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魔王と謁見の間

 ジャックの話によると、サイスの親が腰を痛めた為にサイスは1人で畑仕事をやっているらしい。


「勇者隊の連中とは幼馴染みだったらしいんですが、そいつらがサイスと距離をおき始めたらしいんですよ」 

それは幼馴染みが勇者隊に選ばれてから顕著になったとの事。


「僕達は選ばれた存在だから、もう君とは関われませんってやつか。で誰の隊にいるんだ?」


「妹さんの所に貴族の息子と騎士の娘、魔法使いの所には商人の息子、神官の娘は神官隊に選ばれたそうですよ」


「マジか?アルマの所にいた奴で使い物になる奴は殆んどいなかったぞ」

話を聞くと見事なまでのコネ選抜だから仕方ないが。


「どの勇者隊に入っても王侯貴族と会えますからね。親としては多少、無理してでも入れたいんじゃないですか?」

実力はともかく勇者隊の出身となれば箔が付いて出世や良縁に恵まれるって打算だろうな。


「ジャック、サイスの家に案内してくれ」

まずはサイスを口説き落とさなきゃ始まらない。


__________________


 サイスの家は住宅街の片隅にあった。

「これはウォーレン様、この間は息子がお世話になりまして」

家から出てきたのは中年の男性、歩き方がぎこちないのは腰を痛めてるからだろう。


「様なんていらないですよ、今日はサイス君を討伐騎士隊にスカウトに来ました。保証は後ろにいるゴー・セクシリア様がしてくれますので」


「ゴー・セクシリア?まさかグレイス子爵様のお坊っちゃまですか?大変失礼しました」

腰が痛いにも関わらず平伏しようとするサイスの親父さん。


「息子って言っても鼻つまみ者ですよ…汝に癒しを、ヒール」


「腰の痛みが消えてる?農民の私に治癒なぞもったいのうございます…しかし我が家には治癒代がないんです」


「農民の方がいるから俺達は飯が食えるんですよ。治療代はうまい野菜をくれたら充分ですから。もし、息子さんが隊に入ってくれたら月々給金を払わせてもらいます…でも最終的には息子さんの意思にお任せします」

騎士や神官より農業に携わってくれてる人の方がよっぽっど尊い。

そして農家にとって若い労働力は貴重だ、それを預かるなら給料を払うのは当たり前。


話を聞いて快諾したサイスは後に言う。

ゴーさんから一番肝心な説明を聞かずに返事をして何度も後悔をしたと。


_________________


 サイスから快諾を得た俺は帰還報告の為に城に行った。

報告する相手は宮廷の事務官。

事務官と言っても貴族の子息がやってるから態度がでかい


「喜べ、王子様と王女様が異国に行ってきた労をねぎらって下さるとの事だ。本来なら爵位がないお前に目通りは出来ないんだがな」

どの世界でも権力を笠に着る奴はいる訳で、報告を受けた事務官が恩着せがましく言ってきた。


(そんな態度をとって有為の人材が他国に流れたらどうするんだよ)

「私は礼儀知らずの庶民です。王子様や王女様の大切なお時間を損なうのは心苦しのですが」


「立派な心掛けだな。しかし、今回は5大美天使様のご希望でもある、お前に拒否権はない」

俺に拒否権がないのは最初から分かっていたが、この国では庶民が王族に会う時は1度遠慮して、それを城の人間が諭すのがお約束。


_________________


 俺が案内されたのは、いわゆる謁見間、国によって謁見の間での決まり事は様々。

昔の日本の様に貴人を直接見るのが不敬

になる国もあれば王様の権力を見せびらかす為にしっかりと見学させる国もある。

グラスランドは後者の様で俺は謁見の間をしっかりと観察する事が出来た。

体育館ぐらいの広さの謁見の間はこれでもかと言うぐらいに贅が尽くされていた。

柱には細かな装飾が施され、天井には派手な絵が描かれている。

中央に無駄に豪華な椅子に座っているのが王子だろう。

王子は金髪のイケメンで、服も無駄に豪華だし、剣に至って刀よりも装飾の割合がの方が多い。

その隣に座っている動き難さ満点のドレスを着てる金髪の美少年が王女。

そして王子と王女を囲む様にして天使が5体。

そして脇には勇者の3人と各勇者隊の面々が控えている。


「君がゴウか。会えて嬉しいよ、今回はご苦労様」

えっと…終わり?


「有り難きお言葉、光栄至極に存じます」


「君はアルマちゃんのお兄さんだよね?そんなに畏まらないで良いよ」

アルマ…ちゃんだと?

たかが王子がアルマちゃんなんて厚かましい。


「お兄様、セクシリアはお目見えが初めてだから緊張なされているのでは。セクシリア、貴方の事はアルマ達から良く聞いているので初めて会う気がしません。もし良かったら何か望みはありますか?」

妹さん、ナイスフォロー。


「でしたら勇者隊の大会に我が討伐騎士隊にも1枠もらえないでしょうか」


「それだけで良いのか?金や武具でも良いのだぞ」

この程度の城に俺が喜ぶ武具なんかねえっての。


「武具は手に馴染んだ物があります。金は冒険者をすれば食うには困らないので」

辺りのを様子を探ると、アルマは心配気に俺を見てるし、リチェルは怯え気味、

アンジェは無関心…

やっぱり俺は光源氏には成れない様だ。





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とうとう平地に雪が降りました

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