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一時 【知らない人からのメール】


「悠也、今日機嫌良いな」


「そう?」


大きな手のひらでぐしゃぐしゃと頭をかき回される。

ふと空を見上げると、雲がどんよりとそこで止まっていた。

それでも和輝(かずき)に指摘されたとおり今日は機嫌が良かった。

これ以上髪を乱されると困る。手で和輝の手のひらを振り払った。


屋上は他にも数人の男女がいてそれなりに賑っている。

現在昼食中の和輝と私、それからあと三人は結構仲の良い友達だ。

和輝は入学したての頃初めて声をかけてくれた人でもある。


「仲良いよねー、二人って」


購買で大人気の苺クリームメロンパンを頬張りながら、立花 月(たちばなつき)がぽつりと言った。

和輝の幼なじみである彼女は野球部のマネージャーをしていて、

軽いくせっ毛の長い髪は愛嬌があってとっても可愛らしい。

指定の制服であるブレザーを着崩さないで着るのも彼女くらいだろう。

真っ白なのが目に付くワイシャツは第一ボタンまできっちりとまっている。


「あー、俺も前から思ってた」


「まさか付き合ってたりして?」


永太(えいた)がいつも通りの興味無さそうな声で同調すると、

すぐさま(けい)がふざけて悪乗りを始める。

一年の中でピアス穴を何個も開けているのは永太だけ。

それに京は学年の男子の中で一番背が低い。

そんな不思議な組み合わせな私達は、それでもとっても仲が良い。


「ないない。ね、和輝?」


笑って和輝を見ると、何故か少し悲しい顔をしていた。


「和輝?」


「……え?あ!うん、だよなー」


そう言って食べかけの弁当にまた箸をつけ始めた。


「あーあ。ゆうちゃんの所為で和輝傷付いちゃったぁ」


「? 何で?」


馬鹿だからしょうがないよ。と永太が京の肩をたたいてため息をついた。

本当に何でだか解らない私は、所在がなくなった手で胸ポケットの携帯を掴んだ。


【新着メール一件】


携帯の上についているディスプレイがそう告げた。

小さなランプがチカチカと点滅する。


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