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第3射 見学

僕と山岸さんは弓道場に歩いていた。

「誘ってくれてありがとう」

僕は山岸さんにお礼を言った。

「い、いや。たいしたことしてないよ」

山岸さんは小さな声で応えた。

「山岸さんは弓道をどれくらいやってるの?」

「中学からだから、3年間やってる」

「へぇ。長いんだね」

「着いたよ」

山岸さんに言われて彼女の顔から視線を前に移して見ると大きな建物が目に入った。


古い感じだけど、大きくて迫力があるな


「ここが、弓道場」

山岸さんは言った。

その時、弓道場から男の人が出てきた。

「おぉ、山岸さん。そちらは?」

「あ、嘉納先輩。こんにちは。えっと、見学の高原君です」

山岸さんは、はっきりと大きな声で応えた。

嘉納先輩と呼ばれた人は、身長が高く、かっこいいと言われるような人だ。

「どうも」

僕は頭を下げた。

「見学ね。それじゃあ、君はこっちに来て。山岸さんは中に入って」

「はい!」

山岸さんは、道場入ろうとして、立ち止まり振り返って言った。

「それじゃあ、また」

「うん」

「こっちで、見学して」

嘉納先輩に連れられてきたのは、道場と草むらの柵の間。

「ここからは危ないけど、ここなら見えるよ」

「ありがとうございます」

「山岸さんに誘われたの?」

嘉納先輩は尋ねてきた。

「はい。見学だけですけど」

「入部は決めてないんだ?」

「はい」

「そっか…。練習が始まるぜ」

神棚に礼をして練習が始まった。

先輩だろうと思われる人達が弓を撃ち始めた。


良くわからないけれど、なんかすごいと思った。


山岸さんは弓道場から出てきた。

「山岸さんは撃たないの?」

「え?」

「だって弓道やってたんだよね?うまいんじゃないの?」

「ハハハ。山岸さんは受験勉強してただろ。それに、新入生はすぐには的前(まとまえ)では引かせられない」

「そう。だから、これで練習」

そう言って山岸さんが見せてくれたのは、黄色いゴムが付いたプラスチックの棒だった。

「それは、ゴム弓って言って基礎練習のための道具なの」

「君も入部したらこれからだね」

先輩が教えてくれた。

「はぁ」

「入部希望者?」

そう言って道場から出てきたのは女の先輩だった。


綺麗な人だな


「っていうか見学だってさ」

嘉納先輩は言った。

「そう」

それから僕の方に向いて言った。

「うちに入部してくれたらうれしいけど、他の部も見た上で選びなさいよ」

それから、女の先輩は去って行った。

「あの、他の部活も見学してきていいですか?」

僕は嘉納先輩に聞いた。

「あぁ、いいよ。それじゃあな」

「はい!ありがとうございました!」

僕はお辞儀をした。

「それじゃあ、山岸さん。ありがとう。それじゃあ、また明日ね」

「う、うん」

僕はグラウンドに走って行った。

「君の友達、来るかな?」

「さぁ?わからないですね。来てくれたら良いですけど」

「来るんじゃない?」

嘉納が振り返ると去って行ったはずの佐藤部長がいた。

「あ、部長」

「なんでですか」

「ほら、山岸さんも気づかなかった?彼、見てるだけでも楽しそうだった」

「「はぁ」」


僕はグラウンドに行き、サッカー部の見学をした。


うーん……。いまいちだな

さっき、弓道部で感じた何かがない。


それから、陸上部の見学に行った。

「あれ?高原君じゃん。どうしたの?」

野村さんがこっちに気付いて話しかけてきた。

「本当だ。弓道はどうしたんだよ?」

「見てきたよ。他の部活も見てみようと思って」

「なるほどね。私達は陸上に決めたよ。練習の雰囲気もいいし」


確かに、声も出ていて明るい部活だな

けど、やっぱり感じないんだよね


「早く決めて練習に参加した方がいいぜ。どこにするにしても」

「うん。僕、他の部活も見て行くね。それじゃあ、また明日」

僕は二人に手を振った。

「おう。じゃあな」

「また明日ね」

僕はグラウンドでやっている他の部活の練習を見た。

それから、僕は家に帰った。


やっぱり、他の部活じゃあ感じなかったな

弓道部に入ろうかな


その時、山岸さんからメールがきた。

『他の部活、どうだった?弓道部にしたなら、明日から練習に来いって。先輩が』

僕は返信した。

『まだ悩んでるけど……。わかった。ありがとう』

そう返信して、僕は寝た。

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