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悪役はお手のもの

 母さんから解放された俺は物陰に移動して、大人の姿に戻る。


「シャインはいるか?」


「はい、ゴー様…お、鬼だー!鬼がいるー」

いやいや、俺には角も生えてないし牙もないって。

つうか本来の俺の顔って天使がビビるぐらい怖いんだ。


「誰が鬼だ?羽むしって羽毛布団にしてやんぞ!!」


「発想が鬼じゃないですか!!怖い顔にヒゲまで生えて怖さ倍増ですよ」


「馬鹿野郎!!ヒゲは男のダンディズムだ、見ろモミアゲと繋がっている分厚いヒゲ。男臭さ全開だろ?」


「暑苦しさ全開の間違いじゃないんですか?」

暑苦しさには自覚があるけど、ヒゲだけは譲れない。

もう少ししたら、子供姿でもヒゲを伸ばしてアルマにじゃれつかせるのが今の夢だったりする。


「黙れっ!!今から親父の所に行くぞ」


「その姿じゃ息子だって分からないんじゃないですか?」


「分からないから良いんだよ。何しろ大人のお話し合いに行くんだからな」

ニヤリと俺が笑うとシャインはガタガタと震え始めた。


――――――――――


 親父の名前はリーズン・グレイス子爵。

いつも俺を冷たい目で見下ろしているいけすかない貴族様。


「それでいきなり訪ねて来て、どんな用事なんだ。天使シャイン様のお告げでなければ貴様なんぞと会う訳がないんだぞ」

ちなみにお告げは"今日、娘達の為になる男が訪ねてくるだろう"とシャイン言わせてある。


「お宅の息子さん、ゴー君をお預かりしたいんですよ」

そんな時、屋敷でも働いているメイドがミスリル銀の器にお茶を入れて運んで来た。

何となくメイドにサーチを掛けてたら

(うわっ、親父17才のメイドにまで手を着けてんのかよ)

教訓、やったらめったらサーチを使わない事。

じゃないと何か気まずくなる。


「あれを預かってどうするんだ?言っておくがゴーはグレイス家とは無縁だからな」


「彼には戦いの才能があるから育てたいんですよ。最近、こんな物を手に入れましてね」

それはダークウルフの隠れ家にあった暗殺依頼状、相手は赤ん坊の俺。


「良いんですかー?勇者アルマの父親が息子を暗殺しようとしてたのが世間様にばれても?」


「要求は金か?女か?」


「俺はあんたと違って屋敷のメイドに手をつける程、スケベじゃないんでね。俺の要求はゴー君の身柄を預かる事、ゴー君を冒険者にする事、ゴー君に勇者の家庭教師をさせる事です。悪い話じゃないでしょ?顔も見たくない子供が屋敷から消えるんですから」

やっぱり悪役だとスムーズにセリフが出て来る。


「しかし、アコニが何と言うか」

俺はミスリル銀の器を手に持ち親父の目線と合わせて

「黙って認めりゃ良いんだよ!!」

叫ぶと同時に手に力を込める。


「嘘だろ?素手でミスリルを握り潰した?お、脅すつもりか?」

失礼な俺流の交渉術だっつの。


「黙って聞いてりゃ暗殺貴族が調子にのるんじゃねーよ!!次に何かぬかしたらお前の頭を握り潰すからな」

万全を期して威圧の魔法を自分に掛けておく。



「わ、分かりました、手配をしておきます」


「後から知らぬ存ぜぬで約束を破ったら天使がお前のした事を娘や王にお告げをしてまわるからな。良いか、忘れんなよ」


後に天使シャインは言う、あれは話し合いじゃなく一方的な脅しだと。



――――――――――


 計画通り、一人暮らしと冒険者になる事を許された俺は家を借りた。

まだ家具とかは揃っていないが、俺のアパートと繋げるから問題はない。


(これで焼酎と鯖缶のゴールデンコンビで晩酌が出来る!!風呂も自由に入れる!!寝坊も出来る!!一人暮らし万歳)


俺が一人悦に浸っていると、部屋のドアがゆっくりと開いた。


「ゴーちゃん、心配しなくてもお母さんが毎日来てあげますからね」

現れたのはバケツとほうきを持った母さん。


「お兄ちゃま、僕お泊まりに来ても良い?」

次に現れたのは、許可前にお泊まりセットを持参してきたアルマ。


「ゴーさん、私お料理得意なんですよ」

最後に現れたのは野菜だけを手に持ってるアンジェ。

どうやら俺の自由はすぐに奪われたようだ。

この状況で依頼をこなしてたら、酒飲む時間がねーじゃん。

でも、カップラーメンとコンビニおにぎりのベストカップルだけは諦めない。


「すいません、隣に越して来た者ですけど」


「あっ、ゴーの兄貴じゃん。よろしくな」

次に現れたのは魔法の勇者リチェル親娘。

…ポテチは食べてやる。


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