修行の開始
何とかアルマ達を帰した(アルマのお泊まりセットは健在&ただいまアルマ専用ベッドを注文中)俺は自分のアパートに修行に必要な武器や道具を取りに帰って来ていた。
アルマには模擬刀(装備者の力によって重さが変わる優れ物)を、アンジェには医学書(自動翻訳機能付き)をそしてリチェルには
「おっ、あった、あった。これでオッケーだな」
俺は泣く泣く紫蘇焼酎と袋ラーメンに別れを告げてアパートから離れた。
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次の日、リチェルが俺の家にやって来た。
「ゴーの兄貴、魔法を教えてくれるって本当か?兄貴も魔法を使えるなんでビックリだよ」俺としては見ただけでファイヤーボールを使えたって言うリチェルにビックリなんだけども。
「少なくともリチェルよりは使えるぞ。さて問題だ、魔法は全部で何属性あるか分かるか?」
「えーと火、水、土、風の4属性に闇、聖の2大属性で6つだろ?」
俺は指を折ながら数えるリチェルに危うく萌えそうになる。
「正確には無限だよ。4属性にしても2大属性にしてもイメージをし易くする為に大別しているだけだからな。他に光、邪、毒、雷、大気、金、熱、冷、重力、爆発、振動、時間、属性は色々あるんだ。早い話がこの世界なある全ての物に固有の属性があるんだよ」
魔法と科学、相反する物に思えるが実は密接な関係にある。
良く言う四大属性を今の世の中で信じる人はいないだろう。
例えば火属性の魔法と火の燃焼の3要素は密接に関係している。
可燃物は火のマナで、酸素は大気のマナ、熱源は自分のマナを魔力変換で熱っした物。
つまり科学的になぜその現象が起きるかを知ればより細かい属性をイメージ出来て、より強い魔法が使えるって訳だ。
「あ、兄貴ストップ!!難しくて良く分からないよ」
リチェルは10歳になるけど学校に一度も通っていないそうだ。
リチェル親子が隠れ住んでいたのも原因であるか、この世界で学校は金持ちの子供以外は通っていない。
「そうだろうな。リチェル、今日から俺と勉強をするぞ。ある程度勉強が出来る様になったら学校に通ってもらう」
リチェルは魔法の勇者だ、天使シャインがそのお告げをすれば学費は無料になる。
「えー!!無理だって、俺バカだし礼儀なんて知らないし」
「だから俺が教えるんだよ。それに併せて杖術も教えるからな」
杖術は斬れば刀、突けば槍と言われる通り応用が効く武術である。
「兄貴、俺は魔法使いだぜ?武術は覚えなくて良いだろ?」
「敵が何時も正面から来る訳ねえだろ?杖術で相手を牽制して距離をとる、そして魔法を放つ。それに杖なら宮廷にも持ち込める。まずは読み書きと計算からだ」
「あ、兄貴の意地悪、オーガ、トロルー!!」
何とか工夫してリチェルに知る楽しみを分かってもらえたら、リチェルは凄い魔法使いになると思う。
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「お兄ちゃま、僕に剣術を教えて」
アルマが上目遣いでお願いしてきた。
もしアルマが王子様を好きだと言ったら俺は自棄酒をするだろう。
もしアルマが王子に弄ばれたら俺はお城を塵も残さずに粉砕すると思う。
「それじゃお兄ちゃんに好きな様に打ち込んでこい。お兄ちゃんは動かないし反撃もしない。ただし使うのはこの模擬刀を使う様に」
戦いで一番厄介なのは疲労だ、一流の戦士でも疲れきった時には3流の戦士に敗れてしまう。
それを防ぐ為には体力の増強が一番。
「やだよ、僕兄ちゃまに怪我をさせたくないもん」
「大丈夫だよ。きちんと鎧を着るし、剛体法も使う」
剛体法、全身に気を巡らせる事で体を硬くする技。
気の概念を知らないアルマは小首を傾げて不思議そうな顔をしている…あまりの可愛さにお兄ちゃんベストショット第12巻に掲載決定。
「分かったよ。い、いくよ…ふぇっ、手が痛いー」
今の俺の体はかなりの硬度になっている。
当然、アルマの小さな手に掛かる衝撃は凄まじい。
「剣を当てた時の衝撃に慣れろ。自分の体力が分かれば戦闘の切り上げ時を把握出来る」
「お兄ちゃま、手が痛いよー」
後からアルマの手を俺の手で包んでヒールを掛ける事に決定。
それと頑張ったアルマには内緒でチョコレートをあげる事も決定。
神は存在しない物を持ち込むのは困るとかぬかしていたが、お兄ちゃんの甘さはチョコレートの何倍も甘いのである。
「お兄ちゃま、これ美味しいよ!!ありがとうお兄ちゃま」
チョコレートを両手でしっかりと持ってニコニコと笑うアルマ。
あまりの愛さにお兄ちゃんコレクション、略してお兄コレ殿堂入りに決定。
この作品の元ネタになった作品を載せました。
ただし、すでに終了している作品なので誤字脱字やここを直して欲しいとか言うのは無理です。
次は山田さんを更新します