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豪の嫌いな種族

グラスランドのお城グラス城。

僕とアンジェは王女様のお話し相手として良くお呼ばれしているんだ。


「まあ、そんな事がありましたの。アルマちゃんのお兄様はお強いのですね」

王女様の名前はシャルル・グラス、僕より3歳年上で14才。

ちなみに僕ん家のグレイス家は王家の遠縁にあたるんだ。


「でもお兄ちゃま…兄は私がどれだけ心配しているか分かってくれないんですよ。1人で山賊を討伐に行くんなて非常識過ぎます」

お兄ちゃまには、次に何かしたら3日間は口を聞いてあげないって怒っておいた。


「そうなんですか、1度アルマちゃんのお兄様にお会いしてみたいですわ」

姫様はお城から出る事が少ないから、外の世界の珍しい事に興味があるみたい


「しかし姫様、勇者アルマ殿の兄上は庶民ですからお城に来る資格がございません。何よりかの者は醜い容姿と聞いております、その様な者を見たら姫様の美しい目が汚れてしまいます」

姫様の守護騎士ターカー・ビーシャは相変わらず嫌な奴、騎士の癖に女の僕より髪を長くしてるし。


「姫様、アルマさんのお兄様を私の騎士として雇えばお城にも来る事が可能でございます。もし姫様がお望みなら直ぐに手配を致しますが」

アンジェはお兄ちゃまを自分の守護騎士にするのを諦めていないみたい。


「しかし姫様、かの者はまだ11才の庶民ですよ。1人で山賊退治が出来る筈がございません」

確かにお兄ちゃまの年は11才、だけど18才のビーシャーより確実に強い。


「でも父様も兄様も1度見てみたいと言っておりましたわ。それにアルマちゃんの兄弟ならお会いしたいですし」

いくらビーシャーと言えども王様や王子様の意見には逆らえない筈。


「それでしたら闘技場で魔物と闘わせてみたらどうでしょうか?丁度、商人が魔物を何匹かお城に納めたそうですし」

このままじゃ僕のお兄ちゃまが魔物に倒されちゃう!!


――――――――――


 俺が世界を回っていて、一番関わりたくない人種がいる。

それは魔族でも奴隷商でも犯罪者でもない、王侯貴族、特に王族だ。(アルマとアンジェは別。特にアルマは特別枠)


「それで俺に姫様のご機嫌をとれってのか?」


「お兄ちゃま、姫様や王様に会いたくないの?」

この話を持ってきたのがアルマじゃなければ骨の2、3本折ってから追い出しているだろう。


「会いたくない、つーか関わるのも御免だ。会いたいなら自分の足で来やがれってんだよ。王様なんて言えば聞こえは良いが、あれはダニみたいなものだぜ」


権力を独占してる王族なんてのは民から税を吸い上げるしか能がないダニと一緒。

尊敬出来る王族にも会った事はあるが殆どはダニみたいな奴らだ。


「お、お兄ちゃま、なんて事を言うの!!王様からのご招待なんだよ!!それに王族は尊敬しなきゃいけないんだよ」


「あのな、王族なんてのは先祖がたまたま手柄をあげただけの一族なんだぜ?尊敬するかどうかは本人に会ってからだよ」

最も、この世界においてはアルマの方が正論であって俺のは暴論でしかない。

下手しなくてもバレたら死刑が確定するだろう。


「でもでもー姫様は僕に優しくしてくれるし、王族の人達も僕なんかにも話し掛けてくれるんだよ。それに僕はお兄ちゃまが馬鹿にされっ放しなのは嫌なの!!闘技場は危険だから普通にお呼ばれして」

姫様はともかく王族達は勇者であるアルマを利用したいだけだろう。


「しかし闘技場ね、随分と悪趣味な物があるな」

グラス城の闘技場で行われるのは騎士対犯罪者、犯罪者対魔物。

騎士と戦う犯罪者は鎖や重りがつけられてるし、魔物に至ってはなぶり殺しにされるだけらしい。


「だから普通にお呼ばれして!!僕の守護騎士なればお城に行けるから」

アルマはもう涙目になっている。


「剣の勇者が守護騎士を雇ってどうするんだよ?それでそのタカビシャとか言う小僧も闘技場に来るのか?」


「タカビシャじゃなく、ターカー・ビーシャー様。一応ビーシャー伯爵家の長男なんだよ」

これ以上、可愛いアルマを困らせるのは本意じゃない。

何より貴重な兄妹のコミュニケーションタイムを王族なんかの話で潰すのは愚だ。


「俺が闘技場に出る条件はただ1つ、勇者3人に試合を見学させる事だけだ。アルマ、お兄ちゃんが魔物との戦い方を見せてやる。この話はこれでお終いだ…今日のおやつはプリンだぞー」

アルマの為だけに取り寄せた地鶏の卵にジャージ牛のミルクに高級バニラビーンズをふんだんに使用した原価無視な1品。

お兄ちゃんの愛情がこれでもかってぐらいに入ってます。


「お兄ちゃまのプリン美味しい!!」

無邪気な笑顔で喜んでくれるアルマ。

転生してきた俺とアルマは血が繋がっていない訳で、年齢以外は問題が存在しない筈。



―――――――――


 グラス城の闘技場にターカー・ビーシャーはいた。


「ビーシャー様、この魔物達が暴れたら騎士団でも危険ですが」


「暴れたら姫様の守護騎士である僕の出番さ!!これで、あのくそ生意気な小娘の泣き顔見れる。何せAクラスの魔物達なんだから11才の餓鬼じゃひとたまりもないだろ?」


「ええ、アイアンベアにライトニングレオ、ブリザードタイガーはを1人で倒せる者はおりません」

闘技場にはターカー・ビーシャーの暗い笑い声が響き渡っていた。

次はどの作品を更新しよう。

イ・コージの更新はザコがもう少し進んでからになります

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