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冒険者として動く

残酷な表現が出てきます

アルマ達、勇者候補の修行は順調に進んでいた。

次は俺が動く番、まず冒険者ギルドに登録をしなきゃいけない。

生活費を稼ぐ為でもあるが、魔族に会うためには階級をあげて行動範囲を広げる必要がある。

それにいくら実力主義の魔族でも、いきなり行って

「俺をお前らの王にしやがれが」

なんて通じるが訳ないし。


ギルドはお約束の様に重厚な作りで中には荒くれ者達がたむろしていた。


(この時間にギルドでたむろしているって事は実力も見込みもない奴らか。とりあえずギルドにいりゃ様にはなるからな)

ある程度の実績がある冒険者には直接依頼が来るだろうし、本当に稼ぎたい奴は安い採集クエストでも受けているだろう。


「登録を頼む。これが紹介状だ」

俺が親父に書かせた紹介状を渡したのは、いかにも古強者といった感じのオッサン。


「貴族の餓鬼が何の様だ。ここは遊び場じゃねえんだぞ」

確かに遊び場じゃないけど、ここにある依頼は俺にとっては遊びにもならないレベルだけ。


「とりあえず登録すりゃ分かるよ。登録用の魔水晶を見て合格しなきゃ諦める」

これもお約束だけど、この世界でも冒険者ギルドに登録する時は魔水晶でレベルを測る。

それである一定の数値を越えていなきゃ冒険者にもなれないし、数値が低いと上位の依頼も受けれない。

ちなみに数値はF(一般人)から始まりA、S、SS、R(伝説級)、G(神族級)となっていくそうだ。


「随分と生意気なガキだな。とっとと済ませろ…嘘だろ」

流石の古強者も俺の数値には驚いたらしい。

何しろ魔水晶に表示されたデータの殆どがSを超えているのだから…でも運だけはFだけど。

これはあくまで11才の俺の数値であり、本来の俺だと測定不能となる、運以外は。


「嘘だろ?お前が11才?うちのガキと同い年じゃねえか!!見えねぇ」

数値じゃなく、そこなのね。


「登録は良いんだな。早くカードと依頼書を頼む。出来たら討伐系が良い」


ちなみに俺のタンスの引き出しは各世界のギルドカードと色んな店のポイントカードで溢れかえっている。


「お前の数値にあったやばい依頼なんてねえよ。数値は合格だが階級はFからだ。だからこれをこなしてみろ」

そう言ってオッサンは1枚の依頼書を手渡してきた。


「どんな魔法を使ったのか分からねえがビビったんなら止めとけ。…ボ、ボウズまじかよ、行っちまった」


――――――――――


 あの親父、随分と皮肉な依頼をくれたな。

依頼内容は盗賊退治、場所はグレイス子爵領内の廃鉱山。

早い話が親父の領地、騎士団は親父に着いて首都に来ているので警備が手薄になっているらしい。

この盗賊、騎士がいない事を良い事に周辺の村から略奪しまくってるそうだ。

人数は20人、平気で人を殺す残忍な奴ら……


「どれだけ暴れてもお咎めなし!!久しぶりに全力で戦えるぜ」


――――――――――


 廃鉱山近くの村は寂れきっていた。

たださえ高い税金に盗賊の略奪で青色吐息もでない有り様。


「領主の息子が何しに来たんだ!!俺達の金でヌクヌク育ったお坊ちゃまに盗賊なんて倒される訳ない!!領主と一緒に首都に隠れてな」

村を見て回っていると金髪イケメンが絡んできた。


「ビリー止めろ。ゴー様申し訳ありません、息子は村を守れずに苛立っていまして」

どうやらビリー君は村長の息子らしい。


「それじゃビリーさんは廃鉱山の場所を分かるんですね」


「ええ、あそこは村の管理地でしたから。ビリーも冒険者に憧れて良く行ってましたし」

思わず笑みがこぼれる。


……

「おい、こらっ離せ。どこに行くんだよ」

俺の背中で喚くビリー君、離せと言われてもビリー君は俺の体に縄で結わえ付けてあるから逃げれない。


「それっ騒げ!!騒げ!!そうすりゃり盗賊が感づいて攻め込む手間がはぶけるからな」

イケメンを背負っての登山なんて楽しくもないんだしし。


「おい、マジで廃鉱山に行くのかよ。止めとけ殺されるぞ」


「馬鹿かお前?殺されに行くんじゃなくて殺しに行くんだよ。それじゃ冒険者の仕事はどんなもんかよく見てな!!」



―――――――――


俺の名前はビリー、村では1、2を争う強さだった…はず。

村に来た男はゴー、領主の息子で盗賊に襲われて阿鼻叫喚となるはずだった。

確かに廃鉱山は阿鼻叫喚となっていた…でもなったのは盗賊達だけど。


「ひいっ!!ジムがやられた」

盗賊が脅えるのも仕方ない、ジムって男はゴーに頭を砕かれた、素手で…。


「な、なんで剣で斬りつけても傷つかねえんだ?やだ、やだー来ないでくれー」


隣村のボブを殺した男はあっさりと踏み潰された。


「盗賊はいねがー、悪い盗賊はいねがー!!…ほうら見ーつけた」

盗賊を見つけて笑うゴー、見つかった盗賊は


「もう、足は洗うから勘弁して下さい。真面目に働きますから」

泣きながら謝り倒している。


「お前等は真面目に生きてる人の生活を狂わせたんだぜ?でも安心しろ、お前らの罪は俺が洗い流してやる。お代はお前の魂だっ」

父さん、無事に帰ったら畑も牛の世話も真面目にやります。

こんな光景を見せられたら冒険者になる夢なんて無理ですから。


「お前が親玉か。逃げねえ度胸は誉めてやる」

でも隅に追いつめた人間が誉めるのは理不尽だと思う。


「な、なんでこんな酷い事をするんだ?お前は人の皮をかぶった悪魔か?」

村を襲った憎い盗賊だけれど、俺は親玉に少しだけ同情している。


「俺の仕事の為だよ。お前らみたいな汚れた魂を放っておくと色々面倒になるんだよ。お前も好きで盗賊になったんじゃないのは分かる。だからきちんと魂を罪を洗い流して輪廻しなっ」


盗賊が全滅するまで掛かった時間は10分もいらなかった…。


――――――――――


 俺達に多次元派遣に与えられた力に浄化と輪廻がある。

浄化は罪で汚れた魂を洗い流す能力、輪廻は自分が殺めた相手を輪廻の輪に組み入れる能力。

来世の幸せを確定させる事で罪悪感を軽減させる為の能力でもある。


「お兄ちゃま聞いてるの!!僕がどれだけ心配したか分かってる」

アルマが涙目で怒っている。


「ゴーさんはアンジェの事なんてどうでも良いんですね」

アンジェがジト目のまま視線を離さない。

そう、見事に盗賊退治がアルマ達にばれちまったんだよな。


「お兄ちゃま、僕のお話を聞いてるっ?!!」


盗賊には、勝てたが泣く妹にはな勝てず 豪、心のつぶやき

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