魔王再び
ようやく突っ込み役が出せました
我ながら良く働いたと思う。
西に魔物が出れば行って退治し、東に盗賊が出ればボコボコにし、北に怪しい魔法使いが出ればトラウマになるまで魔法の嵐を浴びせて南で崖崩れあれば行って岩を吹き飛ばし、その間にアルマ達に修行をつけた。
そして色々やり過ぎた所為か俺は海外に飛ばされてしまう。
期間は4年、幸いアルマ達は自主練にして良いレベルになっている。
一応、3人には教本を置いていく。
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そして時は流れて4年後、俺はグラスランドに戻ってきた。
ちなみにその間に行った世界はカマドウマ人間、ナマケモノ人間、ハエ人間、ゴリラ人間の世界とか…
「ゴー様お久しぶりです…ま、魔王だとこの天使シャインが退治してくれる」
迎えにきたシャインは久しぶりに会うと相変わらず俺だと認識が出来ないらしい。
「豪さん、この礼儀知らずの鶏をしめていいいですか?おい鶏天使、いくら豪さんの見た目が怖くてもケンカを売るんなら俺が先に買ってやる」
今回はジャックを連れてきた。
ジャックは強いし頼りになるんたが、いかんせん口も態度も悪い。
「ジャック止めろ。シャインこいつは俺の部下のジャック・ウォーレンだ。お前の万倍は強いから気を付けろ。俺がいない間に変わった事はなかったか?」
「はっ、魔族の中から魔王子なる者が現れ統一を試みております」
…魔王子って、魔王を名乗るだけでも恥ずかしいのに。
「豪さん、魔王子ってウケ狙いなんですか?普通に王子って言えないんですかね?」
ジャックも多少…かなり呆れ気味だ。
「あれだよ、若気の至りって奴だ」
きっと10年後には魔王子君も後悔すると思う…俺も卒アルでその当時流行ったギャグのポーズをして後悔したし。
「それでこれからどうするんですか?」
「とりあえずアルマ達の成長を確認して魔王子に会いに行くさ」
アルマ達の色んな意味での成長に期待。
「確か15才ですよね。思春期真っ只中だし4年も放っといたから嫌われてるんじゃないですか?今の豪さんどうみても20代後半にしか見えないし久しぶりに会うときついと思いますよ」
ちなみに今の俺はがっつりと伸ばした髭が雄獅子のタテガミみたくなっている。
「くっ、きっとアルマ達が港に出迎えに来てくれてる」
「賭けますか?もし、来てなかったら夜には家に帰るのを認めて下さい」
ジャックは結婚して5年経つが未だにラブラブらしい。
「来てても帰るつもりだろ?相変わらずお前と姫は仲が良いな」
ジャックの女房は転生先で幼馴染みだったお姫様なんだよな…美人のお姫様が女房って、どんだけリア充なんだよ。
「雪に言われてるんですよ。豪さんの恋愛状況を報告しろってね」
「分かったよ、だけどタイムカードは5時5分以降に押せよ。それじゃ船に転移するぞ」
5時きっかりばかりのタイムカードは創竜のオジキに提出しにくい。
………
「妹さんどころか出迎えが1人もいませんよ」
港に着くと周りは再会を喜ぶ歓声の嵐なんだけど、俺は台風の目状態。
俺って国命で外国に行った子爵の息子だよね。
「豪さん、今日だけは酒付き合いますよ」
いたたまれなくなったのか、ジャックが肩を叩いてきた。
「ゴウ様お久しぶりです。まぁご立派になられて、変わっていて最初は気付きませんでしたよ」
そんな俺を唯一出迎えてくれたのは魔法の勇者リチェルの母親リーぜ。
「外国から帰って来たのに出迎えが1人ですか?豪さんここの神しばいて来ますよ」
普通は派遣員が不在の間は神が周りの人間関係が悪化しない様に最低限の配慮をしておく。
「すいません、あの娘達は王子さまのパーティーに出ていまして」
「ジャック、向こうから焼酎と焼き鳥買ってきてくれ。そしたら帰って良いから」
とりあえず4年間放っておいた部屋を掃除しよう…1人で。
その晩、ジャックの嫁さんが気を使ってくれて握ってくれたオニギリが妙に心に染みた。
普通にハーレム化はしません、ならない可能性も