魔王の怒り
リクエストが多かった魔王の更新です
ロマンスグレー中年天使の剣が俺の肩を切り裂く、イケメン天使の槍が俺の腹を突き刺す、金髪少女天使の火の魔法が俺の体を焼く、黒髪少女天使の矢が俺の腕に刺さった。
当然、俺の体からは血がドクドクと流れだしている。
(うぜー、早く必殺技を出さねかな)
派遣員が攻撃を喰らうのは日常茶飯事、酷い時には1週間貼り付けにされたまま攻撃をされた事もあった。
体に気を流している事もあって切れているのは皮膚ぐらい。
これが派遣員のプロの技、相手から攻撃されても深い傷にせずに血だけを流して魔王に攻撃が効いてる感をうまく演出して見せる…いや、魅せる。
確かに、創竜の親父の力で死んでも生き返る事が出来るんだが、深い怪我をすれば当然意識が薄れ良い演技が出来ずにしょっぱい結果になってしまう。
しかし…
(母さん達の目が痛い!!)
マリアさん・アリアの姉妹は涙を流しながらも、俺から視線を外そうとしない。
アコニ母さんに至っては結界を叩きまくり手から血を流している。
俺はアコニ母さんと血が繋がっていない。
転生は創竜の親父が派遣員を細胞の状態にまで戻してから母親の腹に転移させる。
つまり、アコニ母さんは代理母といった感じだ。
「流石は魔王に選ばれただけあって頑丈ですね。みんな我等の力を1つにするぞ」
「しかし、ユウキがいなくてはペンタグラムアタックは成功しません」
(必殺技が最初から5対1想定かよ。こいつら天使戦隊エンジェルファイブとかだったりして)
「ヴィクトワール様、ユウキの分は私がカバーします」
(何気に自己アピール?こいつは絶対に飲み会でイケメンの隣を確保してるんだろうな)
「みんなの気持ちが1つになれば必ず魔王を倒せます」
(言わせてもらえば、この時間があれば俺があんた達を倒せるんですけど…ジャック、ちょっと来てくれ)
「「「「今4人の力を1つにして…必殺のスクウェアアタック!!」」」」
「ユウキ抜きで綺麗に技の名前までハモるなよ!?何気にユウキが傷つくぞ!?」
実際、スクウェアアタックは俺に効かなかった。
「豪さんが血を流してると、まるでホラー映画ですね。もちろん、モンスターですけど」
ジャックがノブールとヴィクトワールを吹き飛ばした。
「女は女同士、私がお相手をして差し上げますわ」
雪さんは金髪天使と黒髪天使の攻撃を薙ぎ払っている。
「豪さん、お母さん達の結界は壊しました」
サイスが天使が作った結界を壊してくれた。
「サイスは他の女に触らなくて良いからな。もう、大丈夫ですよ」
リミが母さん達を確保してくれた。
「サイスだと?負け犬が何しに来たんだ?」
ヴィクトワールにしてみれば、サイスが早く来れた理由は試合に負けたと思ったんだろう。
「ばーか、俺のサイスがそんなに弱い訳ないだろ。もう、倒してきたんだよ!!試合で大活躍したサイス格好よかったなー」
サイスの活躍を思い出したのかリミの頬が赤く染まる。
「そんな?この短い時間であり得ませんわ」
「あのな、お前達を基準に考えるなよ。サイス、リミありがとな。母さん達はジャック達に任せて残りの試合に備えてくれ…ジャック、母さん達の事を頼んだそ。さて、天使様達よ、ユウキを呼んでご自慢のペンタグラムアタックを見せてみろや」
俺は久しぶりにムカついている。
「馬鹿め!!ペンタグラムアタックを喰らえばお前は絶対に死ぬぞ」
「ごちゃごちゃ言ってないでユウキを呼びやがれ!!」
俺がいなけりゃアコニ母さん達は怖い思いをしないで済んだ、俺がうまく立ち回っていればアコニ母さん達は哀しい思いをせずに済んだ、俺がアコニ母さん達の優しさに甘えなけりゃ彼女達は傷つかにずに済んだんだ。
俺は天使共がやった事には腹を立ててはいない。
俺はもっと酷い事をした事があるし、天使の行動理由は正義や感情よりも仕えてる神への忠義なんだから。
「甘いなっ、サモン!!ユウキッ」
青い光と共にユウキが現れた。
「何で僕を喚んだんだよ!!あれの怖さは半端じゃないんだぞ。シャイン様を鍛えたのはあの男なんだよ」
当のユウキは既に涙目なんだけど。
「来ないなら、こっちから行くぜ。創竜の光よ、我に宿れ」
自分に光を付与する。
「ジャックさん、天使は光属性の攻撃を減少させるんじゃないですか?」
「ありゃ豪さんの趣味だよ。相手の得意属性や得意攻撃でボコボコするのが好きなんだよ…何しろリッチを関節技の練習台にする人だからな」
リッチなら関節を壊しても直ぐに治るし、関節の構造が分かりやすいから丁度良い練習台だ。
「そんなシャイニングスピアが溶けた?」
「ホーリーシルードが消滅するとは?」
「だから俺は嫌だったんだよ。来るな、俺に触ったらアルマに言うからな」
「触んなきゃ良いんだろ?新しい光魔法の練習台にしてやんよ。なーに、死んでもきちんとレイズで生き返らせやる」
きっと、今頃ジャック達がアコニさん達から俺への感情を消してくれているだろう。