魔王と美の
何時もよりちょっとだけ酒を多く飲んでしまった次の日。
朝一で俺の家に来たのは
「独り暮らしのごついおっさんの家はむさ苦しい、暑苦しい、見苦しいの3拍子が揃ってますね」
ジャックだけだった。
「うるせえよ。とりあえず町に出て情報を集めたら魔族の所に行くぞ」
ここで意味なく人を待つよりさっさと動いた方が正解だ。
「派遣員は動いてなんぼですからね。でも豪さんこの町ってやたら派手な人が多くないですか?不自然なぐらいに町が綺麗でしたし」
町に出てみるとジャックが言った通り、町の人は皆綺麗に着飾っていたし町には塵ひとつ落ちていない。
「なんだ!?こりゃ、不自然だし気持ち悪りな」
まるで町全体がモデルハウスにでもなった感じで生活臭が全くしない。
「って事は豪さんがいない4年のうちに何かあったんでしょうね。そしてあの鶏天使が何も言わなかったて事は天使より格上の存在が絡んでる可能性がありますよ」
鶏天使シャインが口を出せない相手でここまで人々の生活に影響を与えれる存在。
「そういやこの世界の主神は美の神ブライネス・トブレイブだったな」
しかし、普通は主神なんて存在は人々の生活には口を出せねえ筈なんだが。
「美の神が主神ですか?そりゃまた珍しいですね」
普通は主神をするのは創造神や光の神あたりが担当する事が殆ど。
「何でも前任の主神のガキとか言ってたな。こりゃ創竜の親父に報告する必要があるな」
俺とジャックが今後の話し合いをしてると、街角から大声が聞こえてきた。
「薄汚いた奴はグラスシティから出て行け」
「美しくない奴はグラスランドにいちゃいけないんだぞ」
「近づくな!!汗の匂いが移るじゃないか、僕のバラの香水が無駄になる」
数人のガキが1人のガキを取り囲んで罵っている。
「イジメですか?しかし、手を出さないで口でしか言わないなんて女のイジメみたいですよね?」
取り囲んでいるガキ達は上質なブレザーなんかを着ている、それに対していじめられている奴は汚れた野良着を着ていた。
「それに周りの大人が何にも言わないのはおかしいな。ジャック、イジメが悪い事だって教えにいくぞ」
「大人がガキのケンカに口を出すのも関心しませんけどね。まっ、今は年齢だけは俺らはもガキですけど」
この世界での肉体年齢で言えば俺もジャックも15才。
「おいクソ餓鬼共、ケンカするなんらタイマンでやれよ。大勢で1人を囲むなんざ金玉ついてんのか?」
「醜い、しかも信じられないぐらいにお下品だ」
「ケンカなんて野蛮な事をしたら美神ブレイブ様がお怒りになるんだぞ」
「いや、3勇者様と5大美天使様がお前に罰をあたえにくるさ」
言っておくがごちゃごちゃ騒いでる奴等も普通レベル。
「だからどうした?ぶん殴られる前に消え失せろ!!」
それを聞ていたのか周りの大人が騒ぎだした。
「豪さん、面倒臭くなる前に場所を変えませんか?」
「国とケンカなんざ疲れちまうからな。おい!!小僧ついて来い」
俺はいじめられていた小僧を担いで家に戻る事にした。
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いじめられていたのはサイス・レギューム年は14才。
「3年前、クラージュ王子様の前に美神ブレイブ様が降臨されてこうおっしゃられたのです
。¨争いや差別は人の醜い心によって生まれる。グラスランドは美を持って治めなさい¨それからグラスランドは美を尊ぶ様になりました」
美と言っても見た目だけではなく、精神の美しくさやマナーも重要視されてるらしい。
ちなみにサイスは農作業で汚れた服で帰って来たらさっきの奴等に絡まれたそうだ。
そんな時、集団が近づいてくる気配がした。
「豪さん、集団でお迎えが来たみたいですよ」
どうやら30人ぐらいの人と馬で俺の家を囲み始めている。
「我が名はアルマ、剣の勇者なり!!グラスランドの美を愚弄した醜き者よ。姿を現せ」
…マジ?
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