徳。

 

「そんな一瞬で私の神官隊が気絶するなんて…」

 アンジェは茫然自失といった感じで床にへたりこんだ。


「気絶だけで済ませたんだよ。徳は神様の言う事だけを聞いていても積めねえんだぞ!!悔しかったら飢えてる人に施しを行い、病に苦しんでいる人を癒せ!!救いに貴賤を持ち出すな」

 うん、確実に嫌われたな…アンジェ、お前の口うるさい所は春香と似ていてたよ。

 残念な事にリチェルもアルマも動こうとしない。

 不意討ち等せずに、正々堂々と美しく戦うつもりなんだろう…馬鹿たれが。


「リチェル!!時間が出来たら詠唱をしろって教えたろうが!!それともあれか?魔法使い隊じゃ礼儀正しく”これからファイヤーボールを撃ちます”何て言わなきゃいけない規則でもあるのか?」


「うるせえよ!!魔術師隊、各自、得意属性で攻撃をしろっ…詠唱始めっ」「ど阿呆っ、神官隊に頼んで結界を張ってもらうか、騎士隊にガードしてもらうのが先だろうが!!こんな風にされたら終いなんだぜっ…マジックドレイン」

 魔力のない魔法使いは素人と変わらない。


「嘘だろ…魔法使い隊全員の魔力を吸い取りやがった」

 リチェル、お前の無邪気な元気さには、随分癒されたよ。


「アルマ!!馬がないからって騎士が仲間のピンチを傍観してどうすんだっ!!騎士は馬に乗って手を振るだけが役目じゃねえんだぞ!!民や仲間の盾になるのが騎士なんだよっ。俺の妹なら意地を見せてみろっ」

 そういや、アルマを叱るのは初めてかもしれない。


「お兄ちゃま…みんな、私に続け!!強き者との戦いは騎士の財産になるっ!!私の兄は古今無双の強者だぞっ」


「次々、掛かってこい!!」

 アルマ、お前は可愛い可愛い大切な妹だ。

 この先どんな世界に行っても、それは変わらない。


―――――――――――――――


 そして峰打ちで騎士隊を全員気絶させたんだよな。


「そ、それでお前の願いはなんだ?」



「エクジルに住まう魔族から魔王子なる者が現れました。その調査を行わせて下さい」

 とりあえず審議待ちとなった為に1度事務所に戻ったんだよな。

 そして急ぎの依頼が来たんだ。

 国を支配して財政を健全かさせてから勇者に倒されて下さいって、依頼が。



幕間を挟んで魔王編になります。

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