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魔王とトーナメント

久しぶりの更新です

 勇者隊交流トーナメント、名目は各勇者隊の実力を示す事で国民に安寧をもたらす為らしい。

 しかし、その実情は各勇者隊とバックにいる人間達の主導権争いだったりする。

 アルマの騎士隊のバックは武官、リチェルの魔術隊のバックは商人、アンジェの神官隊のバックは文官。

 ちなみに王侯貴族の方々は有利な方に日和見で動いているそうだ。


「豪さん、トーナメントの要項をもらって来ましたよ。しかし、こんなので魔族とまともに戦えるんですかね」

 ジャックが苦笑いをしながら手渡して来た要項には、こう書かれていた。


 勇者隊トーナメントの参加者は正々堂々美しく戦う事を旨とすべし。


「なんだ、こりゃ?学校の校訓かよ?ルールその1、攻撃は正面からする事。ルールその2、相手の体勢が崩れた時は攻撃をしてはいけない、攻撃をしたら減点対象とする。ルールその3、詠唱は大きな声で行い姿勢やポーズも得点対象にする。ルールその4、詠唱中の攻撃は減点対象とするルールその5、装備の美しさも審査の大切な基準とする。連中はスポーツでもやるつもりか?」

 バックアタックなんて戦いの基本だろ?

 戦場で倒れた相手に追撃を加えなきゃ笑われるだけだつーの。

 

「お互いに自分達に有利になるルールを盛り込もうとしたみたいですよ。各隊からの代表者は2人、実力者と権力者が選ばれたみたいですね」


「ジャック、雪さんにもこの世界に来てもらって良いか?これじゃサイスが女に攻撃をしたら即失格にされちまうぞ」

 ジャックの女房の雪さんは異世界のリアルお姫様。

 当然、美しくさや品は折り紙つきだ。


「分かりました、サイスの彼女に派遣員の仕事を見せる事も出来ますしね。何より久しぶりに雪と1日中一緒にいれますし」

 よーく考えよー、俺だけ1人だよー。

 つまり俺は万年新婚夫婦と付き合いたてカップルと一緒にいなきゃいけなくなったんだよな。

 絶対に変な気を使わせてしまう、普段ならアルマを呼ぶんだが流石に今回は無理。

 この世界で知っている女といえば先ずは母さん…かえって惨めだ。

 それなら春香の写真を持ってくる…かえって気を使わせてしまうよな。

 残るはマリアさんとアリアのリアルメイド姉妹に…雇い主の息子だと嫌でも逆らえないから駄目だ。

 それに俺はこれから魔王となって忌み嫌われなければいけない立場、俺と深く関わっていた人が迫害される可能性を考えなくちゃいけない。

 丁度、今日は向こうで良く行ってるスーパーのポイント3倍デイだから自分で弁当を作るとするか。 


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 勇者隊交流トーナメントがいよいよ開催になった。

 そして俺達はトーナメント会場に来たんだがアウェイ全開。

 各隊500人近い関係者が来てるし、勇者3人や各勇者隊の私設応援団なんかもあった。

 そんな中俺達はたったの5人、近づいて来る人もいない。


「やれやれ、まるでアイドルかひいきのサッカーチームの応援ですね。この世界の連中は勇者が生まれた意味に頭を巡らさないんですかね?」

 ジャックの言う通り、世の中が平和な時に勇者を誕生させる必要はない。


「勇者も魔王も神様の計画に沿って生まれているんですよね」

 サイスも最初に俺の話を聞いた時は神様がそんな事をする筈がないって信じなかった。

 

「ああ、良く考えてみろ。神様には魔王を誕生させないって選択肢も選べるんだぜ?原因がなきゃ結果は生まれない。勇者を誕生させて、あれこれ祝福をする手間より魔王が生まれる原因を取り除く方が簡単なんだよ」

 

「何か難しい話で俺には良く分かんないや」

 サイスの恋人のリミはそう言って苦笑いをする。


「賭けで破産する奴を出さない為には胴元を逮捕をするんじゃなく、神なんだから賭けって概念を作らなきゃ良いんだよ。でも神がやってる事は賭けの概念は自分で広めいといて胴元を警察に逮捕させてるのと一緒なんだよ。まっ、神なんざ自分勝手な脚本家みたいなもんさ」

 俺の発言にサイスとリミの顔が青くなる。

 次はここにいる連中が顔を青くするだろう、何せ自慢の勇者隊の代表が農家の小倅にぼろ負けするのだから。



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