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ナメクジと転生

今、俺が欲しいのは嫁でも彼女でも金でもない。

湿気取りとお日様の光が欲しい。

例によって魔王として喚ばれた俺にあてがわれたのは地下迷宮の最下層にある部屋。

ぶっちゃっけ、ジメジメしまくっている。

日本の梅雨を軽く凌駕している湿度に加えてお日様が一切差さない地下迷宮は不快指数200%だ。

それもその筈、今回はナメクジ人間の世界なのだから。

世界の名前はSlPC65って世界。


「魔王様、どうですか?この地下迷宮は素晴らしい湿気でしょう。魔王様の立派な毛も多くの水気を含んで何よりです」

ナメクジ黒騎士の言う通り、俺の髪も髭も湿気を含んで風呂上がり状態。


「それで日陰の勇者はどうしている」

当然、ナメクジだからお日様は天敵。

故に勇者も光ではなく日陰の勇者となる。


「魔王様に頂いた魔力のお陰で、彼奴らはまだ地下30階止まりです」


(勘弁してくれよ。ここは地下100階だろ?後何ヶ月掛かるんだよ?)


「勇者とはいえただの若造だ。しかし決して侮るなよ」

ちなみに今のは創竜カンパニー魔王マニュアルにある勇者への対策を聞かれた時への正しい回答方法から抜粋したものだ。


「分かりました。魔王様にお食事を持て」

違う世界に来て何が辛いかと言うと食事である。

特に俺みたいな魔王役が多いと、人間型の世界でもゲテモノを出されるし、違う生物の世界だと…


(また葉っぱオンリーかよ。ナメクジだから塩気がないしよ…だーっ、メイドナメクジ触るんじゃねー。葉っぱがテカテカするじゃねえか!!)

俺は今欲しい物にマヨネーズとカップラーメンを付け加えた。


――――――――――


 数週間後、俺の目の前には勇者ナメクジパーティーがいた。


「お前が魔王サンライトだな!!この世界の日陰は僕達が守る」


(おお!厨二がつける勇者みたい名前じゃないか)

当然、俺が本名を名乗る訳がなく各世界で好き勝手な名前を付けられている。


「お前がクラウディ国の王子レインか。ここまで来た事は誉めてやろう。しかしこの世界は暖かい日の光で包まれる運命にあるのだ」

(曇り王国の雨王子って!!他の世界だったら俺は感謝されまくりなのに)


「おのれサンライト!!なんて恐ろしい事を。行くぞみんな!!」

ナメクジ勇者、ナメクジ剣士、ナメクジ格闘家が攻撃してくるが


(お前ら動きが鈍いし痛くないんだって。うわっ!!服がベトベトじゃん)


「みんな私に任せてドライウィンドウ!!」

ナメクジマジシャンが放つ乾いた風が俺を包む。

湿り気が取れて大変快適。


「そんな私の必殺魔法が効かないなんて」


「こうなればソルトソードを使う」


「駄目よ。あれを使ったら貴男も無事じゃ済まないのよ」

ナメクジに塩は効くけど俺には塩は効かない訳で。


(いや待て。俺はこの間の健康診断で高血圧を注意されたばかりだ。トクホで減塩生活をしている俺は塩分過多は避けたい。カップラーメンの汁も泣く泣く捨てているのに)


「くらえ!!ソルトウィンドウ」


「やめろー!!しょっぺー!!」


―――――――――


 倒された技はソルトウィンドウと、数時間後俺はパソコンで報告書を作っていた。

ちなみに体にダメージは無かったが髪と髭が塩分でパサパサに。


「細川主任、創竜様がお呼びです」


……


「転生?親父、それは新人研修プログラムだろ」

うちの会社の新人研修は一定の強さを身につけさせる為に騎士や魔術師の家に転生をしてもらう。


「じゃが、その世界の神がお前を指名してきたんじゃよ」


「いやいや転生なんていったら時間が掛かり過ぎですって。いくら体の時間は戻せるとはいえ勘弁ですよ」


「つべこべ言うな。今すぐ行けっ」


「親父待って。日○芸人とア○トークを録画予約させてくれー!!」

細川豪、また赤ん坊になります。


―――――――――


 気がつくと俺は女性に抱かれていた。

お約束なら転生先の母親は美人の筈なんだけども。


「全く、あの馬鹿娘は。生まれた赤子が醜いからって母親に預けおってからに」

俺を抱いているのは頑固そうな婆さんだった。

醜いのは仕方がない、転生と言っても産みの親の影響は一切受けないのだから。


「ほれっ!!ゴウや。婆ちゃんのパイパイを飲むかい?」

親父、転生先で俺の心が悲鳴をあげています。




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