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魔王と娼婦

女性の方が不快を感じるかもしれません

やたらと派手な室内で派手な格好しているイケメン、それが今回の依頼者ゼイー・ゾウル子爵だ。


「ゾウル様の前です。頭が高いですよ」

俺を案内してくれたメイドさんが小声で注意をしてくる。

ちなみに俺は国から派遣された子爵の息子だからそこまでへりくだる必要ないんだが、色々と面倒なので片膝をつき頭を垂れた。


「いい、俺は礼儀に拘らない主義だ。面をあげろ」

このゾウルって奴とメイドはグルなんだろう。

一度、頭を下げさせておいて、俺ってフランクなんだぜアピールをしてくると。


「ありがとうございます。それでは此度の依頼について詳わしくお教え下さい」

俺は頭を上げずに話を続ける。

職場の無礼講と一緒で、この手の奴はフランクな態度になったら十中八九怒る。


「この屋敷に出るをファントムナイトを退治してくれ。あんな者が出たらパーティーを開けないんだよ」

詳しく教えてくれって言ったのにそれだけかよ、こいつは馬鹿貴族決定。


「それでファントムナイトは何時頃にどこに現れるんですか?」


「詳しくはそこにいるメイドのマリアから聞いてくれ。後は下がってよい」

ニヤニヤしながら俺を見下ろしているゾウル子爵様。


――――――――――


その後、俺はマリアさんに来客室に案内された。


「俺は国から遣わされた子爵の庶子だぜ?しかも頼んできたのはお前等だ。おかしくねえか?」

主にあの馬鹿子爵が。


「ここはゾウル様のご領地ですので」

マリアさんは20代前半くらいの青い髪の清楚な美人…。

美人メイドか…日本にいた時には空想の産物だと思ってんただけどな。


「それじゃファントムナイトが現れる時間、場所、後何か特徴があったら教えて下さい」


「現れる場所は執務室の前で時間は真夜中の12時過ぎです。特徴と言われましても私は見た事がございませんので」

執務室の前に現れる幽霊騎士か。


「何でもいいんだよ。どんな鎧を着てるとか何かを訴えてるとか、どんな顔をしているとか」


「鎧の中は骸骨らしいので顔は分からないです。あの何か意味があるのでしょうか?」

少し困惑しているマリアさん…メイドの引き抜きって出来ねえのかな。


「大有りですよ。アンデットは3種類に大別出来るんですが分かりますか?」


「スケルトンみたいな骸骨、リビングデットみたいな死体タイプ、ゴーストみたいたな霊でしょうか?」

マリアさんは魔物に関する知識もあると、今回の報酬マリアさんだと駄目だろうか。


「違いますよ。自らアンデットになったリッチタイプ。リッチ等の第三者に操れているリビングデットやスケルトン。自らの恨みや悔恨でこの世に留まっているファントムやゴーストの3種類です」

つまり件のファントムナイトは何か思い残す事があって執務室前に現れると。


「随分とお詳しいんですね。やはりベテランの騎士様は違んですね」

どうやら1つ誤解がある様だ。


「あの俺はまだ11歳なんですけど」

実年齢は子供、見た目は大人、中身は独身中年親父、それが俺ゴー・セクシリア。


「嘘!!それなら本物のゴー・セクシリア様なんですか?ご無礼な態度をとり申し訳ありませんでした」

どうやらマリアさんは俺がゴー・セクシリアの代理だと思ったらしい。

そりゃそうだ、庶子とはいえ貴族の11歳の息子が魔物退治に来る訳がない。

ついでに俺は11歳に見えないし。


「それじゃ夜中にまた来るよ。俺はスラムにある宿屋に泊まってるから何かあったらよろしく頼む」

ファントムナイトについては予想がついたが、ここじゃ詳しい話は聞けないだろう。

ゾウル子爵は話せないんじゃなく、話したくないんだろうから。


―――――――――


お約束と言うか宿屋の1階は酒場になっており、夜ともなると様々な人間で溢れかえる。

酒と体臭と香水の臭いが混じった酒場には一般人の他に冒険者、裏家業、娼婦がひしめていた。

俺は情報を集める時には娼婦から集める事が少なくない。

彼女達の客は貴賎様々、当然色んな情報が入ってくる。

それに彼女達が娼婦になった話も大切だ、お涙頂戴の胡散臭い話ばかりだがそれが重要。

彼女達の嘘は女を買うと言う男の罪悪感を消す為のもの、だから荒唐無稽な嘘はない。

税が払えずに身売りした農家の娘、廃摘になった貴族のお嬢様、領主に無理難題を押し付けられて潰れた商家の娘等。

早い話がその領地の裏側が見えてくる。


「おや、渋いお兄さんだね。今夜どうだい?」

俺に話し掛けてきたのは50才ぐらいの中年女性、俺はロリではないが熟専でもない。


「嬉しいが今夜は野暮用があってよ。酒を奢るから面白い話を聞かせてくれや。出来たら領主様の話が良いな」


出てくる話は女好きで派手好きと言う差し障りのないものばかり、周りに人がいる限りは自然とそうなるだろう。


「それじゃお城に出るファントムナイトの噂はないか?」

俺を女に銀貨を握らせる。


「これは噂だけどね。あのファントムナイトが着てる鎧は先代の領主様に仕えた騎士団長グチョーク・ジン様の鎧と同じだそうよ」

あくまで同じ鎧なだけだよと中年女は付け加えた。


「もう少し詳しく教えてくれないか?」

「おじい様がファントムナイトになる訳がありません」

大声をだしたのは化粧はしているが10代後半ぐらいのここには似合わない清楚な青い髪の少女。


「アリア、お客様の前だよ。止めな」


「この女は誰だい?」


「ジン様の孫のアリアだよ。今日がデビューだから慣れてなくてね。許しておくれ」

そう言って中年女性が俺をなだめてくる。


「この娘はいくらだい?」


「この娘はまだ男を知らないから銀貨10枚だよ」

銀貨10枚が安いか高いかは人それぞれだろう。


「そうじゃなく身請けするならいくらになるんだ?」

この娘がいればファントムナイトの依頼を後腐れなく解決出来る。


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