魔王の恋物語
どうも、サイスです。
鬼と書いてゴウさんに洞窟に押し込められて何日が経ったでしょうか。
無事に壁を壊したと思ったらゴブリンが襲ってきました。
何とか倒したら次は突きで倒せと指示が出て次は斬り殺せと言われて…次は無手。
その次はゴブリン2匹に同じ事を、5匹まで行ったらウルフで同じ事を繰り返し…オーク、スケルトン、ジャイアントバット…今はギカントオーガの相手をさせられています。
ちなみに僕が倒されるとゴブリンからやり直しでした。
空いた時間では座学の読み書き、計算、戦術、魔術、商売を合格するまで繰返し。
ちなみに魔術を使っても同じ事をやっています、お陰で全属性える様になりました。
何よりも怖いのは時々やって来るゴウさんの抜き打ちテスト…あれは悪魔です。
ちなみにギカントオーガはゴウさんを見てゴブリン並みに体を小さくして隠れようとしていました。
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俺はジャックに言われてアイツの事を思い出していた。
中学で会った時に一目惚れして一緒の高校に行く為に猛勉強をしたんだよな。
でも向こうはバスケ部のレギュラーで学園のアイドル、方や俺は実家の洋菓子店を手伝う為に帰宅部。
そして彼女が軽音のヴォーカルと付き合っている噂を聞いて泣いて諦めた。
ちなみにジャックはこの話を聞いて腹を抱えて笑いやがった。
アイツと再会したのは23才の時、俺が働くケーキ屋にアイツが取材に来たんだよな。
「あれ?細川君?やっぱりそうだ!!私だよ青山春香」
「あ、青山さん俺の事分かるの?」
中学、高校が同じだったとは言え春香と同じクラスになった事はないから、話した回数も数えるほどだった。
「当たり前だよ。うちの学校でパティシエ番長細川豪を知らない人はいないって!!ケンカは強いのにお菓子作りが大好きなパティシエ番長細川豪だもんね」
学校時代の俺のあだ名は何の嫌がらせかパティシエ番長。
それから春香は店に良く来るようになって気づけば俺の恋心も復活、なんと奇跡的に恋人になっていた。
そして25才の時…春香は死んだ。
通り魔に刺されて死んだ…
俺と結婚式場を見に行った帰りに刺されて死んだ。
大切にしまっていた式場のパンフレットも、俺宛に書いた将来2人でケーキ屋を開きたいって手紙も血で真っ赤に染まっていた。
俺が創竜のオジキからスカウトされて派遣員になったのは春香にもう一度会えるかもしれないと思ったからだ。
今となっちゃどの世界の誰に転生したのかも分からないし、魂も春香じゃなくなっているの分かっているが。
白い生クリームじゃなく血に染まっている俺を見たら春香はなんて言うんだろう。
答えなんて誰も答えてくれる訳がない…青山春香はもういないんだから。
だから俺は嫌われ様が蔑まれ様が派遣員を続ける人々の生活を壊さない為に。
とりあえずサイスには才能があるから派遣員としてスカウト申請。
アイツが納得すれば転生を経験させるか。
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サイスはかなり驚いていたが了承してくれた。
サイスは拳法道場の長男として転生、後に生まれてくる救世の英雄である弟を鍛えて敵襲の時に庇って死ぬまでが役割。
順調に進んでいたらしジャックから最近サイスが悩んでいるとの報告がきた。
何でも幼馴染みから告白されたらしい。
ジャックも姫とは転生先で知り合ったから他人事ではないんだろう。
俺が春香の為にとってある異世界連れ出し枠は1人分しか貯ってない。
…また貯めるか…
別れる悲しさは俺が一番知ってんだし。
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