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魔王のお迎え

かなり久しぶりの更新です

 サイスの住む街に、この世界の魔王軍が攻めこんで来た。

 魔王軍はゴブリン・オーク・サイクロプス・デュラハン・ドラゴン等の様々な魔物で構成され、魔物に襲われた人々は自分が崇める神に祈りを捧げて事切れていく。


(胸糞悪い、誰もこの襲撃が自分達が崇めている神様が書いたシナリオだなんて思わねえだろうよ)


 サイスがこの襲撃で後に救世の英雄となる弟を庇って死ぬのも神様のシナリオのうち。

 ちなみに襲う側の魔王も神様の操り人形だったりする。

 

「我は魔王死天王が1人、ヘルナイトのブラッディ伯爵。そこの人間暇潰しに我の相手をせよ」


 感傷に浸っていた俺に話し掛けてきたのは3m近い騎士。


「うるせえ!!俺は早く用事を終えて馴染みの惣菜屋に行きたいだよ。揚げたてのクリームコロッケを逃したらどう責任とってくれるんだ?」


 とりあえずぶん殴って悪趣味な黒一色の鎧を砕く。


「中々強いな人間、しかし我はドラゴンぞ・・待て、今変身するから、待ってください」 


「ドラゴンなんざ鬼上司だけで充分なんだよ・・いや、変身してくれ。この間の休出の怒りをお前で晴らす」


 色々と思い出してむかついたのでドラゴンに変身したブラッディ伯爵を殴り飛ばす。


「それって完璧に逆恨みじゃないですか?止めて角を折らないで!尻尾が千切れるー」


「文字通り死でんのうにしてやるから安心しろ」 


 この世界の人は魔王軍よりも残虐な魔物がいると後々まで恐れたという。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 


 サイスの気を頼りに居場所を探り当てると道端にサイスだった物を見つけた。


(サイスの奴、無事に依頼を終えたな・・・でも誰もサイスを気に掛けずか)


 周囲の人間はこぞって魔王軍を撃退したサイスの弟を褒め称えている。

 

「土よ、この者に姿を変えろ」


 土に魔力を与えてサイスの形に変える。


「さて、サイス帰んぞ」 

 俺は何も言わなくなったサイスの遺体を抱えあげた。

 

「返せ!!サイスは俺の男だ、それにサイスはまだ死んでない、

サイスは寝坊すけだから俺が起こさなきゃいけないんだよ」


 青い髪の少女リミが俺の前に立ちはだかる。


「ほう、サイスが見えのるか。この世界を離れて家族や仲間と別れる覚悟があるんなら着いて来い。ただし、二度と戻って来れねえけどな。サイスは生きてるぜ」

 リミは一度うつむいた後俺を見て強く頷いた。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 サイスを背負ったまま、この世界の天界に終了報告に向かう。

 サイスも俺の背中で生き返っていた。


「サイス、初めて死んだ気分はどうだ?」


「不思議な気持ちですよ。斬られた所が熱いと思ったら目の前が真っ暗になって気付いたら豪さんの背中にいたんですから」


「そのうち慣れるさ。まずはお前の女に礼を言っておけ、全部を捨ててお前に着いて来てくれるそうだ。お前、中々の果報者だぜ」


 リミならサイスをきちんと支えて行けるだろう。


「豪さんはいいんですか?ジャックさんに聞きました、豪さんは今も想っている人がいるそうじゃないですか」


「あいつはもう違う人間になってるんだぜ。それを前世を理由に運命を変えちまったら、権力を笠に着て庶民を泣かせている馬鹿神や王候貴族と変わらなくなるんだよ」


「不器用な生き方ですね」 


「うるせえよ、向こうに戻ったら騎士達と試合をしてもらうからな。リミ、サイスを支えてやってくれ。何をすればいいかはジャックの嫁さんが教えてくれるさ」


 俺もそろそろ前に進まなきゃいけないんだよな。



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